NENOMETALIZED

Music, Movie, and Manga sometimes Make Me Moved in a Miraculous way.

なぜ、Who the Bitchは『ビッチフェス2020』の開催にここまで命を賭けたのか?

 1. What is "ビッチフェス2020"?

その時、他の出演者のみならず、スタッフも、配信を見ているオーディエンスの誰もがこれまでのフェスさながらの開放的なムードから、ハッと我に返ったように息を飲むように彼女の表情を見つめていた事だろう。そう、この配信フェスの主催バンドであるWho the Bitchのギター&ヴォーカルのehi氏が、これまで彼女の中で張り詰めていたであろう緊張の糸がプツリと切れたように、もうボロボロに泣きながらこう叫んだのだ。

 

「もう新宿ロフトめっっっっちゃ好きです!!!新宿ロフトめっっっっちゃ好きです!!!

このコロナ一緒に乗り越えていくために....私たち、ちっちゃいことしかできないけれど....」

 

こう言い終わるか終わらないかのタイミングで、この感傷的な気持ちをかき消すように彼女らのライブではハイライト曲である『Colors』のギターイントロを心なしかいつも以上にあらん限り、力強く奏で始めた。そしてそのセンチメンタルな感情の波を包み込むように本曲の出だしのフレーズが重ねられていく。

 

【色や形が無くても....、 色や形が無くても.....】

 

【色や形が無いこと】.......おそらくこの曲がリリースされた当時とはまた違った意味合いでこのフレーズのニュアンスが捉えられた事だろう。というのも、この「コロナ禍の年」として後年まで語り継がれるであろうこの令和2年の今だからこそ、そのフレーズの重要性が殊更に我々の心の奥底に突き刺さったように感じられるからだ。「色や形の無いもの」ーこれこそが、この日ほぼ一日中かき鳴らされた音楽そのもののようだ、と純粋に解釈した人も多かったに違いない。

 兎にも角にも、この8月1日、午後2時から始まって8時間ぶっ通し全12アクトの、音声や画面上のトラブルなしはほぼ無しでこの配信フェスがまさに大円団を迎えようとしているのだ。

恐らくはこの配信ライブの視聴者たちは、Who the Bitchが後半戦のライブで普通にトリを飾っている、というより、もうそれ以上の「意味の重さ」を見出していたのかもしれない。もはや、1バンド単位ではなくこれまで出てきた全11バンドのパフォーマンスの一つ一つ、MCの一言一言をも全てを背負った嘘偽りなき集大成的アクトとして解釈していたことであろう。 

 ちなみにこの日の配信ライブのタイムテーブルは以下のようなものである。

f:id:NENOMETAL:20200804175225j:plain

 そう、一見して分かる様にフェス以上にめちゃくちゃハードに切り詰められたスケジュール。まさに自分も含めてたけど自宅にいるはずなのに誰しもがちょっとトイレに行く事すらも憚られるようなタイトなスケジュールだったのではないだろうか(笑)。*1

このタイテを見て貰えばわかるが、主催バンドであるwho the Bitchは14:00からもうすでに前半戦のスタートアクトとして先陣を切っているのだ。この時とさっきの後半クライマックスのライブと違う点が、彼女らの衣装である。本人たち自ら「キャバクラファッション」と称するパンク系バンド女子の典型的なラメ入りの服・ミニスカート・網タイツ・ブーツと活動初期辺りに着こなしていたであろう衣装で、かなりアッパーな曲が中心の気迫のこもった演奏だったと思う。「新たな事やるってマジサイコー!!!!、こんな気持ちでステージ立ってます。」と言い放った後の『ゼロ』が放たれた開放感は夏の暑いフェス会場で時折奇跡のように吹いてくる涼しい風を浴びた時のようだった。*2

 そこでタイムラインを先ほどの後半に戻そうか。後半戦のWho the Bitchはそれ以上の盛り上がりで、一曲目が彼女らの長年の活動期間でもずっとハイライトの曲である『Superstar』から始まったんだけど、後半戦は単なる7時間前のファーストアクトの続きではない物凄い気迫が込められていたと思う。まさに(これも繰り返しになるが)この日のビッチフェス2020における 全11バンド全ライブを背負ったアクトだったと言えよう。

端的に言うと全11バンドが、全視聴者が、全スタッフがもう『ビッチフェス2020』と言う一つのバンドだったのかもしれない。

この長丁場の配信ライブは、個人的な体感時間としては大袈裟ではなくアインシュタインもビックリのE=MC2を立証した様な光速と重力と地球の回転率を掛け合わせてもお釣りがくるくらいの速度で過ぎて行った訳だが、配信ライブとかそういうものを超えたもっと別次元の「伝説のライブ・フェス」だったのではないだろうか。

 そんなことを思いながら本配信フェスがこのままSNSで膨大に流れていくであろう情報の洪水に埋れていくのは非常に勿体無いのではないかという感慨が浮かんできたのだ。

その証拠として全アクト終演翌日のehi氏の以下のツイートがもうそれを証明しているではないか。 

 

このツイートを見ていただけるとおわかりのように、これはもうこれは配信ライブを終えた、とかいう余韻の範疇を軽く超えている。これは言うなれば限りなく「本物のフェスライブに限りなく近い配信フェス・イベント」だったことがわかる。  そこで、ここに私の記憶の思い浮かぶ限りのこのライブフェスについて記録し、何故、このWho the Bitchは『ビッチフェス2020』の開催にここまで命を賭けたのかについて検証していきたい。

f:id:NENOMETAL:20200815084637j:plain

*3 

Table of Contents

 1. What is "Bitchフェス2020"?

 2. Who are the "Who the Bitch"??

(A) Band history

(B)#私の知ってるライブハウス

 3. What is the "LIVE HOUSE", "BAND" and "Music"??

 Case(1);ライブハウスとは?

