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#Anly アイデンティティの欠片を求めて〜 日本の音楽史上最高超絶大傑作『#QUARTER』爆裂レビュー Side-A(🎈編)『Alive』~『Homesick』まで

PART 0. PRESUPPOSITION

 2022年10月12日、控えめに言っても日本のポップ・ロック史を塗り替える勢いの超弩級の物凄い傑作が誕生した。


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この、沖縄・伊江島から上京してきて10年に満たないキャリアの25歳のシンガーソングライターが、破格値の超が1000000000個以上ついても足りないぐらいの超絶大名盤を誕生させた。サウンドプロダクションがバキバキにキマッた『IDENTITY』『Do Do Do』も、アレンジ、メロディともに多幸感に溢れた『Saturday Kiss』『KOMOREBI』も共存しているものの、全く散漫な印象も受けず「Anly 」という音楽家のエッセイの如く自然に共存している腰の据わった音像群たちの佇まいに舌を巻くばかり。正直、『KOMOREBI』『Homesick』等穏やかな曲の配信リリースが続いたのでこれらの楽曲にメッセージアンセム『Alive』で締めくくる、といった風な極々当たり障りのない純粋なポップス・アルバムを予想してたので(まあそれでも十分に完成度は高いんだけど)ここまでSSWとしての自己のスタンスと世間へのステイタスに関して本音をぶちまけた重厚なALが完成するとは大変な驚きであった。まずはこの一曲目『Alive』という正に地元沖縄でのあるエピソードから世界へと向けたピースフル・アンセムから『Do Do Do』や『IDENTITY』『KAKKOII』などのライブ映え必須の攻めに攻めたバキバキに尖ったヒップホップ曲から、Anlyの真骨頂とも言える『カラノココロ』『VOLTAGE』のようなライブクライマックス映えするようなど定番曲のみならず、『Welcome to my island』『Crazy World』などの新境地開拓チューンから『KOMOREBI』、『Homesick』『Angel Voiceなどここ最近ライブ等でも披露された心のオアシスのような優しさ溢れる楽曲から、絶望も悲しみも喜びも希望も全部ないまぜにしたからこそ長編映画のラストシーンで捧げられる多幸感溢れる花束のような凛とした美しさを讃える『Saturday Kiss』もあり、そしてそんな物語のクライマックスを経てラスト『星瞬〜Star Winkのエンドロールのような崇高なまでの美しさにただただ酔いしれるケチのつけようがない素晴らしいアルバムに出会ってしまった....当然一回聞いただけではこのリスニングは終わりを告げることはない。

そう、無意識のうちに一曲目『Alive』からリピートしてしまうというこの回帰性を余儀なくさせるのだ...これは正に2ndアルバムのタイトルや今月末から始まるツアーシリーズのタイトルではないが正にLOOP必須なアルバムである。
 もうこれはハッキリ言って彼女がこれまでリリースしてきた3枚のアルバムの熱量を遥かに超えているばかりではなく、日本の音楽シーンのスタンダードを塗り替えるべき最高の音像であると断言して良い。 

そういえば『KAKKOII』の中の一節に

時代がまだまだ追いついてこない

少し癖があるくらいがちょうどいい

とあるが、このフレーズを数年前ぐらい初めて聴いた時のニュアンスがかなり変わってないか、とふと思う。当初本フレーズに触れた時に思っていた「一人のSSWとしてのリアリティありるフレーズ」というニュアンスがあったが、先月シングルとして聴いた時にはどこかもう一歩進んで「アイロニカル」なニュアンスで響いたものだし、そして今回アルバム音源として聴く本曲の本フレーズはむしろシニカルにそのフレーズを笑い飛ばせる来る次元にまで陥るようになってきたではないか。まあ何だか回りくどい言い方するのもアレなんでもうハッキリと断言しよう。

とうとう「Anlyに時代が追いついてきた」のだ。

 繰り返しになるが実力派SSWであるAnlyが満を辞してリリースするのだから珠玉の自信作になるだろうなとは思ってたけどここまで心に残る超絶大名盤になるとは思わなかった。しつこいくらいに言うが今まで彼女がリリースしてきた3枚のフルALを遥かに超えるぐらいのキャリア史上最高傑作なのだ。

