NENOMETALIZED

Music, Movie, and Manga sometimes Make Me Moved in a Miraculous way.

Keep on singing 'til the day〜グローバル・ポップスの先駆者、#Anly が歌い続けることの意義

0. And Anly said...

2020年11月25日、東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで開催されたAnlyのメジャーデビュー5周年を記念して開かれた「Anly 5th Anniversary Live」の最終曲『Venus』を目前にして、彼女は流暢な英語で以下のように世界中のリスナー達へ向けて以下、決意表明のようなスピーチをした。

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 So, the next song will be the last one for the night. 

Tonight is the night that I will remember for a long long time to come.

 Thank you all for making it possible.

It's been 9months since I last performed it in front of an audience.

It’s nice to see your faces. 

I would like to thank everyone who made it here tonight and also people who are watching via streaming services on the other side of the screen. 

Thank you also to all the staffs, my family and friends, and all the people who came in touch with me.

You all made it possible for me to stand here and song tonight. 

When I debuted 5years ago, I never thought there will a day that I can’t do a live gig in front of an audience.

 But this Corona situation gave me a lot of time to think about many different things and now, so I have several new dreams

So it wasn’t all bad.

It made me realize in an ordinary day is the special one and there are a lot to be thankful for.

There are a lot of people that I would be to meet face to face on the other side of the screen. 

I hope we can all survive this pandemic and to see you all face to face and sing along together in loud voices soon. 

There is where I feel at home.

This stage is my home and you are all family to me.

I’ll keep on singing 'til the day I die.

I hope my song and voice will reach many people and hopefully, it will add a little color to their lives, and help them get through the day.

 

 

【日本語訳】

次の曲がラストになります。

この日が来るのを私はずっと待っていました。

この有観客という形で、9ヶ月ぶり公演を実現させてくれて本当にありがたく思います。

みんなの顔を見えるのはとても嬉しいことです。

今夜ここに来てくれた皆さん、そして画面の向こう側でこのストリーミングサービスを見ている皆さんにも大変感謝します。

また、スタッフの皆様、ご家族、ご友人、そして私に関わっている全ての皆様、ありがとうございました。皆さんのおかげて私はここで今夜歌うことができました。

5年前にデビューしたとき、このように観客の前でライブが思うようにできない日々が来るとは夢にも思ってもみませんでした。

 しかし、このコロナ禍は、私に沢山色んなことを 考える時間を与えてくれました。

そして今、私は多くのいくつかの新しい夢を叶えることも決意しました。

だからこの状況の全てが悪い事ばかりだとは決して思いません。

ただ、ありふれた日常の中にいることは実は、特別なものだというの事に気づいたのです。

そして、感謝すべきことがたくさんあります。

画面の向こう側で直接お会いたい人がまだまだたくさんいます。

私たち全員がこのパンデミックを乗り越え、皆さんが顔を合わせて、皆で大声で一緒にシンガロングできることを願っています。

私にはまるでこのステージがファミリーのように思えるのです。

そしてあなた達は皆、私の家族のようです。

私は、命朽ち果てるその日まで歌い続けます。

私の歌と声が多くの人に届くことを願っています。

そしておこがましいですが、みんなの生活に彩りを添えてくれるような音楽でありたいといつも願っています。

 

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.....そう言って彼女は静かにラスト曲である『Venus』のイントロを静かに奏で始めた。

 そう、今回の記事にはこのスピーチの中でも印象的なフレーズ【keep on singing 'til the day we die】の一部を拝借したタイトルをつけ、このグローバル・ポップスの先駆者であるAnlyが歌い続けることの意義を探るべく、11/25、5th anniversary liveを軸に
関ジャム出演、『Do Do Do』ミリオン視聴者突破、アニメタイアップ新曲リリース発表、等と...ここ三ヶ月のAnly を取り巻くドラマティックな流れをまとめたものである。

 

 本記事の構成は以下の通りである。

 

1. 11/25 5th Anniversary Live@渋谷duo 

① 信次レポ;序盤【配信View❶】

② 信次レポ;中盤【配信View❷】

③ 信次レポ;終盤【配信View❷】

④ 信次レポ;フィナーレ〜そして....;【配信View❹】

⑤ 配信View of Grand conclusion

 

2. Three Movement of Anly's

Case 1 ; 関ジャムTV出演とトレンド入り
Case2;『Do Do Do』公開とミリオン視聴
Case3;アニメの主題歌ふたたび
 
3.ライブ論〜音像を超えたその先にあるものとは?