 Case(2);バンドとは?

 Case(3);音楽とは?

4.This is "Bitchフェス2020"

 Focus1: Vanityyy

 Focus2: チリヌルヲワカ

 Focus3: Who the Bitch]

  

2. Who are the "Who the Bitch"??

(A) Band History

そもそもこのビッチフェス2020、Who the Bitchと言うバンドはどう言うコンセプトのもと音を鳴らしているバンドなのだろうか。本章ではそれを具体的な曲を用いて検証したい。

ja.wikipedia.org

まず、この一見危険極まりないこのバンド名の由来。Wikipedia情報ではあるんだけど、このバンド名の由来はあのオルタナティブの女王PJ Harveyの『Who The Fuck ?』という楽曲タイトルと、メンバーのehiがBitchというワード入れたいとの希望があり、2つを語呂を合わせWho the Bitchと名付けられたと言うエピソードからも分かる通りその精神的支柱としてオルタナティブな感じを受け取ることができるがいかがだろうか。*4

で、現行のメンバーはehi(Vo,Gt)Nao★(Vo,Ba)というバンド創設期メンバーともう一人のサポートドラムみずえ(元つしまみれ)という基本的に3名体制でライブを行っている。ホームページにも記載されている通り、Who the Bitchの音楽性は大きく分けて2通りに大別されると言えよう。まずは2005年の結成当初から2015年の活動休止前は音楽の楽しさのみを追求したバンドスタイルとして、パンクスピリットを煌びやかなサウンドにのせた(A)デスコ・パンク路線(*デスコは誤字じゃ無いよ)と、「生きるということ」と言う命題に焦点をあてたエモーショナルな歌詞世界の楽曲作品が多くみられるように、ロック・ダイナミズム溢れるアレンジに力強いメッセージをのせた(B)ロック・メッセージ路線に大別されよう。

まずは(A)のデスコ・パンク路線の代表曲であり今でもライブのハイライト曲でもある『Superstar』と『カリスマヒーロー』を聴いてみよう。
【MV】Who the Bitch『Superstar』 Official Music Video


【MV】Who the Bitch『カリスマヒーロー』 Official Music Video

こうして聴いてみると『カリスマヒーロー』『superstar』、そして第一弾のベストアルバム『攻めビッチ』に収録されている『PIG』辺り、プロフィールにあるようなゴリゴリのイギリスのガレージパンクがルーツというよりもむしろ英国のポップス・ロック寄りな印象を受ける。

それは個人的にはあのPrimal Screamがエレクトロ飽きた時期に、時折ロックンロール・モードに回帰する時のモードで、アルバム単位で言えば『Give out but don't give up』の辺りのあの空気感を色濃く感じたりするのだが、いかがだろうか。

 参考までにPrimal Screamの未だにライブでも演奏されるキラーチューンである『Rocks』を聴いてみようか。


Primal Scream - Rocks

Primal Screamとの共通点はどことなくギターリフやリズムがしっかりとしてるんだけどメロディも頭に残る感じとかとても近いし、ガレージロックを根本のルーツとしつつもどこかしら新しく進化した音像だとか共通する面は数多く挙げられる。とにかくWho the Bitchと言うバンド名のルーツにも言えるんだけど、どこか彼女らの音楽ルーツの背景にはオルタナティブ・インディーロックがバックグランドにもあるのだろうかと予測したりする。そういえば、ehi氏のソロ作品『Here in my song』を聴いた時に真っ先に思ったのがオルタナ感だった。

とはいえ、こちらはプライマルの様なイギリスではなくアメリカ出身ではあるがどことなくSmashing Pumpkinsにも相通ずるポップスとオルタナとの境目をいくようなあの気怠く絶妙なポップ性を感じたものだ。いずれにせよ、この辺りの感覚はかなり直感的なものなんだけど、彼女らの根底には1990sの音楽がルーツにあるのは間違いない。

 では次に、2015年の活動休止を経て、以後のここ2、3年ぐらいの(B)に分類されるメッセージ路線の曲を紹介してみようか。ここで提示する楽曲はライブハイライト曲となっている『Bridge』と『Colors』である。


【MV】Who the Bitch『Bridge』 Official Music Video

Who the Bitch LIVE colors 池袋adm ライブ 

  第一印象として、先ほど紹介した『Superstar』『カリスマヒーロー』に比べ、よりクリアでシンプルになったアレンジのもと、彼女らの伝えたい「言葉」がはっきり聞こえてくるのを感じる。MVの感じとかもよりそのサウンドに呼応してよりオーガニックなイメージへと変化して行った印象。本曲然り、もう一つのアンセム・ソングである『Colors』などは聴いていて、言葉がストレートにハッキリ一言一句伝わってくる楽曲だと思う。

