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映画『アルプススタンドのはしの方』が令和2年の夏を代表するべき超ド級の大傑作だった件

0. 約4ヶ月ぶりの映画館

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このコロナ禍において、最後に映画を観に行ったのっていつだったろう?

個人的にはもうずっと前の真冬の最中ぐらいかと思ってたが、これが意外と中途半端に昔(笑)4月4日のパンクバンドThe Clashなどを題材としたドキュメンタリー映画『白い暴動』以来だった事がわかった。

 

にしても、あの『白い暴動」@梅田シネリーブルの時は酷かったなぁ〜。この時はかなり個人的にも歴史的に屈辱的な映画鑑賞で、まだ当時は隣の座席とのソーシャルディスタンスに関するハッキリしたルールめいたものもまだ確立されていない時期だったのか、結構隣座席の距離感って近かったのだ。というか、隣に座ってる正にクラッシュ命、パンクロック最高みたいなパンク・ファッションに固めた男が隣にいて(入場して座席につく瞬間からなんとなく嫌な予感がしてたのだが)上映間も無くカールみたいなスナック菓子を食う音がシュワシュワシュアシュワシュワ、まぁうるさい事、うるさい事!!!

 その男がその一袋のカールを消費するまでの何十分間か(いや、もっと体感的に長い気がしたなぁ、1時間とか....でもあのお菓子一袋食うのにそんな長時間かかるだろうか?)全く集中できなくって、もうこっちも何か映画鑑賞リズムみたいなものが狂わされて内容も何もぶっ飛んでしまって、もはややけくそな気持ちのまま映画も終わってしまったのだった......

というThe Clashの映画を観に行ったのに頭の中がクラッシュしたバカに付き合わされてその日は映画どころじゃなかったってお話でしたとさ

 だからこそ、だ。このコロナ禍で映画上映、リハビリ鑑賞の第一作目は素晴らしい映画でスタートしたいではないか!そんな事を常々思っていた7月25日のある日、こんな作品が公開されるという多くのツイートに出くわした。


映画『アルプススタンドのはしの方』予告編

はぁ??アルプススタンド??? 高校球児の映画??青春もの??応援もの???

元来、これらのワードに興味のかけらもないどころか、普段から甲子園とか高校野球などを土台としたスポーツ映画の取ってつけたような青春物語が大嫌いな私からするとこのキーワードだけだと完全にスルーしてた筈なのだ。

 だが、何かが違うのだ。そう言うざわめきをも感じたのは、どうにも私と同じように「高野連が推薦しそうな青春甲子園」などハナっから毛嫌いしそうなTwitter民達のリアクション達がポジティブまでに熱を帯びているのだ。それどころか、年間何百本とか作品を観てそうな、言うなれば普段から「ヒッチコックがどうたらこうたら...」とかツイートしてそうないかにもガチ映画マニアっぽい人までもが「今年見た映画では史上最高傑作ではないか。」とかツイートしてる始末。

これは何かあるぞ、、、、何かが違う、と思って調べて見ることにした....

 

❶どうにも「甲子園を舞台としつつも球児すら一瞬たりとも映らず、タイトル通りアルプススタンドのはしの方 に座った演劇部女子2人と元野球部男子と優等生女子の間で繰り広げられるテンポの良い会話劇が75分もの映画時間のほぼ大半を占めるという事らしい。

 

❷しかも主要キャストはこの4人と、セリフと演技がしっかりあるのが、たまに出てくるガチャガチャうるさいエセ熱血教師と吹奏楽団の女子人組のみ、というかなり絞ったキャスト。

 

❸そしてこの映画の土台になっているのが第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた名戯曲を映画化した青春ドラマを舞台化した作品だという事。

 

❹そしてこのいかにもエヴァーグリーンなポスターや予告編のイメージからは想像もつかないのだが、今年の冬ぐらいに話題になった『性の劇薬』の城定秀夫監督によるものだと言う事。*1

 

いや〜でも見事にツボってるね。❶から❹まで全てが「ツボof ツボ」。これらはまさに演劇好き、その中でもアコースティックシアターみたいなシンプルなセットでの公演の類の方が壮大な冒険活劇とかよりも断然好きな私の心の導火線にモロに火をつけまくってくるではないか。しかも❹のように普段ディープな作品を撮る人が突如こう言う青春ものに振り切るこの振れ幅てのも興味深いよね。

 例えるなら、岩井俊二監督の文脈でいくと『リリイシュシュのすべて』の次作品が、『花とアリス』みたいな振り切れっぷりは大好きなのでこれは大いに期待できるぞと。*2

で、急いで公開二日目に観ようと、大阪の映画館梅田ブルク7の上映(14:00)に予約する事にしましたとさ!