....ということで本記事ではそんなAnlyの傑作『QUARTER』の誕生を祝して全曲を独自の視点からレビューしていきたい。

 まず、本章に入る前に、本アルバムの全体像を定義すべく前提として曲構成から検証してみようと思う。

当然ながら本アルバムは13曲である。

Definition;『QUARTER』の構成

そしてこのアルバムに関して本記事独自の視点として、実はコアな曲のテーマレベルで「7曲構成」になっていると仮定したい。

..........というのを聞いて「は?13曲だから13曲構成じゃん。」と思われるかもしれないがよく聞いてほしい。

各々の曲構成を1-2、3-4、5-6、7-8、9-10、11-12とペアにしてラスト13をエンドロールとした場合、驚くほどテーマ別に7曲に分かれるのである。これがアルバム並びに本記事の構成である。

Original Definition;『QUARTER』の構成

この定義を詳細に検証すると、1曲目と2曲目における彼女の出生地「沖縄」或いはそこにいる祖母という彼女の出生地に起因するものから最終的にグローバルなメッセージを送る【ローカルから世界へ】パート、3曲目と4曲目はどちらもある種ヒップホップ要素ありのバキバキ攻めモードで彼女の中にある怒りが根源となっているオルタナティブ•ヒップホップ】パートから構成され、5曲目と6曲目は穏やかかつ神聖な気分にさせる曲で構成されて【エンジェルからの奏でと癒し】パート、7曲目と8曲目はこれまでのAnly曲としてというよりJ-POPの枠組みを超える新境地となるサウンドプロダクションとなる【グローバルポップスから未来へ】パート、更に9曲目と10曲目では原点となる既存曲のリミックスと特に前作以降顕著なAnlyの必殺技とも言えるアンセム性を感じさせるその世界観から構成されているNARUTOから BORUTOへ】パート、そしてクライマックスとなる11曲目と12曲目では日常的な光景にほのかに彩りを添えるポップスとして昇華させた【日常を彩る光と花束】パート、そして最終曲では全ての楽曲が銀河系に散りばめられる惑星のような肯定性に導かれるような【星空を潤すエンドロール】パートで締め括られる構成なのだ。このように定義するもう一つの理由はフルアルバムサイズ13曲あって尚且つアレンジもガッツリ濃いのにもの凄く速く感じるのだ。だからミニアルバム的な曲数で飽きさせずに最後まで聴かせるストラテジー的な理由があったりするのではなかろうか、と思っているのだが深読みすぎるだろうか。

そこで本記事もこの構成に即した形で章立てて論じていきたい。

アイデンティティのかけらを求めて〜

Anly 、キャリア史上最高超絶大傑作『QUARTER』爆裂レビュー』

Side-A(🎈編)

PART1.【ローカルから世界へ】

1. Alive

2.Welcome to my island 

PART2.【オルタナティブ•ヒップホップ】

3. Do Do Do

4.IDENTITY

PART3.【エンジェルたちの奏でと癒し】

5. Angel Voice

6. Homesick

 

Side-B(💫)

PART4.【グローバルポップスの未来】

7.KAKKOII

8. Crazy World

PART5.【NARUTOから BORUTOへ】

9. VOLTAGE

10. カラノココロ(Matt Cab&MATZ remix)

PART6.【日常を照らす光】

11. KOMOREBI

12. Saturday Kiss

PART7.【星空を潤すエンドロール】

13. 星瞬〜Star Wink

FINAL PART.【アイデンティティの欠片】

 

PART1.【ローカルから世界へ】

1. Alive

★『Alive』 MV


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高らかに一曲目を飾る本曲。コロナ禍で音楽活動が自由にできない状況に対して「諦めるな」と彼女に勇気づけた92歳の祖母*1がキッカケとなって生まれた曲だと言う。それにしてもこの曲のMVは見れば見るほど味わい深い。2:31辺りから伊江島の住民達が彼女を囲っている。だが、ここで肩を寄せ合いシンガロングしたりする画は他のMVなどでもよくある光景なのだが、敢えてそれをしないのは「声を出せない」コロナ禍以降のライブの現状の有り様をリアルな映像作品として刻印したかったのだろうか。だが「魂の声」は力強く聴こえる正に「静寂のアンセム」と呼称するに値する曲であろう。そんな中、Anly は高らかに以下のように歌いあげる。