そう、「言葉がはっきり伝わる」ということに関してなぜそこにこだわるのかというと私はこれまで「ガールズバンド」というカテゴリーの音楽を聴いてきて、その辺りかなりの割合ではぐらかせられ続けたからである。これまでパンクロック志向の女性だけで構成されてきたバンドは、経験上正直言って、バンドサウンドならまだしも歌詞の世界観が女子限定感満載だったり、逆に女を捨てたかのインパクト勝負のシャウト系だったり、常に肩透かしを喰らわされてきたものだ。別の言い方をすればガールズバンド達からは真っ向勝負でガチのメッセージをそのバンド達からは受け取る、ことができなかったというのが正直な感想である。

これまで私が聴いてきた限りでは、パンク精神とサウンドとを宿したガールズパンクバンドの「少年ナイフ」と「ロリータ18号」などがあげられるかもしれない。

 まずは少年ナイフロリータ18号というバンドはいずれも海外ツアーなどに出ており人気が高く、確かにグローバルニッチのきっかけを産んだパンクバンドとして素晴らしいとは思うんだけどどちらも歌詞の中にメッセージ性を詰め込むタイプのバンドではないと思うし、仮にメッセージ的な要素があったとしてもそこから【Anthem(アンセム、国家的要素)】にまで発展することはないだろうし、総合的に見れば日本人の純粋なポップスとして聴くにはかなり音楽リスニング経験値を要する部類に入るのではなかろうかという気がする。そう考えると私にとってパンク系譜のガールズバンド文脈でこれほどのメッセージ性を色濃く表現するバンドはWho the Bitchが唯一の存在ではないかと断言したい。*5

(B)#私の知ってるライブハウス

そもそも私がWho the Bitchというバンドを知ったのはいつだろう。

そう考えた時に、このコロナ禍で世間がライブハウスをスケープゴートの標的にし、散々バッシングし始めてライブというライブが次々に迫害されようとしている時に起こった、とあるSNSでのムーブメントが大きなキッカケである。

#私が知ってるライブハウス

#私の好きなライブハウス

というTwitter上でのタグ運動が起こったのは未だに記憶に新しいが、その中で最も我々の目を引いた(というかバズっていたのが)Who the Bitchメンバーehi氏の以下のツイートである。

f:id:NENOMETAL:20200815084519j:plain

ここで書かれているエピソードに誰もが3重の意味で驚いたことだろう。

例を挙げると、

❶そこに書かれているmiya氏の命をかけてバンドマンとしての人生を貫いたあまりにも強靭な精神と生き様に、

❷そしてそのバンドマンとしてのアイデンティティに賛同して当然のようにサポートし続けてきたライブハウス渋谷CYCLONEの温かさと優しさに、

❸そしてご自身の辛くヘヴィなエピソードを公開してでもライブハウスの良さを、そしてバンドマンの強さを、拡散力がありつつも危険性をも伴うTwitterにて公表したehiのバンドマンとしてライブハウスを愛する者としての勇気に

と言うそれぞれ❶〜❸の事象に誰もが意外だ、と思うぐらいに非常に驚いたに違いない。

このように、日々の様々な人間の感情がダダ漏れ状態になり時に誹謗中傷や暴言や恨み辛みなど厄介なことを生み出しがちなtwitterと言うSNSツールだけれど、このehi氏のツイートは多くの人の目に留まり、尚且つ多くの人の心を打ったのは2000RTと言う数字からも明らかであるし、誰もが過剰に反応したりや誹謗中傷を浴びせたりする事なくストレートに彼女のメッセージを受け取ったようにも思われよう。「命がけで歌う。」「このステージが俺の戦場だ。」「ライブハウスには愛がある。」ライブハウスに来た者なら誰もが一度は耳にする演者の決まり文句のようなフレーズだが、これらは別に大袈裟に言われているものではなくて(中には大袈裟に言っている人もいるだろうが)少なくともこのツイート内からは本気でそれを思っている人達が存在するということを強く確証した次第。

という事でこのツイート運動にひどく心を打たれた私はその翌日に近所のタワーレコードで駆け込んで行って最近リリースされた『UNLIMITED』と『Letters』を即購入したまでである。

*6

f:id:NENOMETAL:20200816143003j:plain

この二枚は、#私が知ってるライブハウス を通じて知り合ったTwitterのフォロワー様である涼さんからご教授いただいたおすすめの名盤だったのだが間違いなく両方とも素晴らしいアルバムだった。

『Letter』全体の感想は、その同タイトル曲の歌詞にもあるように【有限の海】と擬えられようこの世界で、普遍的かつストレートなうたが突き刺さるものだった。そう、「歌」ではなく平仮名表記の「うた」と言った方が適切かもしれない。ほんとにこのバンドの規模が更にもっとデカくなれば今から25年前、イギリスのマンチェスターの片田舎出身のやさぐれ兄弟が、幼い時からロックのダイナミズムだけを信じ続け、いつしかDon’t look back in Anger』というアンセムをスタジアム中に響き渡らせたように、横アリか大阪城ホールか東京ドーム辺りで『UNLIMITED』内の『Colors』というアンセムに拳をあげる日がきっと来るだろうと本気で思っている。別にWho the Bitchの二人はやさぐれてもないし、姉妹でもないんだけれど(笑)。