 

 

1. 11/25 5th Anniversary Live@渋谷duo

そう、この日は、彼女としては長かったであろう約9ヶ月ぶりにもなる有観客ライブであると同時に、或いは有料配信のみならず、海外のオーディエンス向けに日本での配信LIVEを世界中で閲覧できるZAIKOというシステムも同時に設置されていて、世界中の彼女を知る人がこのループペダルのパフォーマンスを固唾を飲んで見守っていた。今日はそんな彼女の集大成であり更にどデカいムーブメントを呼び込むきっかけの日であるのだろう。*1

 

 11/25 Anly 5th Anniversary Live@渋谷duoセットリスト

 太陽に笑え
COFFEE
エトランゼ
FIRE
カラノココロ
Taking My Time
Beautiful
Moonlight
DREAM ON
Tranquility
ENEMY
Do Do Do
DAREDA
Not Alone
We'll Never Die
Venus

(ec)

笑顔

 

 この日の現場に行かれたAnly繋がりのフォロワーさんである

『★信次★shinji★@taisa_anly104さんのレポート』*2

のツイートを引用し、そこに配信としての私の視点を加えていく【配信View】を付加していくスタイルで行く事にしよう。

 

①信次レポ;序盤

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【配信View❶】

まさにこれは現場だからこそ伝わる臨場感あるレポートである。そのことがハッキリわかったのは私も同様に『Coffee』『エトランゼ』『Fire』辺りのコロナ以前のライブではかなりアッパーに奏でられるであろう序盤の3曲。ここは、あくまで個人的な見解だが、いつものように一気に爆発させるスタイルではなく、当初は感触を確かめながらだったが徐々に高速ギアにチェンジしていくスタイルであるように受け取ったのだがいかがだろうか。

その証拠として、『Coffee』ロングトーンがいつものように永久にどこまでも伸びていくようなあの感じとは少し違ってややひと呼吸置いたように感じられたのだ。まさにこのコロナ禍でのある程度の時間や物理的な距離感が空いたことがAnly自身の頭の中にあったに違いないと思わせたりもする。

だからこそ、あくまで配信LIVEで見ている人たちとの距離感をも意識しながらの「冷静さ」と「熱狂」とのギリギリの狭間を攻めている印象を受けたし、この辺りの感じ方は割とこの日のライブ全体に対して一貫していたようにさえ思う。

 

 

②信次レポ;中盤

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【配信View❷】

ここでの信次レポ通り、『Moonlight』辺りはゲストとのコラボということもあって、どこか配信組にも伝わるスペシャル感があったように思う。ゲストのななみさんのボーカルはどちらかというとどこか低めのボーカリゼーションで抑揚のあるAnlyの声と対照的だからこそハーモニーが絶妙だったと思う。そして、曲順が前後するが、これは『Dream on』の歌詞とか『Beautiful』の特にサビのメロディラインにどこか国内だけに留まらない彼女のグローバリズムみたいなのをいつも感じてしまうのだが。そして特筆すべきは『Tranquility』。それまで序盤からどこか感じられた目の前の客、配信客との間にあったソーシャルディスタンス感はどこか無くなってこの人は目の前にいるのではないかと思わせるような荘厳なアカペラに震えたと言った意味では上の信次レポと配信体験の我々とでほぼ変わりのない感想だと言えよう。

 そうだ、これは言うなればAnlyはその有観客と無観客配信の間にある垣根を取り払ってしまったのだと思う。何百人、何万人、何千万とオーディエンスがそこにいようがもはやAnlyと個人との一対一のライブだった

そういえば彼女は以前「"無観客"という言葉は嫌い、絶対誰かが画面の向こう側から見ているだろうから。」とツイートしていたのを目にした事があるが、まさにその言葉の真髄を知る思いであった。

 

 

③信次レポ;終盤

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【配信View❸】

もうこの辺りは『Do Do Do』『DAREDA』におけるループ捌き及びアッパーな演奏は信次レポに何の躊躇いもなく同意。「That's it!!Absolutely, true!!!!! 」って感じ(なぜ英語しw)なので、ここで私の方から新たに記述する必要はないが、ふと彼女の有観客ライブに何度か足を運んだことある経験から、これだけは有観客ライブ会場に足を運ばない限りは体験できない事であり、かつ既視感を覚える出来事がある。そう、MCの時である。彼女のライブではパフォーマンスのみならず、とにかくMC中でも拍手が巻き起こることが多い。