I will fight till the end Night is coming to an end

と...この部分を見てふと、70s以降に活躍したあのThe Queenが発表した勝利のアンセムWe Are the Championsにおける

And we'll keep on fighting 'til the end

という一節を思い出したりもする。*2

QueenWe Are The Champions


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このアンセム性についてもう少し語りたい。Anly が他の同世代かそれ以上の30代前後のSSWと一線を画しているのは【アンセム】を生み出せる強さに他ならない。過去の歴史的な過ちを平和への祈りへと昇華させ『Alive』と言うKeywordに添えて全世代に響くメッセージソングとして壮大に歌い上げる強さは彼女にしかなし得ない高みが内在しているように思う。本曲こそこのAlbumとそれに連動して続くLATW vol.4のツアーを扇動する起爆剤となるだろうという予感は本曲リリース当時から少なからずあったものだ。それにしても【命を鳴らせ】という力強いメッセージを内包する一方、どこか本MVから滲み出る素朴さの所在は何だろう?
 恐らく過去配信曲同様「かけがえなき日常」に光を当てる側面が本質的に一貫しているからかも。風船が様々な人に渡っていく様はまるで素晴らしい音楽が人の心に染み渡っている光景と重ね合わせることができるのかもしれない。

2. Welcome to my island 

タイトルの響きからどこか『OKINAWA SUMMER STYLE』だとか『TAKIN’MY TIME』などのような牧歌的な【人生そんなに急ぐ必要はないさ、ゆっくりやってきな、なんくるないさ】なニュアンスを想起させ実際それらに近いバイブスがあるが大きく一線を画している事に注意したい
確かに冒頭のゆったり目のイントロだとか出だしのサビの英語詞の感じからそれらに違い雰囲気を醸し出しているが前の曲『Alive』からの流れを継承してか、或いはここ最近のウクライナでの状況など殺伐としたニュースが蔓延る世相を反映して極めてメッセージ性の高いものとなっている。

それを証明する為に以下、本曲の歌詞の一部をあげよう。

ミサイルを全て花火に
胸撃ち抜くのは音楽に
変える魔法のタクトを握りしめて立てば
城山も世界一高い指揮台 
問題山積みでも
優しいデモ ピース掲げよう
宇宙から見ればみんな島人(しまんちゅ)
悲しみにピリオド
綺麗事でも

【平和を希求するメッセージソング】そう言ってしまえば容易いが過去Anlyは時に世相に対するメッセージをかくも強い言葉によってポップソングとして音像に閉じ込めた事は極めてレアなのではなかろうか。いや、思い当たる節があるとすれば自らの高校時代に【茶髪が地毛であっても黒髪に染めなければならない】という理不尽極めまりない「ブラック校則」によって自らのアイデンティティをズダボロにされた経験を【わざわざ揃えなくても十分世界は美しい】というAnly必殺技フレーズの元収束させた『MANUAL』ぐらいではないだろうか?そう考えると攻めに転じた曲は他にもあるし『QUARTER』ほど歌詞のみならずサウンドともども攻めたアルバムであると断言できる。
こうしたサウンド・リリックの両サイドにおける「攻め」の姿勢は次曲『Do Do Do』『IDENTITY』などのよりエモーションにエッジがかかった先鋭的な歌詞と音像を伴う楽曲群へと綺麗に引き継がれていく。

 

PART2.【オルタナティブ•ヒップホップ】

3. Do Do Do

この曲については散々過去記事で論じているので改めて論じる必要もないのかもしれない。

私は過去記事にて以下のようにこの曲について語っている。

nenometal.hatenablog.com

『Do Do Do』from "Loop Around The World"

2020年10月18日ぐらいだろうか、古くからのAnlyファンにとっても、関ジャム出演以降のファンにとってもまさに発火装置に起爆剤を打ち込むようなと物凄いlive videoがYouTubeに降臨した。


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そう、去年の『Loop Around The World』ツアーのライブ映像から、Anlyにしては珍しいくらいの「人との対人関係において愛想尽かした時の怒り」に根差した最強にライブでは盛り上がり必須のゴリゴリのヒップホップ曲『Do Do Do』のライブ映像が満を辞して大公開されたのである。

もうここでは何も言わずとも、もう見て頂ければ一目瞭然であるが、多重に及ぶギターから、リズムから、ファンキーなコーラスから、突き刺すようなライムから、観客の熱狂から、何なら彼女のイヤリングの揺れ方に至るまでもう一瞬たりとも無駄がない。Anly のループペダルはトラックを綿密に構築しつつも、そのプロセスを魅せ、更にそれら全部放り出してまでも観衆の心のど真ん中を射抜くダイナミズムがある。