それだけ彼女らの奏でる音像であるとか歌や技術のみならず、あらゆるものを超えたバンドの醸し出す【ニュアンス】がいちいちカッコ良すぎると思ったものだ。

 更にちょうどこの直後の4月末にベストアルバム『攻めビッチ』もリリースされているのでこちらも紹介しておこう。

f:id:NENOMETAL:20200816143405j:plain

 攻めビッチ』というタイトルや【これはもうライブじゃん‼︎】という帯文句が表しているようにこちらは紛れもなく我々がコロナ禍ですっかり疎遠になってしまったあのライブのセトリ構成を意識したような音像がここにあるのだろうし、なおかつバンドヒストリーとしてもじっくり聴ける曲構成になっている。特にライブ感を感じたのが先ほど紹介した『Superstar』で、本曲のイントロが始まればフロアの嬌声が聞こえてくるし、間奏ではメンバー紹介の声が聞こえてくるし、終盤の盛り上がりなどインプロビゼーションさながらのように聞こえる。

その意味で先日リリースされた『攻めビッチ』と呼ばれるベストアルバムを聴いてみたらいいだろう。

*7

 3. What is the "LIVE HOUSE", "BAND" and "Music"??

この章では敢えて「ライブハウス・バンド・音楽」という3点のプリミティブな議題に立ち向かって今回のビッチフェスの意義についてさらにもっと深く考察していきたい。

Case(1);ライブハウスとは?

まずはライブハウスについてで、『ビッチフェス2020』で のehi氏の「新宿ロフトめちゃ好きです!」という魂の叫びにも似たMCが印象的だったが、バンドマンにとってのLOFTって非常に大きい意味があるんだろうなと思ってた所偶然、このビッチフェス2020の翌日だっただろうか書店にて今年出版された面白そうな書籍に出会した。
 そう、ちょうどビッチフェス2020が開催された新宿LOFT中心に世界規模で「loft系イベント/ライブハウス」として展開しているライブハウス「ロフト」創立者である、平野悠氏の主に創設から今に至るまでの布石を描いたいわば「まんが道」に準えると「ライブハウス道」ともいえる青春期を主に描いた著書『定本ライブハウス「ロフト」青春期』である。

定本ライブハウス「ロフト」青春記

定本ライブハウス「ロフト」青春記

  • 作者:平野悠
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 単行本
 

この本の中でとても興味深いことが書かれているので一部引用すると、

【結局のところ、私がロフトという空間でやってきたことは、ただ一つなのだ。それはつまり、内なる感情が爆発して、とても五線譜には乗りきらない音を紡ぎ出す表現者を支持して、その歌声をライブハウスという空間でお客さんと共有し、一緒になって感動すること。ミュージシャンやお客さんとの有機的なコミュニケーションこそ日本のロックの、そしてロフトの原点がある】(p.p.304-305)

というまさにライブハウスの原点のようなことが記されているが、この一節を見てふと思い出すことがある。Who the Bitchの単独ライブ「攻めビッチ将軍」が終わった後の打ち上げ配信での一コマである。その中でehi氏は以下のように述べている。

「それぞれの生活の中から、このライブハウス を選んでくれてっていうこう言う繋がりや、肩を触れたことすら無いお客さん同士が繋がっていくと言う事を大事だと思ってて。」

ここで言うまさに平野悠氏の述べる所の【ミュージシャンやお客さんとの有機的な繋がり】とehi氏の言う【お客さん同士の繋がり】の意味とが全く同じニュアンスで発せられていると言うことに気づく。更にこれに関係して言うのだが、『ビッチフェス2020』しかり、「攻めビッチ将軍」然り、他の配信ライブでも実感してる点なんだけどWho the bitch が登場した瞬間、PCが一気にステージへと変貌していくのを感じるし、演奏は激しくなっても、ラウドなサウンド展開に埋まらずに歌詞の言葉もMCで言いたいこともシッカリ伝わってくるのだ。これは別に、2人のボーカルのバランス関係や曲間のタイミングの絶妙さという技術的な面ばかりではなく、顔面シールドやスクリーンを超えてライブ空間をオーディエンスと共に作り出そうという気概が充分に伝わっているからだと思う。十分に配信ライブでも「繋がり」は生まれるし、配信ライブにおいても Who the Bitchのアクトからはビシビシ伝わってくるものがあるのだ。だからこそ今回『ビッチフェス2020』を妥協案としてではなく真っ向勝負モードで開催できたのではないだろうか?*8

 

Case(2);バンドとは?

さて、先ほど「(有機的な)繋がり」という言葉が出てきたが、次にbandとは何か、について考察してみよう。そもそも単語としての【Band(バンド)】とはどういう意味だろうか調べてみると興味深い事実が出てきたのだ。以下のブログ記事を参考にされたい。

blog.livedoor.jp

抜粋すると以下のような記述がある。

「bond」には「結びつき」という意味がある。

そこに「band」、つまり、それらをくくりつける帯(ベルト)の意味をニュアンス的に「bond」に上乗せしたのが、「バンド」である。

つまり、バンドっていうのは、あらかじめ確立された集合体ではない。ひとつひとつの別々なものを、一人一人の別々な個人を、ただ、帯で結んでるだけの集合体なのだ
あらかじめ同じ箱に入れられるために、同じ製法で作られた商品のワンケースじゃなくて、勝手にいろいろな場所で知らず知らずに出来上がったものを、ひもでくくって一つにまとめただけなんだ。

そう考えると、bandと一口に言っても必ずしも我々が常日頃からギター・ベース・ドラムなどのいわゆる楽器や音楽的センスに秀でた集団だけを指すのではないことが分かる。例えば、あるバンドがライブをするということになれば、そこに集いし【音楽に魅せられ、熱狂する者】たち全てが広い意味で「band」という風に解釈できるのではないだろうか。これは半ば強引な結論のような気もするが、そう確証できるのがまさに今回11バンド、熱狂的なオーディエンス、そして音楽の神が絆で結ばれる一日限りの【バンド】が結成されたと断言して良い。これは「ビッチフェス2020」を体感したからこそそう強く思えるのだ

そして更にこのビッチフェスにて一人一人を結ぶ帯として機能するbandlerとは何かというと答えははっきりとしていて、勿論ehi氏が配信やMCでも時折口にしている「絆」に他ならない。

*9

 

Case(3);音楽とは?