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The table of contents

1. Overview of『アルプススタンドのはしの方』 

(A)ストーリー

(B)キャストたち

2. 感想と考察と妄想と...

A.偽りなき感想

B.考察と妄想の果てに

3.リモート舞台挨拶付き2回戦、観ました!!!

APPENDIX; 主題歌『青すぎる空』

  

1. Overview of『アルプススタンドのはしの方』 

(A)ストーリー

hp上に記載されてあるネタバレなど回避したあらすじはざっとこんな感じ。*3

 高校野球夏の甲子園大会。夢破れた演劇部員の安田(小野莉奈)と田宮(西本まりん)、遅れてやってきた元野球部の藤野(平井亜門)、成績優秀な帰宅部女子の宮下(中村守里)が、アルプススタンドの隅で白熱する1回戦を見つめていた。どこかぎくしゃくしている仲の安田と田宮、テストで学年1位の座を吹奏楽部部長・久住(黒木ひかり)に奪われてしまった宮下、野球に未練があるのか不満そうな藤野。

 試合の行方が二転三転するに従って、彼らが抱えるさまざまな思いも熱を帯びていく。

 

(B)キャストたち

で、その上記の登場人物の紹介をしておくと

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安田あすは(小野莉奈)... 演劇部。どこか物事を俯瞰で見て諦めがちなところがある三年生。

 

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田宮ひかる(西本まりん)... 同じ演劇部のあすはと仲が良いが少し気を使いがちな面もある。

 

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宮下恵(中村守里)...帰宅部の優等生。友人はいないが、密かに想いを寄せてる人がいる?

 

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藤野富士夫(平井亜門)...元野球部。どこか野球への情熱を捨てきれない思いもあるらしい。

 

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久住智香(黒木ひかり)....吹奏楽部で成績優秀なまさに誰もが憧れるリア充的存在。だが...?

 

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厚木修平(目次立樹)...茶道部顧問の熱血英語教師。その空回りっぷりが大いにイタイ(笑)

 

2. 感想と考察と妄想と...

A.偽りなき感想

一言(?)で言ってアホみたいな感想だが、「もう、めちゃくちゃ面白かった!!!!こんな笑えて泣けて、希望をもらえてほんのちょっとのセンチメンタルもあってこれほどのど直球の感動に出会すことなどあるだろうか!」に尽きる。

結論から言おう、この作品は間違いなく令和2年の夏を代表する最高傑作映画となる作品だと確信した。何せ、なんら文句のつけようがない、真っ当に素直に面白くて感動できるメインストリーム級の作品だとも言っても良い。会話のテンポの良さにめちゃくちゃ笑ったし、途中のあるシーンでもこのシーンでも思わず力が入ってしまって声を上げそうになったし(この時期それはタブーだよ)、またまた観終わった後の爽快感はまさにホームランでも打ったかのような気持ちだった。はたまた、気持ち丸ごとホッコリして形なき大事な何かを心のグローブでキャッチできた気分だったな。(バッターなのか、守ってるのかw

 いやでも、こう実際に観てみるとカメラワークは、終始アルプススタンドの隅に座っている彼女らのみではあったのももう逆に新鮮すぎる設定だ。と言うよりもはや斬新な設定ですらあった。とはいえ時々お茶を買いに行ったりとか、トイレに行くなどの時に裏の自動販売機近くのベンチのある休憩場に切り替わる事もあったりだとか、客席では久住智香らがいる客席前方の吹奏楽部が演奏している側に場面が切り替わる事があったりもするのだが、ほぼほぼ75分中8割ぐらいがその「アルプススタンドのはしの方」がメイン・ステージだったのだ。

 でもここで重要なのは不思議と狭苦しさや、単調な感じや、閉塞感などの感想は一切抱くことがなく、「甲子園の魔物」と形容されるような、むしろ見えない怪物と戦うような感覚に襲われてたんだけど、それは小野莉奈をはじめとする役者達の演技はとても上手かったからだ。お世辞抜きで全キャストの演技たるや、めちゃくちゃナチュラルで抑揚もあり間合いもあり、とても引きつけられる魅力的な演技をしていた。特に冒頭からしばらく続く安田あすはと田宮ひかるの

 