 特に3:50辺り〜の真っ赤に染まった照明からこれまで構築してきたバックトラックをフロアの歓声とともに大爆発させた瞬間が凄まじくて、思わず喜怒哀楽どれでもない涙が溢れ出てきたものだ。このライブパフォーマンスは幾度も生で拝見したことがるが、この動画レベルにおいても我々は音楽を、そしてliveを卒業できない全ての理由が存在するのを確信すると言っても過言ではない。本動画は紛れもなく音楽の神、或いは過去のロックレジェンドの亡霊が降臨させた瞬間を捉えた凄まじいライブドキュメントでもある。

そういえば、『関ジャム』出演者の誰かが言ってたが、あのエド・シーランのカバー以上に、これこそが世界に通用するレベルのパフォーマンスであるといえよう。この動画視聴者数が「100万閲覧を突破した」の意義が大きいのは、大型タイアップの力でも、「関ジャム」が宣伝した訳でも、コロナ禍でのスペシャルなLIVEでもなく、去年のツアーの一部を切り取ったLIVEが日常の光景だった頃の動画である事だと思う。

【これは過去の光景ではなく、来るべき未来の姿である】
そんな彼女からのメッセージが聞こえてくるようでもある。
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さて、今こうして我が文章を振り返ってみてもなんと暑苦しい文章だろうか、と思わざるを得ない。でもこのアルバムではこの当時の『Do Do Do』のこの感想を更に上回るほどパワーアップしている事を考えると、まだまだこの曲にも伸び代がったのだと言う事に驚きを禁じ得ない。この観衆の熱狂も動画サイトのバズりも手にしたあのロックダイナミズム溢れるループペダルのパフォーマンスがDCコミックスのヒーローワンダーウーマンの通常のアメリカンカラーを主体とした戦闘スーツのバージョンであるとするならば、この『QUARTER』における『Do Do Do』はそれに孔雀をも思わせるような豪華絢爛な翼をつけてゴールドのヘルメットを纏ったいわばゴールドアーマーを身に付けたワンダーウーマンの如く超重装備のバキバキのアレンジでパワーアップしている。本バージョンにはMVが存在し得ないので中々説明は困難を極めるが、音源をお持ちなら3:30辺りにおいて、なんとサビが転調するのである。個人的に転調すると割と感動する方なのだが、ここまでシンプルなメロディかつ緻密なアレンジなのにまだギリギリのところを攻めていくような妥協のなさを感じたりするのである。

因みにAnlyの過去の楽曲群では『Distance』のサビの転調が絶品だと思ってるが今回あれ以上の驚きと感動があるような気がする。*3

*参考;左が通常モードのワンダーウーマン、右がゴールドアーマー仕様のワンダーウーマン。今回のアルバム収録版の『Do Do Do』はこれぐらいパワーアップして進化している。

4.IDENTITY

ハイ、きました。初聴きから魂震えるぐらいこのアルバムばかりかAnlyが過去にリリースした楽曲でも私的フェイバリットNO.1じゃないかってくらい大絶賛の本曲。もうこの『IDENTITY』が掛け値なく素晴らしい。それにしてもAnly という一人の音楽家として、他のSSW含め「自己の表現が世間にいかにコミットしていくべきか」をここまで曝け出した曲もレアではなかろうか。あまりにも素晴らしいのでこの辺りのリリックを一部引用しよう。

当たり障りのないリリックで

どうもすいません。

脳裏に浮かぶのはいつも

「海・山・星・空」

どうやってもポジティブに辿り着き

初期設定は都会の風には

バグらないらしい

羨ましい情報 

苛立つのも上等 

全部栄養 Eh Oh フレディのようにフリーに

音楽はジャンルレス

強いて言えば私の名がジャンルです

THat`s Cool

悩むのも仕事SSW

Let’s Go!