さて、ここで音楽というテーマにぶち当たってきたがここでは1960s辺りのビートルズの出現から50年以上に渡る音楽史を述べてライブやライブハウスのあるべき姿について語り尽くそうとかやってたら多分ブログの収集がつかんと思うので(当たり前じゃw)この節では音楽リスナーとして音楽やバンドをいかに盛り上げなければならないかについてやや暴論めいたものをかましたいと思っている。

私個人の音楽遍歴を申し上げると、90年代以降、洋邦問わず、POPsを中心に皮切りにいろんな音楽を聴いてきたように思う。幼少期に聞いた童謡などを除いて初めて聴いた好きな曲は、おそらく中学校時代に英語の授業で聴いた『We are the worldで、始めた購入したCDがWham!の『Last Chistmas』などの収録されたクリスマスコンピレーションアルバムだったと記憶している。*10そして最初にドハマって購入した(俗にいうヒット曲として人につられて、ではなく)【自分のアイデンティティとしての音楽】はコーネリアス『69⚡︎96』というコンセプトアルバムである。それから世間にあふれる小室哲哉ブームが起ころうともあの辺のエイベックス系の音楽は忌み嫌っていた。自分の中ではそう流行り物などせせら笑いながらロッキンオンジャパンの提唱するサブカルロックにのめり込み、ミッシェル・ガン・エレファントサニーデイ ・サービス、フィッシュマンズAIRスクーデリア・エレクトロなどを聴きあさってライブにも行くようになり完全にメジャー方面には目もくれず、むしろ彼らが影響を受けてきた60年代〜70年代の王道ロックから90年代以降のニルヴァーナradioheadmy bloody ValentineSonic Youthなどなどイギリス、アメリカ問わずオルタナティブ・ロックもかじつつ「サブカル視点と音楽センスとを持ち合わせている音楽マニア」のまま邁進していたと自覚している。(←字面にするとホントイヤなやつ&恥ずかしい事かぎりなしw)

.....とここまで書いてきて私って今まで結構な数と種類の音楽を聴いてきているではないかということに気づかされる。しかもこれだけに留まらず、2000年代になろうとも2010年代になろうとも2020年代になろうとも未だに良質な素晴らしい音楽を発掘し続けているのだ。しかも、最近は70sのマイルス・デイヴィスのエレクトリック期にこそ最も過激なロック魂を見出したり、ここ最近かなり台頭してきたBiSHなどのアイドル勢にこそ普通のロックバンド以上にオルタナティブ性を見出したすなど独自の音楽的視点で考えたりもしている、いや、当然のように誰も反応していないんだけど(爆笑)。

でもこれは私だけの自己満足から派生した自慢だけではなく、同じような、いや私などよりももっと無限大に聴いてるミュージックフリークスって数限りなく多いと思うのだ。

にも関わらず音楽のフイールドっていつの間にかロッ◯ンオンなどのような音楽誌などが一押しの彼らが思う大名盤総合ディスクレビューなどで絶賛したり、或いは彼らの批評眼でもってマズいものはマズい、と断罪したりで賛否両論巻き起こし、ある種のムーブメントを起こしていたものだが、あの頃(1990s後半~2000s初頭)とは違って単なる広告屋に成り下がってしまった印象を受ける。そういう批評家達による真剣勝負の音源等をジャッジする機構が欠如してる今のこの状況では、音楽のレベルを著しく格下げしてしまうし、現状音楽シーンを彩っている音楽にはそういう側面も否めないのではないだろうか。

 さて、ここで暴論かまします。ガンガンインプット量の多く、決してそこに溺れることのない飽くなきまで探究心を備える音楽マニア達は「もっと大きな声で、色んなところで彼らの思う良質な音楽を本音語り尽くし、シーン全体に影響力を及ぼす実力がある」と思うのだ。

 だって考えても見てほしい。他にも趣味としてカウントされるスポーツでも、料理でも、釣りなどでも、或いは読書でも、カメラでも、絵でも良い。どの世界でもそれを生業としているプロフェッショナルとは別に「マニア」がいるでは無いか。そうしてそう行ったマニア的存在を目の前にそれらのマターに手を染め始めた所謂「ビギナー」達はその存在価値すら打ち砕かれてしまうではないか。でもそうした壁に立ち尽くし、辞めるか、粘っていくか、その人の趣味人生の有無が決定するではないか。

