NENOMETALIZED

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なぜ #Anly のライブはこれほどまでに刺さるのか(決定版)

ここ最近、色んなアーティストのライブに行くからこそ思うのだが、Anlyのパフォーマンスは彼女の実年齢×2+αぐらいのキャリアを誇るベテラン並みの技術と風格と余裕がある、と断言できる。

これはAnlyのライブに行く度に思ってるのだが、ループ・ペダルでのパフォーマンスを録音したLiveアルバムか、このliveの映像集でもリリースしてそれが多くの人の目に触れることがあれば、膨大な数のSSWの立場をなくしてしまうだろうと思う。

 実際個人的に彼女のライブを体感したばかりに何名かのシンガーソングライターがネノメタル 内ライブ・レギュラーリストから見事に落選してしまった。だってもうAnlyのライブのレベルを体験してしまったら幾人かのシンガーソングライターの音楽やライブが自分の人生に全く必要なものでは無くなってしまったのだ。僕らも別にアーティストに対して義理や人情で音楽を聴いている訳ではない。これはシビアな話であるが"殺傷力"っていうのはつまりそう言うことなのだろう。

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さて、本題。前回の記事では、Anlyのライブにおいて、彼女がループ・ペダルを使う理由として、 MBVの如きノイジーなマグマの音塊も、音の女神が舞い降りたかの如き音微粒子も別に確固とした音世界を構築する為だけではない。ズバリ、彼女にとってのルーパーとはオーディエンス全員と向き合い、ストレートに全て想いを届ける武器であるという結論に至った。

nenometal.hatenablog.com

 

f:id:NENOMETAL:20191006164935j:plain そこで今回中編は彼女にとってのLiveとはどう言うステイタスなのか、と言うことに焦点を当ててもっと肉薄して彼女の魅力を掘り下げたい、と考えている。

さて、あまりにも前編でも取り上げた『Fire』のライブ動画が超絶凄すぎるので、もう一回『Fire』の動画を引用しよう💣!

 

 Case1『FIRE』 


Anly - FIRE (Arrange ver., guitar solo with looper pedals) @ Shibuya, Tokyo, 2018.11.15

 動画でも十分伝わってくるが、4:03辺りからの彼女が背後からギターを取り出しつつ、これまでのパフォーマンス中に構築してきたギターリフ、コーラス、リズム音などのありとあらゆる音塊を呼び戻し、その全ての音塊という名のダイナマイトに火を注ぎ込むようにループさせつつ、更にギター音やボディを叩いたりありとあらゆる手段を用いた轟音展開のド迫力っぷりにはただただ舌を巻くばかり。

ちなみにこのダイナマイトにニトログリセリンを打ち込むがごとき一大展開はもう実際のフロアの体感だと動画の約一億倍以上の殺傷力がある。是非ライブで体感してほしいと。

 これは誰もが思うかもしれないが、Anlyのライブでのループペダルでのスタイルやより力強さを増すような歌声から、過去2枚出ているオリジナル・アルバム(シングルとかその他)の音源で聴くよりも更に戦闘モードに突入しているような印象を受ける。そしてそう言うライブ・スタイルと最も符合するアクトがこれだ。

 

 Case2『MANUAL』 


Anly - MANUAL @ Rude-α presents “TEEDA vol 5”, Shibuya, Tokyo, 2019.03.03

 

この歌が生まれた内情を説明すると、中学や高校などの学校で「生まれつき髪の色が黒くない人は染めてないという事を証明する【地毛証明書】を提出せよ。」と言う校則(=ブラック校則)がいまだに存在しているという。生まれつき茶色い髪の毛の彼女もそんな理不尽な思いをし、そのブラック校則に異議を唱えるべく『Manual』という曲のパフォーマンスをお客さんによる動画撮影をオールOKにして全世界に拡散させようという試みである。 

これはライブハウスだけではない。

こうした動画拡散パフォーマンスは学校での講演会なんかでも行われている。


♪MANUAL(弾き語りver.) / Anly 東海高校・中学校 サタデープログラムにて 講演中のミニライブより(撮影許可あり) 2018/06/30

 