例えばこの日、ピックを補充する時にそばにあったピックをかき集め、マイクスタンドに一つ一つ手際良く突き刺す時に見守り「誰か自動で補充してくれるシステム作っていただけないかしら。」と冗談めかすと、不意に起こる笑いと誰かの勢い良い拍手。で、その勢いよく拍手したその人にパッと反応して「あ、(そういうシステムを)製作していただけるそうで...」と言ってまたまたドカンと起こる観客の笑い。*3

 ほんとこれはいつも感心するのだが、Anlyは若干20代前半とは思えぬほどまるでベテランシンガーのようにこういう客のリアクションに対する切り返しが上手い。ちなみに去年大阪の「いめんしょり」の時にチューニングが長引いてなかなか次の曲に移行する事ができず客もざわめき始めかけた時にアドリブで「今のは“チューニング”と言う曲でした!」と言ってウケを取ってその後のLIVEの流れを完全に自分のものにした伝説があるのだが、それも昨日のことのように記憶に新鮮に思い出す

 そして、次の曲にこじつけるわけではないが、この人はLIVEの女神を呼ぶ力があるのかもしれない、いやこの人自体が音楽に選ばれしVenusなのかもしれない。

 

 

④信次レポ;フィナーレ〜そして....

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【配信View❹】

ラスト曲は個人的に『Distance』か、『Venus』で来るだろうと予想していたが、本曲が選ばれたのは、あの三味線のような独特のギターの構え方で誰もがハッと悟ったことだろう。

でもまぁもうこの曲にブチ込めるものは半端なかった。この日、全体的に感じたこのコロナ禍でライブをやることの意義を意識したライブで、どこかソーシャルディス・タンスモードを意識したこの日のライブだったが、本曲に関してはそれを踏まえつつも、自身の音楽キャリアの中で今何をすべきか、今後どうあるべきか、どうありたいかなど全ての感情をこの一曲にブチ込んだようなパフォーマンスだった、と断言して良い。

そして更にこの『Venus』が5周年記念ライブのトリを飾る曲であることに感慨深い古いファンも多くいた事だろう。

 というのも、本曲に関して彼女は当初はそれほどループマスターと言えるほど卓越したプレイができなかったのだ。その証拠に以下は2017年の大阪なんばパークスでのリリイベの様子(early loop ver. )と約一年経過後の渋谷でのワンマンにおける『Venus』(advanced loop ver. )とを挙げておこう。

❶『Venus』2017 early loop pedal ver. 


Anly 「Venus」

❷『Venus』2018 advanced loop pedal ver. 


Anly - Venus (with coda) @ Shibuya, Tokyo, 2018.11.15

ね?、❶と❷と進化過程の恐ろしいほどの違い、というか成長ぶりというか、進化ぶりを感じられただろうか。

いや、これ❶でも十分凄いのだが、どこか飛び立つにはまだどこかフラジャイルな物を慎重に扱うような手つきでどこか飛び立つ前の小鳥のような不安げな視線で、Loop pedalの繰り出す音像に時に翻弄されつつリカバーを重ねていくこの初々しい様子に驚きすら覚える。

だってこれまだ10年近く前ならこれともかくまだまだ2020年時点ではごくごく最近と言って良いなんとまだ3年前(2017)の出来事なのだ。

それとは対照的に❷では、もはや逆にこれまで自分の構築した音像を完全に自分のものとしてそこから一気に放たれるコーラス、ギター音、リズム音を全て解き放ち無限のカオス音像を縦横無尽に撒き散らしつつもエンディングでふっと手中に納める音の魔術師と形容するに値する❷とを比べて、誰が❶と❷とが同一人物によるプレイだと信じられるだろうか?ちなみに❷の時の表情は物凄く自信に満ちているしこうして比較すると全くもって別人のようではないか。

 そして更に凄い事に今回11/25でプレイされた『Venus』が❷ですら凌駕するほどの感動を得た点である。でもそれはテクニカルな領域の話ではなく、エモーションの観点が大きく関連させたと言える。

そのヒントは本曲を演奏する直前に放った英語でのMCにこそある。再度載せておこう。

 

I never thought there will a day that I can’t do live gigs in front of an audience.

But this corona situation gave me a lot of time to think about many different things.