 それに引き換え音楽フィールドに話を移してみよう。

「音楽なんて初心者もマニアもないんだよ。」

「音楽にごたくは要らない。"好き"なものは皆平等だ。」

「音楽なんて、楽しけりゃ良いじゃんね。」

 などと、例えば途端にある曲のギターフレーズに60年代のある音楽の引用を見出すようなことを言ったらそういうトーンのようなことを返されてしまうのが関の山である。

 言い換えれば、こちらが音楽の聴き方の話をしようとしてるのに「音を楽しむ=音楽、って良いよね」というプリミティブな音楽自体の話へと引き摺り下ろされてしまうのだ。何よりもろくに音楽媒体に一円たりとも投資することがなく動画サイトのストリーミングのみしか音楽を聴いた事のない人間と、ここ何十年とiTunesデータをテラ単位+ヴァイナル何百枚と所有している人間が同じ「音楽ファン」というフィールドで並べられるのはどう考えても異常だと思う。

これは誤解してはいけないのは、これは別にマニア側が初心者にけしかけてマウントを取れと言っている話ではない。ただただ、初心者は初心者、として温かく見守り(というかほぼ無視しても良いんだけど、助けを求めて来れば手を差し伸べれば良いしね)こちらは音楽ヘヴィーリスナーとして堂々と構えていればいいだけの話。こちとら目利きの音楽マニアだ。ジャケット見るだけで、チラッと演奏シーンの動画を見るだけでそのバンドの良し悪しがすぐ分かるではないか。言っちゃあ悪いが、タイムラインで「これだよ、このバンドだよ!みんな聴いて。」って紹介してたあのビジュアル系崩れのバンド、ものの1秒で地雷だと分かったし、一生聴く事はないだろう。あと最近武道館まで行った某若手バンドのギタリストよ、君らは今でこそ、そこそこ売れているが「レッドツェッペリンばりのギターリフを彷彿とさせる、ってよく言われるんだけど全く聴いた事ないんです。」ってそれを堂々と言ってるのを聞いたことがあるがそれって無知ってことなんじゃないの? その道のプロフェッショナルの癖になぜ大先輩のレジェンドの音を聞いたことないってもう致命的ではないか。これは賭けても良いぐらいだが、多分君らはこの先5年も持たないと思う。君らよりもずっと深くインプット量の凄まじい音楽リスナー達は、すぐそう言った度量の浅さってか薄っぺらさなんてものはすぐ見抜いてしまうよ。だから音楽リスナーよ、もっと自信を持とうではないか。

もっと熱く語って、シーンに猛威をふるうべき価値はあると思う。

最高のミュージックとそれを奏でる音楽家には最高の評価をする】権利があるのだ。

だから長々と言ってきたが、この節のGrand Conclusionとしては『ビッチフェス2020』に出演している全11バンドの全てが私が辿ってきた全音楽人生の中で経験してきたライブの中で最高・最強のフェスだと結論付けられる権利があり、これから我々はここに集いし全11バンドを、今後も熱く語っていく事によって更に伝説にする義務があるのだ、ということである。

 

4.This is "Bitchフェス2020"

配信と有観客ライブっていつも天秤にかけられ比較される昨今なんだけど今回のビッチフェス2020 はそのボーダーに風穴を開けた感があると断言しておきたい。何せ全11バンド全セトリをここで載せると膨大な文字数になってしまうので今回この記事にTwitterフォロワーであり、Who the Bitch宣伝隊長・涼様のツイートを参照にさせて頂き、特に私的に印象に残った3バンドを紹介して本ブログ記事を締めようかと思う。

 

Focus1: Vanityyy

フェスや対バン形式のライブでは初めて出会すバンドとの出会い、というものが重要な要素を占めるが、今回Vanityyy というバンドとの初対面は衝撃的ですらあった。

「ババアと呼ばれた方がマシなんだよ!!!!」

1曲目、『おばさんて呼ばれるくらいなら』が解き放たれ瞬間からもう画面釘付け。これまでもこのフェスでは本当に素晴らしい演奏をするバンドが多かったのだが、個人的に彼女らはこの『ビッチフェス2020』のライブではぶっちぎりの1、2を争うアクトだった。だってチリヌルヲワカやWho the Bitchらなら音源もライブスタイルも知っているからいいライブするのは自明なんだけどほぼほぼ初めて見たバンドでここまで惹きつけるってのは圧勝だろう。この後すぐ物販ホームページ見て CD買ったし。「甲子園には魔物がいる。」とはよく言われるが「ライブの魔物」があるとしたらまさしくこの人たちに憑いてきたのだと思う。この日は全8曲演奏されたが、セトリ曲を一曲ずつ演奏して終わり、はい次の曲、っていうのではなくて一曲ずつ演奏する度に燃料投下してバンドテンションとボルテージがどんどん加速していくノンストップ・ロックンロール。彼女らも緑色の衣装であるとか4曲目の『BBAバトルロワイヤル』と言ったタイトルセンスであるとかどこか「面白さ」を追求した感触があるがそこに止まっていない狂気や熱狂度が感じられる。

1.おばさんて呼ばれるくらいなら
2.ラブNOWAY
3.びしょぬれスカート
4.BBAバトルロワイヤル
5.リトルかわいい
6.脳内tears
7.ライクアベイビー
8.夜中のミニー

 そんなVanityyyのライブを見てて思った事は、今現在もTL上では色んな人が「これ聴いてくれ!」「このバンド最高!」と次々にレコメンドされたロックバンドに溢れているが、パッと目に止まってパッと気にいるものってほぼないに等しいのだ。「お?」時に止まったバンドで聞いてみようと思ったのは僅か2~3%ぐらいだろうか。でなぜ同じようなロックサウンドなのにTLに溢れる97~98%のバンドは「心に刺さらない」のか?