そう、本曲を聴いてふと思い当たる曲がある。前作『Sweet Cruisin'』に収録されていて、比較的明るい曲調の多いあのアルバムの中でもどこか内省的な歌詞とサウンドで、ある種の「核」として個人的に捉えていた『DAREDAの存在である。あの曲は10代の時に鏡の中の自分を見つめ「自分のアイデンティティーとは何か?」を問いかけたというあの曲の最後の最後に不安げに「Who are you ?」と自問自答したその答えがようやく以下の

強いて言えば私の名がジャンルです

という超必殺フレーズとして結実した瞬間を『IDENTITY』に見たような気がする*4

★『DAREDA』Official MV


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PART3.【エンジェルたちの奏でと癒し】

5. Angel Voice

そんなヘヴィーなオルタナティブ・ヒップホップチューン『IDENTITY』からの、この、Angel Voiceである。正にタイトルの如く天使の羽衣に取り囲まれるかのような美しき歌声に包まれるような感覚、というかAnlyと言うSSW はこの辺りの振っ切れ方がほんと凄すぎる。しかも違和感というものが全くないのがAnlyというシンガーに内在するオリジナリティの所以なのか。本曲にはMVというものが存在しないのでAnly自身の声に対してもしばしば形容される「天使の歌声」について検証してみようと思う。

以下は5年前のイベントにて『The First Noel』を歌唱している時の模様である。


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そしてこちらは記憶に新しいがAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022(決勝 東京サントリーサンゴリアスvs 埼玉パナソニックワイルドナイツ)での国歌斉唱での様子である。2:58~辺りからの「天使の歌声」に注目である。*5


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いずれにしても音楽の振り幅はさながらボーカルの振り幅と比例することが分かる。先ほどの『IDENTITY』でのピアノ線を張ったようなキリキリに詰めたボーカルとは打って変わったファルセットの美しさに思わず神聖な気分になるのは私だけではないだろう。そして本曲でも半3:30辺りからくる怒涛のストリングスアレンジはまるでディズニーか何かのミュージカルアニメのクライマックスシーンのようなドラマチックぶりに圧倒される。そして、そんな物凄いストリングの嵐のような音像の洪水の後にも以下のようなマニフェストがあるのを見逃してはならない。

Can you hear Angel voice?

変わらぬ思い時を紡いで歌い続ける

と歌い手としての赤裸々な思いがマニフェストされている、ある意味静謐ながらも強い彼女の意志が見受けられる、ある意味本曲も隠れた『IDENTITYソングではないだろうか。

6. Homesick

★『HomesickOfficial MV
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また本曲に関しても過去記事で詳しく論じているので参照にされたい。

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この『Homesick』、パッと聴きそう派手さはないものの様々な要素を内包している曲だと思う。

どこかアレンジの洗練性は言わずもがな、どこかメロディに泣きの要素もあったりどこか地元沖縄を思わせる感じもしたり、全体としてグローバルなポップスであらんとする意識もしっかりと見え隠れするのだ。いわば、「コンテンポラリーなR&B要素含んだJ-pop」といった趣のいろんな要素を含んだ楽曲だといえる。

そしてJ-popといったが、Anly 『Homesick』のイノベーションは既存のJPOPが洋楽コンプレックスかれ見よがしに英語を紛れ込まれるものが多かったのだが、日本語もしっかりと言葉として組み込まれている。

*6

 

..アイデンティティの欠片を求めて〜 #Anly 、日本の音楽史上最高超絶大傑作『#QUARTER』爆裂レビュー Side-B(💫編)に続く。

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*1:おそらくAnlyのデビュー当時からのプロデューサーであるNash氏の母親

*2:個人的に「I’m back on my feet now」の部分のメロディだとか後半の「Still Alive」のコーラスの辺り凄くツボ。

*3:本論から外れるが『QUARTER』の楽曲群は以前にも増してどの曲もメロディがシンプルに研ぎ澄まされている気がする。特にサビメロ。ビートルズで言えばポール・マッカートニー的なポップセンスに近いのかなとふと。

*4:因みにぱっと歌詞を見るにつけ、マイケル・ジャクソン『Man in the Mirror』へのAnswer Songだと思う向きがあるかもだが、もうそれ以上の衝撃だった。

*5:TV観てないから分からんけど日本の音楽業界担うdivaが国歌斉唱してるのにCMで断絶したらしい。まあ音楽が盛り上がらなければならないのはこういうところだと思う。

*6:「木漏れ日のような 幸せを見つけていきましょう」というフレーズ聴いて思い出したのがSaika『不敵な迷子』の「良いものは少しで良い植木を一つだけ磨いた」両曲ともども喧騒の毎日から心の安らぎを求めようとする歌詞世界。これらはポストコロナへ向けた希望の歌だと思う。