さて、こうしたパフォーマンスから見えることはAnlyの、音楽やライブに対するそのひたむなまでのストレートな姿勢と、その飽くなきロマンティシズムである。だって普通「拡散」とかだったらAnlyの歌詞の中では異質とでも言って良いほど攻撃的な歌詞の本曲ではなく、もっとメロディアスな優しい歌詞のキャッチーな曲、例えば『Venus』や『Distance』辺りを動画拡散運動として取り上げられた方が、まぁ下世話な言い方をすれば「売れる」「金になる」のではないだろうか。

でも彼女はそう言う選択肢を取らない、いやハナっから音楽をそう言う金のなる木のような利用の仕方をすることなど、頭の片隅にもないのかもしれない。

「自分にとって過去、辛いことがあった。だから今、皆んなに伝えたいことがある。これからはこう言う犠牲者が出ないようにするために...」

ほんっとにこの拡散運動のモチベーションの90%以上はコレなんだろう。

だからこそこの『Manual』拡散運動に関して言えば、名前をガンガン売ろうだ、曲を大ヒットさせようだ、という事はそんなに考えていないのだろうと思う。

本当に純粋な昨今にしては珍しいくらい「キッチリと歌を届けること。」を実行できている生粋のシンガー・ソングライターだと思う。まぁとは言え、プロのメジャー・アーティストであるからそこにビジネス的勝算や目算はあるとは思うのだが。

 で、話は唐突だが、この件に関してなんとなく懸念している事がある。SNSでの『Manusal』動画ツイートを見ると通り一遍等にあまりにも「 #ブラック校則撲滅」 みたいな社会派ツイートばかりになってしまっている気がするのだ。確かに、このAnly自身が放つメッセージによってブラック校則という悪しき習慣が撲滅する方向へ世の中が変わっていく事って確かに重要だとは思う。でも彼女は「そういうこと」を訴える為に音楽を奏でている訳ではない。我々リスナーがSNSでやるべき事はの動画を使っていかにカッコイイ弾き方をしてるか、など彼女自体を広める目的でミーハーに走った感じで拡散するツイートも更に絶対やった方がいい。例えば、こんなにカッコイイシンガーがこんな素晴らしいパフォーマンスをしている、あ、そうだ実はこういう「ブラック校則」みたいなにもノーを突きつけている、みたいな。彼女の良さが広まって、もはや世界を手にすることができれば世の中も自然と変わると思うから。

とは言え、別にそんなシリアスさとストイックなまでに音楽を追求するアーティストという側面が如実に出たようなマグマと微粒子のサウンドミームをループ総動員で繰り出してくる攻めのパフォーマンスを繰り出す闘うそんなアーティスト・Anlyとは裏腹に、MCでの「バナナホールサイコー!バナナジュースサイコー!!!」などと沖縄を照らす太陽さながら底抜けに明るいキャラクターとのギャップもまた面白いんだけど。

いや〜ほんとAnlyほど音源聴くだけでは知り得ない数多くのニュアンスを残すライブってないなと思う。

 

Case3『Do Do Do』from "Loop Around The World"

2020年10月18日ぐらいだろうか、古くからのAnlyファンにとっても、関ジャム出演以降のファンにとってもまさに発火装置に起爆剤を打ち込むようなと物凄いlive videoがYouTubeに降臨した。

そう、去年の『Loop Around The World』ツアーのライブ映像から、Anlyにしては珍しいくらいの「人との対人関係において愛想尽かした時の怒り」に根差した最強にライブでは盛り上がり必須のゴリゴリのヒップホップ曲『Do Do Do』のライブ映像が満を辞して大公開されたのである。

もうここでは何も言わずとも、もう見て頂ければ一目瞭然であるが、多重に及ぶギターから、リズムから、ファンキーなコーラスから、突き刺すようなライムから、観客の熱狂から、何なら彼女のイヤリングの揺れ方に至るまでもう一瞬たりとも無駄がない。Anly のループペダルはトラックを綿密に構築しつつも、そのプロセスを魅せ、更にそれら全部放り出してまでも観衆の心のど真ん中を射抜くダイナミズムがある。

 特に3:50辺り〜の真っ赤に染まった照明からこれまで構築してきたバックトラックをフロアの歓声とともに大爆発させた瞬間が凄まじくて、思わず喜怒哀楽どれでもない涙が溢れ出てきたものだ。このライブパフォーマンスは幾度も生で拝見したことがるが、この動画レベルにおいても我々は音楽を、そしてliveを卒業できない全ての理由が存在するのを確信すると言っても過言ではない。本動画は紛れもなく音楽の神、或いは過去のロックレジェンドの亡霊が降臨させた瞬間を捉えた凄まじいライブドキュメントでもある

そういえば、『関ジャム』出演者の誰かが言ってたが、あのエド・シーランのカバー以上に、これこそが世界に通用するレベルのパフォーマンスであるといえよう。この動画視聴者数が「100万閲覧を突破した」の意義が大きいのは、大型タイアップの力でも、「関ジャム」が宣伝した訳でも、コロナ禍でのスペシャルなLIVEでもなく、去年のツアーの一部を切り取ったLIVEが日常の光景だった頃の動画である事だと思う。

【これは過去の光景ではなく、来るべき未来の姿である】
そんな彼女からのメッセージが聞こえてくるようでもある。


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Case4『Venus』4年間のもたらす "進化"

ラスト曲は個人的に『Distance』か、『Venus』で来るだろうと予想していたが、本曲が選ばれたのは、あの三味線のような独特のギターの構え方で誰もがハッと悟ったことだろう。

でもまぁもうこの曲にブチ込めるものは半端なかった。この日、全体的に感じたこのコロナ禍でライブをやることの意義を意識したライブで、どこかソーシャルディス・タンスモードを意識したこの日のライブだったが、本曲に関してはそれを踏まえつつも、自身の音楽キャリアの中で今何をすべきか、今後どうあるべきか、どうありたいかなど全ての感情をこの一曲にブチ込んだようなパフォーマンスだった、と断言して良い。

そして更にこの『Venus』が5周年記念ライブのトリを飾る曲であることに感慨深い古いファンも多くいた事だろう。

 というのも、本曲に関して彼女は当初はそれほどループマスターと言えるほど卓越したプレイができなかったのだ。その証拠に以下は2017年の大阪なんばパークスでのリリイベの様子(early loop ver. )と約一年経過後の渋谷でのワンマンにおける『Venus』(advanced loop ver. )とを挙げておこう。

❶『Venus』2017 early loop pedal ver. 


Anly 「Venus」

❷『Venus』2018 advanced loop pedal ver. 


Anly - Venus (with coda) @ Shibuya, Tokyo, 2018.11.15

❸『Venus』2021 more advanced loop pedal ver. 2


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ね?、❶と❷と進化過程の恐ろしいほどの違い、というか成長ぶりというか、進化ぶりを感じられただろうか。

いや、これ❶でも十分凄いのだが、どこか飛び立つにはまだどこかフラジャイルな物を慎重に扱うような手つきでどこか飛び立つ前の小鳥のような不安げな視線で、Loop pedalの繰り出す音像に時に翻弄されつつリカバーを重ねていくこの初々しい様子に驚きすら覚える。

だってこれまだ10年近く前ならこれともかくまだまだ2020年時点ではごくごく最近と言って良いなんとまだ3年前(2017)の出来事なのだ。

それとは対照的に❷では、もはや逆にこれまで自分の構築した音像を完全に自分のものとしてそこから一気に放たれるコーラス、ギター音、リズム音を全て解き放ち無限のカオス音像を縦横無尽に撒き散らしつつもエンディングでふっと手中に納める音の魔術師と形容するに値する❷とを比べて、誰が❶と❷とが同一人物によるプレイだと信じられるだろうか?ちなみに❷の時の表情は物凄く自信に満ちているしこうして比較すると全くもって別人のようではないか。あと❸は去年の奈良neverlandと言う老舗のライブハウスでの模様で、ここまでくるともう次元すら違うのがわかる。

 

Case5 2020年以降の新曲群

❶『星瞬 〜star wink〜』


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MVの中で、ダンサー水村里奈が悲しみに暮れる日々も過ごしつつも、ある日流星群の放つメッセージに気づき、もう一度光の中へと立とうと決心するダンスと表情の放つ表現力に心奪われる。
どこか輪廻転生を彷彿させる歌詞世界の【語り手】に徹するAnly との対称も絶妙。

しかし後半で一気に流れ行くようなダンサー達は一体何のメタファーなんだろうね?

以下記した流星群なのか?
あるいは天使達なのか?
あるいは別に次曲への流れにかこつける訳ではないが『Free Bird』達なのか?

いずれにせよ映画『夏目友人帳』にヒントがあるのかもしれない。

と言うことでこちら夏目友人帳 〜石起こしと怪しき来訪者」の主題歌で、2作品計50分という構成ながらも別物語としてではなく全体的に緩やかな流れの中で自然に共存する印象があった。そんなヒューマニズム(あやかしイズム?)溢れる両作を、ラストでキッチリ情緒的に締め括る 本曲の役割がとても大きい。

❷『キャンセル待ちの恋』


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電Qと言うイラストレーター物凄い80s ~90s辺りのアニメーションの影響受けてると本MV観て少なからずビックリ。今ちょうど90sのファッションがリバイバルしてるようにこの辺りのトーンが今の時代新鮮に映るんだろう。『星瞬〜Star Wink』とガラッと違うけど、ワンコースかけてフェイドアウトさせるのをタイアップ側は要求してそうなのに、後半にピークを持ってくよう仕組んだのはアーティストサイドの意地だと思った。
『キャンセル待ちの恋』も実はブレイク宣言のニュアンスあるしその根底にあるものは非常に野心的。一聴した瞬間思ったけど、てか私しか言ってないけど、それでも構わんが(笑)

この曲バックトラックもトロトロに溶けそうな本格的なレゲエサウンドで最高なので誰かDJとかリミキサー陣呼んでremix ver.が5~6曲ほど盛り込まれた
題して『キャンセル待ち e.p.』をリリースしてほしい。リミキサー陣の色んなイマジネーションに根ざしたサウンド解釈が広がりそう。

Anly『キャンセル待ちの恋』はミュージックシーンにおける現在の自らの立ち位置を鑑みて、まだ見ぬリスナーに向けてのメッセージもマニフェストされた曲だと思っている。

【振り向いて欲しい】のは紛れもなく「時代」なのかもしれない。

❸『VOLTAGE』


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Anly新曲タイトルはズバリ『voltage』!
本単語自体にはエレキギターを思わせる【電圧】の意もあれば、LIVEを思わせる【熱狂】の意も兼ね備えている。割とLATWツアーで披露された新曲群が割と優しいトーンの曲ばかりだったから『FIRE』を思わせるこういう真っ向勝負感のあるニュアンスの曲は純粋に楽しみ。タイトルから『FIRE』とか『Do Do Do』『KAKKOII』辺りのハイパーモード曲がくるかと思ったが、あの辺のテンションはそのままに『Not Alone』などのアンセムテイストも付加したAnlyのライブ爆裂モードを総合化したような真っ向勝負曲だと思った。

以前彼女の誕生日ライブで初めてアコver.で聴いた時、一人ながら多様に広がる歌声ゆえかパッと『Bohemian Rhapsody』の弾き語りが浮かんだ。
 本曲も アニメ『Boruto』の世界観を投影したものであり、現実世界への闘争宣言としても機能する、ある種「ロックオペラ」なのかもしれない。


【付記】過去のAnlyに関する記事コレクション

nenometal.hatenablog.com

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