それはきっと我々が日々抱えるAngst(苦悩)と共鳴するような音像の端々に怒りの衝動をブチ込めるバンドが少なすぎるからである。これだけソリッドで、演奏もしっかりしつつ、シニカルさも隠し持ちつつ、ロック衝動の怒りのドグマに満ちている凄いパンクバンドが3年も前に存在していたとは...。はっきり言うと、これは今まで無知であった私の音楽リスナー人生の恥であり、もっと大騒ぎすべきだった日本の音楽ジャーナリズムの怠惰でもあると思う。

このバンドは今後も深く掘り下げていきたい。

 

Focus2: チリヌルヲワカ

今回参加している全11バンドで最も古くから聞いているバンドであり、このようなフェスという舞台にあってもどこか孤高の存在感を放つ職人バンド、チリヌルヲワカである。

本当に音楽ファンと自覚のある者は彼らのライブに一度は足を運ぶべきだと思う。これほどロックを奏でる事のかっこよさと、ポップスを聴く事の楽しさと、プロフェッショナルとは何たるかを同時に享受できる人達はいないのかもしれない。音源を聴く限りでは狂乱と疾走感と和風要素とが絶妙の塩梅で配合されている『粋なロック』というイメージがあったが、ライブを体験するとそれが良い意味で覆されるのだ。

チリヌルヲワカとはどう言うバンドか、これを本質ズバリ言い表した言葉がヲワカライブでの大先輩である玉石さんの以下のツイートである。

これは最近彼らがリリースした楽曲に対するコメントであるが、去年から今年にかけて自分がチリヌルヲワカというバンドをこれまで何度もライブで目撃してなんとが言葉を紡ごうとしてきたが、なかなかできなかったバンドのド本質をもう余すことなく言ってくれている気がする。もう、これは楽曲論ではなくここ40年程のプログレグランジ、ガレージ、ロックなど全ジャンルのエッセンスをぶち込こむ職人技は健在だがそれが単なる「圧倒」に留まらない事をまさにタイトルと掛け合わせるわけではないが「証明」してくれている。そうした要素をヲワカ流に昇華した形で、観客を取り込む絶妙な「間」を与えてくれる余裕へと連動してくるし、もっと重要な事にどこか狂気的なニュアンスも付加されるのだ。

そして今回は特に配信でじっくり聴けるからこそ彼らの真骨頂であるミニマム編成による音構成の緻密さが際立って分かった次第である。

 今回もかつてハルカトミユキのバンドサポート時代に何度も目撃したことのある中畑大樹氏もメンバーとして演奏していたが、あの豪快さとどこか繊細さを持ち合わせたドラムもどハマまっている。最初に彼が加わったときに、もはやオリジナルメンバーとしてもカウントしてもいいのではというツイートもいくつか見られるほどどハマっている。

そう考えればチリヌルヲワカと言うバンドは、ハルカトミユキ、そしてWho the Bitchとも繋がりがあって個人的には色んなバンド同士の絆を感じさせるバンドだと思ったりする。

nenometal.hatenablog.com

1.カスガイ
2.松の木藤の花
3.空想都市
4.極楽浄土
5.怒りの筆先
6.甲と乙
7.ホワイトホール
 

 

Focus3: Who the Bitch

ここまで来て今回のビッチフェス2020トリも大トリWho the Bitchである。

この日の後半のライブのセトリは後述する通りだが、この日『的』という名の新曲が披露された。 

 

【躊躇(ためら)うな 不器用でも良いんだ 人生は一度きりだ】

 

このフレーズが聞こえてきた瞬間、誰もがWho the Bitchのメンバーがこのフェスにかける思いが最も詰まったフレーズであると解釈した事だろう。このコロナ禍におけるご時世において誰よりも早くライブハウスへの愛を訴え、誰よりも早く多くのリスナーとをつなぐ配信を継続し続け、誰よりも早く配信ライブを幾つか立ち上げ、早い段階で有観客ライブをも開催して、この日のビッチフェス開催へと駆り立てたと言っても過言ではない、最も強く光る言霊ともいうべきフレーズであるとも思うし、ビッチフェス2020のテーマソングでもあると言ってもいいだろう。

そして注目すべきはそのタイトルである。本曲の全歌詞を『泣きビッチ』リリースまでに今現在把握できないが、この『的』というタイトルから様々な光景が浮かんでくし、様々な解釈も存在するだろう。

*11まずは、この的』という言葉は人生においてやり遂げたい事柄、例えば音楽文脈で言えば、ビッチフェスしかり、ライブ然り、アルバムリリースしかり、達成したいというときに用いる「目的」の意味にも捉えられようし、或いは、これまでコロナ禍を皮切りに全世間からライブハウスというものが散々スケープゴートとしての「標的」にされてしまった事へのある種怒りにも似た意味をも内包されているのかもしれない

そして、それから『赤いレモンティー』『始まりの証』と曲を終えた後だろうか、

 

......................................................................................................................................

(注)ハイ、この時点で18000を超えている超長文ブログを読んで下さった方々が奇跡的に

      もしもいらっしゃれるのであれば大変感謝いたします。

  正直「音楽とは」の節の辺り自分の言いたい事全部言いまくって暴論かましましたw

      長きにわたって色々述べて来た本記事も、これでようやく

  第1章の What is "ビッチフェス2020"?と繋がって来た次第です。

  引き続きエンディングをお楽しみくださいませ〜!