あ「ファウルボールに当たったら死ぬの?」

ひ「うちのおじさん当たったんだって。」

あ「おじさん死んだの?」

ひ「まだ生きてるよ。」

 

....みたいなもうコントのようなあの野球オンチトークなぞ、もうずっと延々眺めていたいくらいの心地よさだった。城定監督、これいずれ円盤化したら「あすはとひかる」のトーク集みたいな二人のショットのロング・バージョンを収録していただけませぬか、と切に願うよ。とにかく大袈裟ではなくもうこの前半のトーンのまま映画が終わっても良いと思ったほど心地よくこの空気感に浸ることができた、これは客席にいたほとんどの人がそう思ったに違いない。

 しかも、だ。人見知りオーラ全開で初めてフワッとしれっと登場してきたメガネっ子、宮下恵のもたらすオーラとか凄かったし、藤野富士夫のバットの振り方の微妙な下手さ加減の振り方とか違って見える人には見えてわからない人には分からない風に見せるあの塩梅が絶妙でひたすらおかしかった。あと、ああ言う空回りしがちな厚木修平先生のような存在もリアリティとコメディとのギリギリの絶妙なラインを行ってて、最初は知らない人達であっても、見終わるころには全員が魅力あるキャラクターと化していった。

こういう気持ちは上田慎一郎の映画『カメラを止めるな!』、『スペシャルアクターズ』とか『恋する小説家』などを観た後の気持ちに近いのかもしれない。

 そう言う意味でもこれ本当にまるで10年以上やっている劇団の演劇を鑑賞しているようだな、とか思ってたら別にこの話自体が高校の演劇がベースってだけではなくて、本当にキャストメインヒロイン3人が舞台で全く同じ役柄で出演していたとの事らしい。

そうか、そうか、道理でこれほど息のあった演技ができるわけだってくらい感心する訳だ。

あの一人を除いてだけど(←厚木先生、大変失礼しました💦)自分よりはるかに年下の10~20代の若手俳優ばかりなのにこれほど感情移入できる魅力ある演技できるってのは素直に感心するよね。

*4

正に、とあるクライマックスのシーンを観てる時って、自分含め他観客の多くがこんな表情だったのかもしれないですね(笑)↓

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B.考察と妄想の果てに

で、さっき「感情移入」と言うことばを使ったがふと思い当たる節がある。

この映画が自分含めた鑑賞者にドンピシャだったのは、紛れもなく今我々は「コロナ禍」と言う濃霧のような状況に侵食された状態であるこの時期に公開されたっていう事ともかなり関連づけられるのではないかと思う。

必死で目を凝らそうとしても何も見えない今のこの世の中の有り様と、メインステージの光景が決して見える事のない本作品の状況とがかなりオーバーラップしてくるではないか。

「甲子園のグランドが見えない」

「演劇の全国大会に出場できない」

「この、何もできない状況をどう乗り越えていくべきか」

というこの映画での設定や状況ひっくるめて、まさにコロナ禍とリンクしまくっているからこそ人々は共感しているのではなかろうか。

もうこれは青春物語という枠を超え時代を映し出す鑑(かがみ)のような作品なんだと思うし、我々はこの混乱の最中でいつしか「アルプススタンドのはしの方」のような世界に追いやられてしまったっていると言う事実をこの映画を通じて痛感してしまったのだ。

 あるいは、こうも考えられよう。メインストリームで起こっている野球の試合を、アルプススタンドの隅っこからワーワーと、あーでもないこーでもないこれはしょうがないこれもしょうがない奴らだあいつは馬鹿だあいつはダメだとか言いたいことを言って飽きたらそいつが死のうが生きながられようが、次のバッシング・ターゲットを見つけてまたまた集中砲火を浴びせようとするこのSNSを中心としたネット社会そのものとも共通しているようにも思えるのだ

 ハッキリ言うとこの映画を観ている我々が対峙すべき、最も近い存在は、「田宮ひかる」でも「宮下恵」でも「藤野富士夫」でも「久住智香」でも「厚木修平」でもなく、これまでの何度かの挫折を経てきたからこそ「しょうがない」を口癖として身に纏うようになってしまった主演の"安田あすは"だと思うのだがどうだろうか。

その証拠として、ポスターのタイトル文字をじっくりと見てみようか。

 

    ルプス

   スタンドの

   はしの方

 そう、上の赤文字を縦読みすると「アスは」になるではないか。これは紛れもなくこのタイトルの中に「あすは」、即ち、安田あすは の存在が隠れているという事を示唆している。

製作者、これは映画というよりむしろ舞台の脚本段階になるんだろうが、本作品のタイトルを決定するにあたって「鑑賞者であるあなた達の中にはどこか諦めがちな【安田あすは的要素】が存在してるのではないですか ?」と言うhiddenメッセージでもあるのかもしれない。 

*5

 さらに更に、この考察を妄想レベルにまであげてみよう。あのテンション的外れの熱血英語教師、厚木修平先生の存在っていうのも物語的にはコアとなるあるセリフを吐く事によって、最終的にはそれが正当的な評価を受けれられるんだけれども、あの肯定されていく過程をみるにつけ、少し恐怖を覚えたのも事実である。

 実社会でもネット社会でも何でもああ言う「声高に叫ぶ人」ってかなり同調圧力を強要する感じがあるよね。 最近「〜しよう!、皆で〜しようよ!」って声高に叫ぶ事によって得られるものってもう群れが群れをなすだけで終わるんじゃないか、って気もしている。これは具体的には、何でもいい、政治的思想を呼びかける妙に長いタグ運動でも、マイナーなシンガーソングライターや、バンドなどの曲を広めたりする時にやたら「拡散希望」うるさい人が散見されるのだが、そこで数多くの人を集めてたとしても、そこで集まった全員がそこで思考が停止していたら、それをポピュラリティと呼べるのかどうかってどうも疑問に思ったりもするのだ、とはいえこの辺りは何が正解なのかはよく分からないんだけど。

ただ、彼の言っていることは本当に真っ当な素晴らしい言葉で、「人生は送りバントである。」って言うのも「Don't let it bring you down 」だの、ただ、それを標語のように貼り付けて強要するノリは個人的には大の苦手である、端的に言えば頭悪そうな体育教師が言いそうな感じがってかこの人は茶道部で英語教師っていう体育教師要素ゼロなんだけどなぜあんなに野球応援してるんだろうか(笑)

............まぁ話がかなり脱線してしまったが、兎にも角にも、本作は、このコロナ禍で社会や人に毒を吐きがちな、ささくれだった人々の心のヒダを取り払う効果があるのは確かである。

 これに関して、公開二日目ぐらいに誰かがツイートしててめちゃくちゃ納得したのだが、『アルプススタンドのはしの方』の英語タイトルは「the edge of the seats」らしい

これだけ聞くと椅子の端って事だから直訳かと思われるだろうが、実はこのフレーズダブルミーニングだそう。

 意味的には「イスのはしに座る」から転じて→「前のめりになる」と言う意味になり、

→そこから転じて「手に汗握る」と言う意味が内包されているらしい。

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ホントだ!!

でももうこのダブルミーニングってって正に見た人のみが実感できるこの話の核(コア)ではないか!タイトル考えた人も、発見した人もえらい、ってか凄い!

 先ほど「ホームランを打ったようだ」と形容したけれど、本当最後の最後のあれは本当スッキリした。正にこの映画は「the edge of the seats」にいる人たちが本当に「the edge of the seats」する事を覚えるまでのドキュメントでもあるのだろう(←何のこっちゃ)。

 まぁ深い事抜きに、この作品は設定がほぼほぼ「アルプススタンドでの会話劇のみ」ってのがすごく良いんだな。ここ最近ずっと、コロナ禍によって、映画館と言うものにしばらく遠ざかってて映画鑑賞モードへのリハビリが必要なこの時期にうってつけの作品でもある。しかも75分と言うケツも痛くなるかならないか寸前のすっきりと観れるトータルタイム。

これが壮大な一大スペクタルSF映画超大作三時間とかだったらコロナ明け久々の映画館鑑賞としてはもうかなり疲労困憊しまくる事だろうね。下手したら映画酔いどころか失神者が出てしまうかもしれないな、まして4Dの椅子が揺れまくるやつとかもう問題外ですわね(笑)。

 ま、妄想はさておき、案の定10000字を超えてしまった本ブログであるが、兎にも角にも是非是非、これは映画館で観ていただきたい令和2年の夏を代表するかもしれない超ド級の大傑作であると結論づけることによって本記事本編の幕を閉じたいと思う。

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3.リモート舞台挨拶付き2回戦、観ました!!!

