ボールド アズ、君。レビュー〜LIVE映画であり映画のLIVEでもある『ボールドアズ、君。』ここに降臨!!

1.impressions
来年本格上映の本作はクラファンで参加しているので試写会において一足早く鑑賞しているのでネタバレなしに感想を述べることにするが、まず一言。Live シーンの臨場感にひたすら圧倒された。もうこれはライブ映画であり、映画のライブである。
具体的にいいえば、関西近郊ではその名が知れ渡っているロックバンドである「スムルース」や「アシガルユース」だとか、岡本祟監督による長編第一作目『ディスコーズハイ』でもお馴染みの映画オリジナルのバンド「P-90」、そして本作のオリジナルのバンドである「翳ラズ(かげらず)」ととにかくLIVEハウスでのバンド勢の演奏シーンが美しすぎて力強くてそれでいて光に溢れていて、普段からライブ慣れしている私でさえ思わず目から大量の水分が溢れ出たほどだ。
因みにスムルースのあるライブ定番曲がめちゃくちゃ良い感じに使われてるんだよな。
鑑賞後この曲を口づさみながら帰宅したものだ。
本作は、日頃主に心斎橋周辺で血と汗を流しパフォームしている彼らにありったけの愛情と光を当てている音楽映画であり、今後音楽を愛する全ての者達を祝福するアンセムにもなる事だろう。
LIVEパートで個人的に #スムルース を初めて生で聴くなど。キャラメルボックスへの提供曲など音源では聴いてたり、回陽健太氏は #優利香 バンドで何度も観てたりと、いつも私の視界の範囲内にいるバンドだったのでLIVEはむしろ新鮮。
— ネノメタル𒅒Ahead Of the TRUTH (@AnatomyOfNMT) 2023年8月22日
パースペクティブが広がるサウンドがとても良い。#ボールドアズ君 pic.twitter.com/ksadFbP9vT
そしてドラマの中核を成す登場人物らにも少し目を向けようか。
今回は『ディスコーズハイ』でも冒頭にちらっと路上ライブシーンで登場した珠ちゃん(伊集院香織)が主役である。本作は彼女の孤独なオタク時代から直向きなオタクになり、ステージでカリスマアーティストから見つかるまでの最高のヒューマンドラマでもあるのだ。
2025年、多くの人がそんな彼女に救われるだろう。彼女だとか、井澤雄一郎(津田寛治)の心象風景にフォーカスしてザワっと変わりゆく部分にヒリヒリ共感しつつ鑑賞した。 それと関連して私的2024年ベスト1の『ブルーを笑えるその日まで』のアンと『ボールドアズ君』のたまちゃんの孤独なオタ時代の心象風景が物凄くオーバーラップする。
来年辺りでも映画館によっては両作をフィーチャーした「令和の青春映画特集」みたいな企画するのも大いにあり!とふわっと提案しときたい。
いや〜、それにしても頭を掻きむしる仕草やらアヒル口で札束を数えるシーンがあそこまでカッコ良くてサマになる人は後藤まりこ氏以外に考えられません。「お騒がせしてすいません」といってレコード会社の人に無理やり謝られるシーンはやけに現実の彼女からと大いにオーバーラップしてて本編とは関係ないところで笑ってしまった。
2.Focus
あと本作と前作長編の『ディスコーズハイ』との関係に関してだが、P-90も出てくるので「続編」と捉えるべきかもしれないが、時間軸として瓶子結衣子が生きているという事実から考えると前日譚としての解釈も可能である。その辺りの時間軸に関してはそれほど正確ではなく敢えて曖昧にしている向きもあるので観た人の解釈だけで捉えればこの上ないように思ったり。
その意味では個人的には『ボールド〜』のラストと『ディスコーズ〜』の冒頭とが繋がってくるように思っている。
そのことを象徴するエピソードとして本作のラスト付近のとあるシーンを観てその物凄い偶然に驚愕し鳥肌がたったものだ。
本作の初公開日の3日前、岡本崇監督率いるバンドであるココロロも出演していたHelplessTriangle (ちなみにP-90のメンバーであるイシカワさんがリーダーのバンド)のLIVEイベントでイシカワシ氏と岡本氏との間で本作のあるシーンと全く同様の「事件」を目撃したからだ。これはネタバレ抵触になるので明言は避けるが、ライブハウスで起こった事と映画でのワンシーンがクロスしてリンクしたのだ。
正にライブハウスが映画となり、そして映画がライブハウスと化した瞬間であった。
そう、ここで注意すべき点は、本作は別にバンドを、音楽を、そしてライブを別に取り立ててデフォルメしたり美化したりした映画ではないという事。ライブハウスでは、もうありのままああいう事件は常に起こっているのだから。言い換えればライブハウスでは常に映画のような「ドラマ」が起こっている。
これはあくまで私見であるが、出演してなくてもエレママから鈴木実貴子ズからWtBからpod‘zからUekiSoyokaから優利香から東京でも仲良くさせてもらっている古郡翔馬などのバーペガ勢やなみたすゐなど多くのインディーズアーティスト達の面影がふっと浮かぶのだ。
その意味で本作はLIVE映画であり映画のLIVEなのだと定義している。
だから映画ファンのみならずライブファンだとか音楽ファンにこそ体感してもらいたいダイナミズムがある。
以下、個人的雑感
①ぺつさん(未遂ドロップス)の「ああいう人いる」感と「あの方ならではの味」とのバランスが絶妙で良。
②内藤御子さんを昨日初めてBCライブシーンで認識。
③結局逃げるのに見つかるまでなぜかいるp-90の鈴木大夢さんがナゾで良。
④エンドロールのフォントがコココロらしくて良。
⑤あと少しだけ辛口な事言うが、ある場面で絶対有り得ない状況で「ある人物が他の人物に偶然出くわす」と言うのが2シーンほどあるのだがあれには違和感を覚えざるを得なかった。特に最初のはかなり強引なのでむしろ驚いたし、あの辺の若手男性俳優の演技も大げさすぎなのも相まって正直興醒めしたのも事実。そこが残念なので5.0は上げられないかな。スコアは4.8に。いくら映画だからってフィクションだからって遵守すべきリアリティというものがあるだろう。
あの場面はそこを大きく逸脱していた。
いつの日か、全国LIVEハウス爆音上映ツアーでもカマせばいい。というよりその為の下地を私は今密かに目論んでいる。
あの、キング牧師はこう言った。
Almost always, the creative dedicated minority has made the world better.
(常に世界を変えてきたのは創造的で直向きな少数派だ。)