.......................................................................................................................................

 

他の出演者のみならず、スタッフも、配信を見ている誰もがこれまでのフェスさながらの開放

的なムードから、ハッと我に返ったように息を飲むように彼女の表情を見つめていた。そう、この配信フェスの主催バンド出あるWho the Bitchのギター&ヴォーカルのehi氏が、これまで彼女の中で張り詰めていたであろう緊張の糸がプツリと切れたように、ボロボロに泣きなが

らこう叫んだ。

 

「もう新宿ロフトめっっっっちゃ好きです!!!新宿ロフトめっっっっちゃ好きです!!!このコロナ一緒に乗り越えていくために....私たち、ちっちゃいことしかできないけれど....」

 

こう言い終わるか終わらないかのタイミングで、Who the Bitchメンバー、全出演者、そしてスタッフ、ライブハウスのメンバー、そして自宅でそれぞれ見守っているオーディエンスたち全てのセンチメンタルな気持ちを、全てかき消すように彼女らのライブではハイライト曲である『Colors』のギターイントロをいつも以上にあらん限り、力強く奏で始めた。

そしてその感傷の波を包み込むように本曲の出だしのフレーズが重ねられていく。

 

【色や形が無くても....、 色や形が無くても.....】

[Bitch bar]

1.Cherry
2.Hi!Jack
3.In the can
4.Telephone
5.PIG
6.野良犬レクイエム
7. Stand Up

8.zero

9.通り雨

[Bitch stage] 

1.Superstar
2.Letter
3.ベクトル〜いつの日かたどりつけるこの足で
4.的
5.赤いレモンティー
6.始まりの証
7.COLORS

8.Bridge

9.inside

 『色や形がなくても...』本曲がリリースされた当時とはまた違った意味合いでこのフレーズのニュアンスが捉えられるこのコロナ禍の年である令和2年の8月1日だからこそ、そのフレーズが殊更に我々の心の奥底に突き刺さった。『色や形のないもの』これがこの日ほぼ一日中鳴らされた音楽そのものであり、真実の形と純粋に解釈できたのは間違いない。

 兎にも角にも、8月1日、午後2時から始まって8時間ぶっ通し全12アクトの、音声や画面上のトラブルなしはほぼ無しで本配信フェスは、Who the Bitchが後半戦のライブでトリを飾っている、というより、これまで出てきた全11バンドのパフォーマンスの一つ一つ、MCの一言一言をも全てを背負った「嘘偽りなき」集大成的のアクトだったのは間違いない、と結論づけることによって2019年10月辺りから開始した本ブログでは史上最大文字数である19400字を超えてしまった本記事に、ピリオドを打ちたい。

 

  

f:id:NENOMETAL:20200815084602j:plain 

 

参照文献 『定本ライブハウス「ロフト」青春期』平野悠(LOFTBOOKS/2020)

 

*1:実際私もこの日はアルコール類とチキンナゲットのような簡単につまめる程度のものは準備していたが、それぞれの個性あふれるバンド演奏に見入ってしまい、結果的に酒類は意外と飲めなかった。たったビール6缶。あれ?結構飲んでんじゃんと思う人はこれが8時間以上の長丁場だということを注意したい、そもそも私は酒豪の部類に入るのだってどうでもいい情報でした笑

*2:あの〜拙者ライブは基本的に好きなんだけど所謂アッパーなフェスに行ったことありませんw、まぁ想像の世界でそう思ってた。

*3:この写真、ちょうど宣言しようとする章だったからこのドンピシャな写真ですよね...w

*4:アニメタイアップでもあってもおかしく無い二人の美しいコーラスワークも魅力のバンドだと言えよう。だがバンド名にビッチを模してるっていうこのギャップも面白い。コンプライアンス優先のこの業界では、子ども向けアニメでは『ビッチ』は厳しいのかもねw、ロックファンである私はむしろ大歓迎だが。

*5:Go!Go!7188 、或いはCibo mattoはパンクと言うよりJ-ポップ界隈に入る気もするので脇に置いておこう。あと最近ではボーカルであるしーなさんのキャラクターが俄然面白いあの、東京初期衝動もグングン台頭してるけど今の所は保留と言う事で。

*6:現在この名盤二枚はサブスクで聴けるがこの時は無かったのだ。

*7:細かいディスコグラフィーその他はこちらも参考にされたい。 『泣きビッチ』と呼ばれるベスト盤第二弾もリリースされる模様である。

www.whothebitch.com

*8:先日の2015年リリースされたDVD配信後、飲み会配信と化したのだが、ehi氏は興味深いことを言ってて配信ライブというスタイルにそろそろ人は飽き始めている空気を感じるらしい。そこで新たな試みが展開されなけれならない、と言っている。そういう意味ではこの人のアンテナの広さは凄いものがあると思う。

*9:ふと本題から外れるが、この「ビッチフェス2020」では様々な対バンの人達が放つ「ビッチ姐さん』「ビッチ先輩」っていう呼称ってなかなかインパクトありますよね笑

*10:英語の教科書付属のCDに『We are the world』が収録されてて九州の田舎中学生(私)は「 アメリカンはお洒落バイ!」とCDを死ぬほど聞きまくってたら、某日ラジオで流れた歌声と違う事に気づき、よくよく教科書を見てみるとトムやナンシー等の会話担当者達の歌声だったと知り激しく萎えた件を思い出す。

*11: