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映画『スーパーミキンコリニスタ』妄想レビュー!〜Who Succeed this Super Success Story ?〜

1. Overview Of 『スーパーミキンコリニスタ』

ここ最近劇場で観た映画作品をざっとあげるとロングランの社会派傑作『ひとくず 』や、伝説のSF『平成ガメラ3部作』だとか、あの緻密な世界観の話題作『JUNKHEAD』であるとか、少し前のハリウッド超大作『Wonder woman1984』とか、どれもジャンルは違えど、ここ最近はヘヴィーかつ壮大な作風の「お腹いっぱい」な映画鑑賞が続いていたように思う。まぁそれはそれでいんだけどそんな中、ふと日常の何気ない光景の中で、ほんのり明るい光をくれるような、まるで砂漠の中でふと見つけたオアシスのような心温まる作品というものに久しく飢えていたものだった。コッテリしたものを食えばさっぱりしたデザートが欲しくなるように。

.......と思ってたらハッと、運命的にそういう種の作品に出会ったのだった。

それがこの作品!

その名も草場尚也監督による『スーパーミキンコリニスタ』である

は〜い、(いや、ここは「あーい」というべきかw)これが今回シアターセブンにて4月13日、4月30日と、2度にわたって鑑賞した「あの〜この『スーパー...ミ、ミキンコリニスタ』?を一枚ください。」というチケット売り場の受付でタイトル言うのに噛みそうになるためちょっとした覚悟のいる妙なタイトルの作品である。

そもそもこのタイトルの由来はあの元Judy and MaryYUKIが自らのファンダムを「スーパーユキンコリニスタ」と呼称して、更に本作の草場尚也監督の学生時代の同級生がミキという名前で「スーパーミキンコリニスタ」と自称していた事に由来しているという。

*1


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公式hpに掲載されているあらすじを紹介すると以下の通りである。

エキストラ女優のミキは、いつか主演になることを夢見て日々猛進していた。
25歳を迎える今年こそ結果を出したいと意気込むが、
大事な撮影現場で失態を犯し、所属事務所をクビになってしまう。
フリーになったミキは、芸名を『スーパーミキンコリニスタ』と名乗り、我が道を突き進んでいくが...

といったストーリーなのだが、実際に観てみると非常に熱量のこもった作品で、予告編から醸し出されるユルさ以上に、また上記のあらすじから伝わるニュアンス以上に、この「いつか売れっ子女優に!」そんな夢を抱くエキストラ役のミキの過剰なまでに我が道を突き進むぶっ飛び具合がひたすら痛快だった。

 その辺りのエピソードをストーリーの核(コア)に触れない程度に軽く紹介すれば、エキストラと言うドラマや映画では主演、助演などの主要キャストに比べるまでもなくカーストで最も最下層に位置するのにも関わらず、収録前になぜか楽屋が用意されていると勘違いしたミキがさも大物女優ぶって楽屋入りしてしまうシーンであるとか、その収録中にたまたま同じエキストラとして居合わせた瞳と言う若手の女優にやたら饒舌かつ上から目線なアドバイスかましたりとか、最も個人的にツボだったのは、ある学園ものの映画作品収録中に、ビンタされる役を自ら買って出るシーンがあって、まぁそのシーン自体結構グッとくる良いシーンなのだがビンタされる直前になぜかウォーミングアップのような準備運動をしたりするのだ、なぜ君はビンタされる側なのに準備運動するんだよwと当時爆笑こらえるのに必死だった*2

要するに特に主演の高山璃子さんのあの、過剰なんだけどリアルさもありつつの絶妙なバランスの演技してな演技に魅了された90分なんだけど、短編エピソード込みのドラマが10本以上はギッシリ詰め込まれたような非常に満足のいく作品だったと思う。

*3

本当繰り返しになるが、良い意味で予告編に裏切られた作品である。

この予想外にも感じた本作からほとばしる「熱量」の所在は一体どこにあるのだろう? 

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2. The Synchronicity of 高山璃子 &ミキ

その作品における熱量の所在、そう、その答えは4月13日シアターセブン にて開催された主演高山璃子さん単独の舞台挨拶にて知ることができた。

何せ、彼女の実際のキャラクターから、動作から、話し方から、その境遇から何もかもスクリーンから出てきたんじゃないかってくらいミキとリンクしすぎてビックリしたのを覚えている(ご本人はそうでも無い面もあると言われてたが個人的には雰囲気まんまやね、と思ったのでした。)。

いや、同じ人が演じてるんだからこれって普通じゃないの?って思う人がいるかもしれないが、映画を観た後に本人が舞台挨拶で出てきてここまでリンクする人って実は逆に稀じゃないかってくらい驚くほど少ないのだ。

 話は脱線するが、最近驚いたのが同シアターでロングラン上映している『ひとくず 』キャスト勢。中でも人の家にズカズカ入って金盗むはラーメン屋の店員にブスだ、皿持ってこいだ、ぬかしたり、人を〇〇したり....(ネタバレ防止で伏せておく)、あのはた迷惑極まりない人道外れた男、カネマサ演じる上西雄大さんが、もう事もあろうになんと舞台挨拶立った時に「ものすごくソフトで腰の低いご丁寧な紳士」だった日にゃもうのけぞったもんな。*4

他作に関してはまぁ良いとして本作に戻せば実はこの作品では何気に偶然にして出来過ぎな不思議なエピソードがに溢れてて、例えばこの監督・脚本・編集まで行なったこの草場尚也監督が、『スカっとジャパン』と言う再現ドラマ中心の番組があるけれども、何年か前に彼は当時ADをしていた時にちょうど高山さんも同じ現場にてエキストラとして出演していた時に知り合ってて、その後ある程度の年月が経過して、「いざ映画を作ろう!」ってなった時にふとその時のことが思い出して高山さんに出演依頼の声をかけた、と言うエピソードがあったと言う事。もう一つ面白かったのがミキの母親である夢島由樹役の櫻井美代子さんと言う方もいらっしゃるのだがこの方は実際に物語の舞台同様長崎出身だったり、しかも高山さんの実際の母親のお名前が「美代子」だったりと....二つのエピソード共々映画と現実が偶然リンクしててとても驚いたな。

そう言う意味で、この現実とのリンクっぷりは、まるで舞台挨拶上でも『その後の スーパーミキンコリニスタ』という続編第二弾でもここで観てるんじゃないかってくらい不思議な感覚だったし高山さんが舞台挨拶終盤で「この作品が私を引き寄せたんだと思う。」と仰ってたのも物凄い納得性があった。

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3. My Focus point of 『スパミ』

さて、本作は実は略称として『スパミ』とも呼称されるが、主演、高山璃子(aka ミキ)さんのぶっ飛びつつも憎めないキャラクターがガンガンツボった作品であるというのは前述した通りであるが、ここでは別視点というか、話のネタに触れずに私なりのフォーカスポイントを絞った形で3点ほど見所となるFocus1~3を述べていきたい。

 

Focus 1

さて、本作には以下のような台詞がある点に注意したい。

「僕は、皆(他のファン)と一緒なの?僕だけが特別じゃないの?」
さて、今現在アイドルなり女優なりSSWなり【推し】がいる人で上の台詞に心当たりのある人はいないだろうか?

まず、そういう人は全員正座して観るべき作品だと断言して良い。

これはどういう場面で放たれたセリフなのかというと、ミキが自分の「生誕祭」と称して、今度は女優としてではなくカメラの写真モデルとして自らのファン10人を募って誕生祭&撮影会を一頻り行なった後で最後に残った最も古参のファンの中年男性がミキに放った一言。Twitterなどのアカウント上では多くの人の「推しへの愛」が綴られてて時にめまいを起こしそうになるがこれほどまでにその種のファンダム心理における「自意識過剰」と「承認欲求」を悍しくも具現化したセリフはないであろう。

いや、全編さらっと観れる作品ではあるんだけどこのセリフを聞いた瞬間背筋が凍った。この辺りのある意味壮絶な展開はちょっとしたホラーであるので詳細は言わないので是非ご覧いただきたい。中年オタ、伊良林邦夫を好演した金時むすこ(現在、改名されて「もりたかお」さん)さんなる役者さんがソフトながらもどこかジトッとしててとてつもなくリアルなのだ。彼もほぼほぼ高山さん同様、同じ自分のドキュメンタリー感覚で演じてたりして、そんなことないか、失礼しやした(笑)

Focus2

あと最後に、本作品にはキャスト面でとても不自然なほどに不思議に思っていることがある。それは、数場面で出てくる同じ助監督の存在である。その助監督はどの場面でも別人として配役されても良さそうなんだけど、全て一條恭輔さんという役者さんしかキャストされていないのだ。でもこれも舞台挨拶にてインディーズ映画ならではの様々な理由があってのことだったそうだが、まぁそれは置いといてこの映画は予算とか規模とかを超えて実にフォトジェニックなのだ。

では、予告編からスクショ抜粋した以下の4つのシーンを見てみよう。

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ね??これ凄くないですか、全て何かポストカードとして発売されても何の違和感の無い完璧な美しいシーンでは無いか!特に❶とか❸とかTwitter界隈でよくみる

#ファインダー越しの私の景色

#写真好きと繋がりたい

などの写真好きがよくツイートするようなハッシュタグとともに出てきそうな写真としての完成度を感じてしまうし、❷とか❹とかって何かの映画作品のオマージュだったりするのだろうか、とも勘繰ったりするほどにバシっと決まっている。私個人の意見では、直感的にこの2枚は90sの映画というよりドラマの匂いがするのだがどうだろうね。

或いは❹とかって岡崎京子作品に出てきそうなシーンなんだがどうなんでしょうね?これは超個人的観測なんですが、多分草場尚也監督は撮る前から実際に青写真として❶〜❹までのシーンを絵コンテ化かなんかして描いてたのでは無いかとも思っている。

例えば岩井俊二監督の全作品の印象的なシーンが元々絵コンテで作り上げられているそうだが、そのイメージをちょっと思ったりするんだけどね。

この辺りは憶測だらけで全然違う可能性も大だけど、でもそれぐらい印象的な名シーンの数々が散見される。本編中他にも色々あったから是非ご覧になった方は色々な名シーンが色々と見つかるのではないかと思う。

 

Focus3

そしてそしてこの作品が面白いのは先に述べたように、高山璃子さんが「作品が私を引き寄せた。」と言っているように作品上映終了後に、ミキの「売れたーーい!!!!」と言うマインドをそっくり彼女が引き継いでいるような気分にさせられる半ばドキュメンタリーのような作品なのだ。実際エキストラをしていた高山璃子という女優は、この映画で主役に抜擢されて、もうミキのその後のサクセスストーリーをも引き継いでいるように活躍されているのだが、同時にミキ同様に今もなおミキのようにオーディションにアプライしまくっているらしい。

そうした意味で先のリモート舞台挨拶時に仰ってたように

「作品が私を引き寄せた。」→「私がこの作品を続けていく」事にもつながってくると思うのだ。そしてそれが象徴しているのが、是非是非このタイトル「スーパーミキンコリニスタ」が本編中どのタイミングで出るのか是非とも注目していただきたいと思う。

私は割と映画作品を観ててその作品タイトルがどこで出るのか、そのタイミングに意識的なタイプなんだけど、本作のタイミングは私的ナンバー1か2ぐらいに位置付けするくらい気に入った。

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【付記】

あ、そうそう、ではでは最後に本映画作品らしいほのぼのしたエピソードを二点ほど披露して案の定5255時を超えてしまった本記事を締め括ろうか。

そもそももこの作品を観たきっかけってのがまた面白くって、実は鑑賞前日の4月12日はまだはっきりと行くかどうかは迷ってて、「この映画面白いのかな?」とツイートしてて、高山さんが「ぜひ見に来てください!」とリプライしたと言う事もきっかけだった。

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あと、本作品にはオリジナルグッズとして「ステッカー」が存在してて偶然それをツイッターにアップした所高山さんから本人自ら愛用者であるみたいな裏話をリプライして頂いた

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こういうエピソードもこの映画作品の一部になっているようで凄く面白いなとも思います(笑)*5

 

【付記のまた付記...】

.....と本記事を書いて二日後『スーパーミキンコリニスタ』のオフィシャルアカウント様とあのミキさんの女優としての才能と美貌をいち早く発見し、発見したがためにえらい展開になった古参オタを怪演された、金時むすこさん改め、現「もりたかおさん」から素晴らしいリアクションを頂いた。

 



*1:1度目は4月13日、2度目は4月30日で最初の時はタイトルを言えずに「こちらを観ます」。

2度目はキチッと「スーパーミキンコリニスタ」とはっきり言えたというどうでも良い情報w

*2:舞台挨拶後その点についてお聞きしたが、「あの準備運動シーンオッケー貰ってよかったです。」と仰ってたよね。

*3:あと個人的に凄く興味あるのが憧れの先輩俳優のサイン会に行ってあれこれあるのだが、」帰り道にボソボソ言ってるセリフ最高でしたな。「ああいうのが日本映画をダメにする。」とかなんとかかんとか言うやつ。あれはっきり聴き取れなかったから全部読んでみたいな。

*4:『ひとくず』関連ではあの育児ネグレクト母親・凛を演じた古川藍さんもその点は圧倒的よね。もう全っ前雰囲気が違いすぎて本人がいて自己紹介しても別人と思うほど。この作品もいずれレビューしなくちゃね。

*5:あと今回本作のステッカーを二枚購入したのだが、目を寄せたら3Dになるんじゃね?というどうでも良い情報。ほら、目を寄せたらミキさんの靴が飛んで見えるよ👟 

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