....この記事を書いて早1週間、今回はリモート舞台挨拶中継付きで全国40以上の映画館で上映されるという事で2回目を見ることにした。(ってか別に舞台上映なくても観るだろw)

 

やっぱり2回目はコメディというよりも登場人物の人間ドラマに肉薄して観ることができたように思う。前半の舞台的なライブ感あるやりとりもさることながら、もう後半の盛り上がりや感情の高まりを知っているからこそ、安田あすはと田宮ひかるとのあの日の事件を境に生じた二人の心理的なズレが生じたキッカケってのも最初っから気になったし、前半の舞台的なコントなやり取りも笑ったのだけれども、そう1回目に比べ気軽にヘラヘラ観れる類のものではなかった。

という訳で、2回戦は完全に「田宮ひかる」に感情移入して観てしまっていた自分がいたものだ。1度目の時はジュース買ってきたりして割かし気の利く子だなぁとか思いつつ観てたんだけど、あの日の演劇部の挫折となった出来事以来、どこか気持ちを押し殺しつつ誤魔化しながらも、あすはとの友情はどことなく維持してても「しょうがない」という言葉にも時折打ちのめされつつようやく自己の光を見出すまでのドキュメンタリーとして観るようになった。

この日は上映後のzoomによる舞台挨拶上映で目次立樹氏も言ってたが、あのどシリアスなシーンで「ここの自動販売機高いよね。」と言ったりもする天然感はほんとに引き付けた。

で、これは舞台版の写真。ちなみに二人の配置が逆なのが興味深い↓

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更にこんなこともzoomによる舞台撮影では言っていたよね。

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*6

 

全体的には本作品は舞台演劇というのが下地にあったわけで、そこから舞台演技という枠組みから映画の演技へとどのようにナチュラルにシフトチェンジしていくかに皆苦労していたように思う。これは小野莉奈のコメントではあるが、映画撮影時、当然実際に試合が行われていたわけではないのでカメラ側では棒にボールをくくりつけたものを動かして皆の目線を合わせていたそうだ。こりゃ舞台よりも大変そうだな。*7

ただ厚木修平役の目次立樹氏だけは「舞台でも散々好き勝手やらしてもらって、で、映画でも好きにさせてもらってますけど...」という辺りもあまり説得力がない感じが面白かったな。いや、というより厚木先生の演技見てこれは完全に舞台が浮かぶよね、とか正直思ってたのだが、舞台はもっとスゴイのか、いずれ舞台化か、この時の映像とかって残してないのだろうか。いずれ舞台化が叶えばぜひ観てみたいと思う。

他にも特にどういうシーンが興味深いかというインタビューコーナーがあったのだが、

 主演の安田あすは(小野莉奈)は藤野富士夫(平井亜門)とのやり取りで勉強も遊びも恋愛も....進研ゼミじゃん!」と一緒に合わせていう所だそうだし、また田宮ひかる(西本まりん)は宮下恵(中村守里)の頬を一筋の汗が伝うシーンが大好きというのが非常にオヤジ目線 .....いや失礼!!マニアックな感じがして笑ってしまった。この西本さん多分発掘すればめちゃくちゃ面白いポテンシャルがあるんじゃないかなと思ったりした。あとは先生役の舞台挨拶で目次立樹氏も言ってたが久住智香(黒木ひかり)が宮下に対してアクエリアスかなんか差し出しつつ「塩分とった方が良いよ」と言ってるにもかかわらず、それを受け取ろうとしない宮下、という割とどシリアスなシーンで「ここの自動販売機高いから貰っといた方がいいよ。」かなんか言ってしまうこの天然ぶりというか不思議な感じもなかなかにして絶妙なキャラクラターだと思う。

 

APPENDIX; 主題歌『青すぎる空』

最後の最後にこちらも本作品の重要なファクターであるのでこれも紹介しなければなるまい。本作の主題歌を担当してるのが( ザ・ペギーズ)と言う3人組ガールズロックバンドの『青すぎる空』と言う曲である*8

この歌詞が本作のど直球なまでにシンクロしたものになっていて非常に心地いいのだ。

一部を引用すれば*9

 

❶"光る汗と響く声 戻らない日々” 

横目に帰る 音を立てた自転車

輝き方がわからないままの僕は 

面倒臭いが口癖になってた

 

❷友人は上手くつくれない 

隅っこの特等席

見逃し三振 靴紐を結び直す 

本当は君に伝えたい

 

❸ちょっとずつ前を向いて

今からでも間に合うかな

二死満塁で握らせ息を飲み込む

何かが変わる気がした

 

❶、❷、❸をそれぞれ見るにつけ、鑑賞者は本作ではどの登場人物に擬えることができようか、自然とパズルの埋め合わせをしてしまうのではないだろうか。

 

❶は、紛れもなく「しょうがない」が口癖の安田あすはの心情であり、或いは野球部を辞めてしまった藤野富士夫にも擬えられよう。『光る汗と響く声』演劇にも野球にも欠かすことのできないものである。

❷【友人は上手くつくれない】の件は正に宮下恵の心情そのものであるが【隅っこの特等席】にいるのは紛れもなく上記4人の登場人物の心象風景を鮮明に映し出している。

❸【二死満塁で握らせ息を飲み込む 何かが変わる気がした】もうこれは物語の最初っからそれを貫いてきた久住智香と、あと厚木修平の心情にもスパッと当てはまるではないか。

 

そして弾けんばかりのサビパートである!

 

❹この青すぎる空が僕には似合わないなんて思っていた

でも逆転するんだ

空ぶったっていい 

この青すぎる誓いを君と結びたいから

僕は僕のままで 

さぁ変わるんだ今 

恥かいたっていたら

 

そうだ、❹の歌詞は紛れもなく解き放たれるようなサビのメロディととも、安田あすは、田宮ひかる、藤野富士夫宮下恵、久住智香、厚木修平だけでなくもう鑑賞者全員へ向けられた私信のようなものだ!

もう正にあのシーンに対峙する彼女らの心情とリンクして鑑賞者の誰にも当てはまる歌詞ではないか!!!!!

この作品のあのシーンを目の当たりにしたもの誰しもがこの歌詞のメッセージを一心に浴び、熱い熱い何かがこみ上げるのはもはや必然の事実だと思うのだ。

ちなみに、この曲自体にはMVなるものは現時点では存在しないのだが、彼女らが2020年4月にリリースした最新アルバム『アネモネEP』の二曲目に収録されているので、彼女らの音楽性を知りたい人は本曲を含め、そのダイジェストを以下のトレーラー動画で知ることができる。

*10


the peggies 『アネモネEP』全曲視聴トレーラー映像

 

【追記】

...と言っていたがこのあと、しばらくしてPeggies ver.による物凄い映画本編との名場面とをリンクしたMVが、9月中ぐらいに発表されている。


the peggies「青すぎる空」Music Video (映画「アルプススタンドのはしの方」主題歌)

そしてこちらは本編において吹奏楽部として演奏してエキストラとしても参加しているシエロウィンドシンフォニーによるMVも、こちらは11月中辺りに発表されている。


「青すぎる空」 Cielo Ver.

 

 

 

 

*1:2月にシネマ・ロサに行ったときにかなり行列ができて気になっていたのだが【ハードなBLもの】らしいと言うテーマが何となく私を遠ざけてスルーしておりました(笑)、城定監督、これを機にぜひ今度観てみます。

*2:この作品ってもしかしたらあすは とひかるの会話シーンにどこか『花とアリス』オマージュを意識してるような気がするのだがどうなんでしょうか。

*3:

alpsnohashi.com

*4:いきなり映画から入った役者さん達はプレッシャーあったろうね。8/2の舞台挨拶でも触れていたが、この辺りの役作りなどの特に藤野富士夫(平井亜門)さんの葛藤はこちらをご覧いただきたい。


【囲み会見】今の仕方がない状況だからこその意味を持ち輝く映画『アルプススタンドのはしの方』

*5:とかさも自慢げに言ってるが筆者がこれに気づいたのはこの映画を観た翌日だったよ(コラw)

*6:最前ど真ん中席で観たので画面の歪みっぷりが半端ないのだが...w

*7:ちなみにこの映画のロケ地は甲子園球場ではないらしい。許可が下りなかったらしいのだが、この映画がたい好評を博している今、地団駄踏んでるのは甲子園側だろうよね。

*8:これだけ音楽聴いときながら、ましてや女性ボーカルなのに個人的に全く知らなかったのでここでお詫びして紹介させていただきます。

thepeggies.jp

*9:ちなみにパンフレットに本曲の全歌詞が掲載されている。このパンフレットはシナリオなども収録してたり、大橋裕之の漫画が掲載してたりとか、対談、レビュー、コラム、プロダクション・ノートとかなり充実してこれで1200円ってかなりお得だと思います。

*10:いずれこの映画が大ヒットなりして盛り上がればメンバーと映画本編シーンとがコラボしたようなオリジナルMVなんていうのも作られる事を本気で期待してたりするのだが。