It made me realize in an ordinary day is the special one.

 

このように観客の前でライブが思うようにできない日々が来るとは夢にも思ってもみませんでした。しかし、このコロナ禍は、私に沢山色んなことを時間を与えてくれました。

ありふれた日常の中にいることは実は、特別なものだと気づいたのです。

 

 

この11/25の演奏全般、異論があるかもしれないが全体的にどんなアッパーな曲調のものであってもどこか「大声をあげれないオーディエンス」「配信で自宅で見ているviewer」達を意識気しての完全に盛り上げモードではなくどこか冷静な視点というのもあったと思うのだが、この曲だけは全く違ってこれまでの彼女の『Venus』最強アクトと言っても良いぐらいの物凄い荘厳さとカオスティックさが全開に感じられたのは上のMCの思いまでも丸ごと曲の行間に込めることができたからだと思う。これは別に言葉とか音像レベルでは推し量れない何かスピリチャルな領域でしか感じられないもののようにも思えるのだが、敢えていえばこれまでのコロナ禍以降で培ってきた事故の考えや思いを起爆剤として自らの中にある魂の発火装置に燃料投下してきたそんなパフォーマンスがあったと言えよう。

この辺りは3章の「ライブ論〜サウンドを超えた先にあるもの」あたりで後述していきたい。

 

❺配信View〜Grand Conclusion

 さて、これまで信次レポと配信側から見た私の意見とを掛け合わせてみたが、まとめると信次さんはAnly登場時に目がぼやけてみえ、『カラノココロ』で涙が溢れ、と冒頭で2度涙を流されてて、さらにこの日のハイライト曲と称する『tranquility』においても感涙の涙を、そしてさらに先にあげたmc時でも、そこに至る過程でもいくつかの涙を流してる事は容易に想像できるが、もうその気持ちは痛いほどにわかる。単純に、私ももし現場に居合わせたらそうなるだろうから。そう、AnlyのLiveはセンチメンタルを煽る訳でもないのに涙が出てくる時がある。ただ、ここで注意して欲しいのはそれは決して喜怒哀楽の涙ではなく圧倒的な何かに突き動かされたからこそ生まれる、言わば「魂の震撼の証のような涙」と例えられようか。にしても、だ。ライブは「配信でここまで凄かったんだから生演奏はもっと凄かったはず。」はもはや定型句だが、それにしてもこの配信は、今まで見てきた中でも『ビッチフェス2020』『無機質の狂気』とか規模のデカいフェス級の素晴らしい配信にも負けず劣らずの素晴らしい配信ライブだったと思う、しかもパフォーマーは彼女一人には関わらず、なのにだ。

あと個人的にAnlyの表情をここまで長尺でじっくり観たのも初めてだったからこれは配信の強みだとも思ったり。視線の座標軸がズレず冷静さを保ちつつプレイする職人の顔を垣間見ることができた。というよりも、これを配信LIVEではないもはや普通のLIVEで得る感動そのものを得る事ができたように思う。

 

 

2. Three Movement of Anly's

case 1 ;関ジャムTV出演とトレンド入り

そう、本ブログでも何度か取り上げてきたように、Anlyとは、彼女を知った昨年以降、彼女は歌声の伸びやかなシンガーであり、洗練したルーパーであり、客を熱狂の渦に巻き込むロッカーとイメージの定着など笑い飛ばすように多彩な面を見せてくれる、もはや歌手、ミュージシャンなどという枠を超えた新たなタイプのグローバル・ポップスの進化形と呼称しても良いSSWであると認識している。

*4

グローバル・ポップスとは私の造語で、日本人のjポップスの遺伝子を引き継ぎながらもどこか国際感覚を持ってて自然と洋楽のニュアンスとか、フレイズなどの引用ができる新たなタイプのシンガーだと分類している。そんな事を思いつつ、彼女がテレビ出演でもしたら物凄いムーブメントを生むんじゃないかと思い、過去、Anlyのテレビ出演熱望に関する記事を執筆している。 

nenometal.hatenablog.com

nenometal.hatenablog.com

そしてそんな願望は打つしか現実へと変わった。

今年の10月5日、『関ジャム完全燃SHOW』なる人気音楽番組においてループペダルを披露するという趣旨のもとで彼女はゲストとしてテレビ出演を果たしたのだ。

この辺りのムーブメントの勢いっぷりに関してはここに記述するまでもない。

特にこの10月以降ある出来事をキッカケに彼女のムーブメントを追いかけるべく、以下のtogetterという形でまとめ上げているのでそちらを参照いただければ一目瞭然である。  

togetter.com

   *5

Case2;『Do Do Do』公開とミリオン視聴

10月18日ぐらいだろうか、古くからのAnlyファンにとっても、関ジャム出演以降のファンにとってもまさに発火装置に起爆剤を打ち込むようなと物凄いlive videoがYouTubeに降臨した。

そう、去年の『Loop Around The World』ツアーのライブ映像から、Anlyにしては珍しいくらいの「人との対人関係において愛想尽かした時の怒り」に根差した最強にライブでは盛り上がり必須のゴリゴリのヒップホップ曲『Do Do Do』のライブ映像が満を辞して大公開されたのである。

もうここでは何も言わずとも、もう見て頂ければ一目瞭然であるが、多重に及ぶギターから、リズムから、ファンキーなコーラスから、突き刺すようなライムから、観客の熱狂から、何なら彼女のイヤリングの揺れ方に至るまでもう一瞬たりとも無駄がない。Anly のループペダルはトラックを綿密に構築しつつも、そのプロセスを魅せ、更にそれら全部放り出してまでも観衆の心のど真ん中を射抜くダイナミズムがある。

 特に3:50辺り〜の真っ赤に染まった照明からこれまで構築してきたバックトラックをフロアの歓声とともに大爆発させた瞬間が凄まじくて、思わず喜怒哀楽どれでもない涙が溢れ出てきたものだ。このライブパフォーマンスは幾度も生で拝見したことがるが、この動画レベルにおいても我々は音楽を、そしてliveを卒業できない全ての理由が存在するのを確信すると言っても過言ではない。本動画は紛れもなく音楽の神、或いは過去のロックレジェンドの亡霊が降臨させた瞬間のを捉えた凄まじいライブドキュメントでもある

そういえば、『関ジャム』出演者の誰かが言ってたが、あのエド・シーランのカバー以上に、これこそが世界に通用するレベルのパフォーマンスであるといえよう。この動画視聴者数が「100万閲覧を突破した」の意義が大きいのは、大型タイアップの力でも、「関ジャム」が宣伝した訳でも、コロナ禍でのスペシャルなLIVEでもなく、去年のツアーの一部を切り取ったLIVEが日常の光景だった頃の動画である事だと思う。

【これは過去の光景ではなく、来るべき未来の姿である】
そんな彼女からのメッセージが聞こえてくるようでもある。

 

Case3;アニメの主題歌ふたたび

 そして本3つ目のムーブメントが今回の5周年記念ライブのタイミングに歩幅を合わせるように発表されたAnlyの新曲『星瞬~Star Wink~』が2021年1月16日から限定上映される「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」というアニメ映画の主題歌に決定した。というニュースである。

e-talentbank.co.jp

 

 ここでの本記事内のAnly自身のコメントを引用する。

『星瞬~Star Wink~』は私がずっと大事に温めていた楽曲です。

夏目友人帳』は優しい涙が流れてくるぬくもり溢れる作品です。

今回作品の主題歌に選曲して頂き、とても嬉しいです。目には見えない絆や想い。

何気ない風景に重なる大切な思い出。 それらが生きてゆく上で大きな力になることを歌詞に乗せました。音や言葉一つ一つがストーリーと作品をご覧になる皆様の心に寄り添えたらと願っています。

ここで彼女の去年のツアー『いめんしょり』に行ったことのある人なら『Star Winkという曲名が記憶のどこかしらにあるかもしれない。以前このツアーでAnly がドキュメンタリーを見て作ったという新曲のタイトルと同一のもので、愛する者と死に別れた事に対し、その運命を受け入れつつも来世での再会を誓う」という一途な想いにあふれた歌詞が外連味のない声でエモーショナルに繰り返されるあのサビに瞳孔開きっぱなしのとても良い曲だった。

真っ直ぐに空と海を見つめる歌詞とインターナショナルに広がるメロディーとの絶妙な調和。当時、これまでルーパー爆裂モードしか見ていなかったので「いめんしょり(いらっしゃい)」という南国に招待されたようなタイトルでのギター弾き語りは新鮮だったが、まさに本曲はAnly史上最も人柄や曲の輪郭が伝わってきたLIVEだった「いめんしょりツアー」を象徴するような主題歌的役割絵を担うものだったと位置付けている。*6

 ちなみに、アニメ主題歌として思い当たる節がある。それは、『NARUTO疾風伝』と言うアニメタイアップ曲であ2017年にリリースされた4th singleの『カラノココロ』

その曲に関して、11/25のライブ前日に彼女は以下のようにツイートしている。

 

ナルト72巻と外伝小説を読みこみ、歴代のOPとED曲を聴き込んで、ナルトとサスケの関係性、そして全てのキャラクターに当てはまるように歌詞を書きました。私の最高傑作です!

 

そう、以上のツイートを見て彼女の熱心なリスナーほど「最高傑作」なる言葉にひっかからなかっただろうか?これまでのAnlyの活動を振り返ってみたら分かるように彼女の視線の先は過去ではなく未来にあったように思う。だから「最高傑作」という名の勲章を過去の楽曲に付するだろうとは到底考えられなくはないだろうか。

だが、少し視点を変えてこうも考えられはしないだろうか。

きっと彼女は最高傑作と言う称号を前回のアニメ作品に敢えて付する事によって、次なる新たなアニメ作品への期待値を高めたのだと思う。言って見ればこの「最高」を超える「更なる最高」が用意されている、という彼女なりの自信に満ちた示唆があるのかもしれないと考えているのだが。

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3. ライブ論〜音像を超えたその先にあるものとは?

さて、これまで11/25の5周年を軸としてここ最近のAnlyのもたらす3つのムーブメントについて考察してきたが、最後に彼女のライブスタイルとはいかなるものか、彼女本来の持つパーソナリティにも関連させて述べていきたい。

 個人的には去年4月の神戸アコフェスにおいて、初めてAnlyの音楽を聴いて以来よく考える事だが、例えば『Fire』のループ・プレイで何が最も感動するかっていうと、技術的な側面を除いて、あのギターボディをボコボコ叩く所にどうしようもなく惹かれてしまうのだ。確かにあのパフォーマンス自体にはメロディや歌詞の流麗さを伴うポイントは皆無である。ただただ、あのパフォーマンス自体に彼女が音楽人という枠を超えて、もはや音楽の一部に化してしまおうととするアティチュードすら感じ取りひたすら感動してしまうのだ。

*7

 

そう言えば、第一章で触れた『Venus』前の英語MCの前に以下のように日本語で丁寧に語っているのをふと思い出す

 

きっと私は色んな形で歌い続けるだろうと思います。

こうやってループでやるのもそうだろうし、

弾き語りもするだろうし、何も持たないで歌ってるかもしれない。

でもやっぱり私死ぬまで歌ってたいなぁって思うので、

その気持ちを忘れずに私の声とか歌が誰かの生きる力になって欲しいなとか、

誰かの1日を彩って欲しいなとか、おこがましいけどそんな風に思ってます。

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.......【死ぬまで歌っていたい】

世の中にはそれこそ『北斗七星』ではないが幾多のミュージシャンなるものが存在するが、こうはっきり断言できる人はそう多くはないだろう。ここ最近は90年代後半辺りからミュージシャンの生活様式もマルチになってきていてどちらかと言うと【音楽無しでも生きていける】と言うアティチュードが主流である中でこの発言は驚くほど外連味のないピュアでイノセントな告白であるように思う。

また更にこのコロナ禍におけるAnlyと以前記事にもなったインディーズ・パンクバンドであるWho the Bitchの自粛期間中の配信ラッシュは群を抜いていた。いや配信のみならず、SNSでの発信であるとか、リスナーとともに拘ろうという意識の高さは、どっちも音やジャンルは違うが多分根底にあるものは同じで、【エンターテイナーとしての今やるべき使命】に満ち溢れている点で共通している。それぞれフィールドは違えど、この二組はコロナ終息を皮切りにスコーンと抜きん出る存在になるだろうと思う。

 で、話は少し脱線するが、最近ライブで個人的に重視してるのは別に良い曲が失敗せずに良い形で演奏されるか、とか綺麗な歌声が聞かれるか、とか、盛り上がることができるか、という事はさして重要ではないのではないという事を、特にこのコロナ禍以降ヒシヒシと感じている。ハッキリ言うと最も重要なのは「魂が震えるか否か」である。これは私が「ライブ行きますレパートリー」としている人たちの中でも特に鈴木実貴子ズにも、曽我部恵一にも、Anlyにもそう言う「圧倒的な何か」を感じとることができるのだ。 

 彼らは皆、ただ音源を譜面通り再生するように演奏するのではなくてLIVEでは(非常に頭の悪い言い方をすれば)曲の沸点がグワァッッッッ!!!!!ってあげている感覚になるような、曲を起爆剤として自らの中にある魂の発火装置に次々と燃料投下しているようなそんなイメージがある*8

確かに音楽は素晴らしいものだ。でもコロナ禍以降、僕らは圧倒的に何かを失ってしまった。

はっきり言ってしまえば、コロナ以前と以降とでは、自分内バンド・ヒエラルキーが大きく変わってしまったってくらい音楽に対して、ライブに対して、ミュージシャンに対して接し方が変わったのだと思う。
それは色んなものへの希望だとか、いろんな物事に対するモラルだとか、信頼性である、とかそれらはあげればきりがないが、でも何よりも重要なのは、そんな我々が常日頃から抱いている絶望や怒りなどの感情のドグマに対して拳を突き上げる姿勢を共有してくれ、自分を前進sせてくれる音楽を渇望しているのだ。
そして、そんな音楽を鳴らす音楽家を心の底から支持していきたいと思う。そしてその先頭部に間違いなくAnlyは立っている。音楽の神よ、彼女にもっと大きく世界を照らせる光を与えよ、そして大きく鳴らせる力を与えよ、いやむしろ、彼女にこそミューズの称号を与えよ、と切に願ってやまない。

 

....さてさて、またもや14000もの文字数を超えてしまった長尺ブログとなってしまった。

*9では本記事を終えわせるべく2019年神戸アコースティックフェスティバルにて個人的に最初のライブにて彼女の音楽の素晴らしさに気づいた『Distance』という曲に、リモート演奏にて壮大なorchestraアレンジで彩られた融合したこの荘厳な『Distance』-Orchestra Version-』にて本記事のフィナーレを締めくくろう。

 

You must keep on Singing 'til the day we die, but we'll never die as soon as you keep on singing.


Anly 『Distance』-Orchestra Version-

 

 

 

 

*1:このZAIKOってシステム今回Anlyで初めて知ったんだけど、彼女のみならずこういうの他の人もやりゃ良いのにな。

*2:ここから『★信次★shinji★@taisa_anly104さんのレポート』だと長いので以下、「信次レポ」と呼称する。

*3:あ、そうそう、この時のAnlyがこのシステムの製作を任せた勢いの良い拍手主は他ならぬ今回のブログの立役者、信次さんだそうです笑

*4:この辺り、Anlyのみならず、Reiとかiri或いは竹内アンナなど勝手に【グローバルポップス世代】と呼んでいる。そういえば最近、竹内アンナとAnly が偶然同時期に『MATOUSIC』と『sweet cruisin‘』というALを出してるのだが、いずれもフィールドこそ違えど既存のjPOPの枠組みを軽く飛び超えた感じが共通して心地良い。所々垣間見える海外ポップスやR&Bの引用の仕方もとても自然。

*5:「フットペダルを物凄い巧みに踏み倒してたな、あのおねえちゃんは....」
そういえば個人的によく聞いているpodcast番組『くりらじAppleるんるん』でも紹介された。ただ一つ不満を言えば、パーソナリティのBJさんが、アーティスト名を覚えなかった事(笑)

*6:ちなみに『星瞬〜Star Wink』っていめんしょりの時の『Star Wink』と同じなのだろうか?多少詞が変わってたり、アニメ用に何らかのmodificationがあるような気がする。

*7:ちなみに以前記事でも触れた事であるが、Anlyは去年大阪の「いめんしょり」の時にチューニングが長引いてなかなか次の曲に移行する事ができず客もざわめき始めかけた時にアドリブで「今のは“チューニング”と言う曲でした!」と言ってウケを取ってその後のLIVEの流れを完全に自分のものにしたのを忘れない。この人はLIVEの神を呼ぶ力がある。

*8:ちなみに本記事で頻繁に「発火装置」と「起爆剤」という言葉が出てくるがこれは単にあの今をも生きる伝説のパンクバンド頭脳警察のドキュメンタリー『zk頭脳警察50未来への鼓動』の中でしきりにToshiはPantaという起爆装置のための起爆剤の役割をする。また逆も然りみたいなシーンが出てきてこの言葉遣いとても気に入ったからだ笑

*9:いやいや確信犯ですw