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Music, Movie, and Manga sometimes Make Me Moved in a Miraculous way.

「夢」が「リアリティ」へと変わった瞬間~ #優利香 ABCホールワンマンライブからエンタメの輝く未来を考察する

「夢」が「リアリティ」へと変わった瞬間

~優利香 ABCホールライブからエンタメの輝く未来を考察する

Ⅰ. ABCホールライブレポート

Ⅱ.The Road to Dream

scene1「優利香&やましたりなツーマン」路上ライブ

scene2『優利香Presents ABCホールまでの盛り上げ企画!1』

scene4『大阪駅ルクア前路上ライブ』

Ⅱ.優利香 名曲コレクション

1.『感情渋滞高速道路』

2.『ノスタルジーラムネ』

3.『withallmyheart』,『開花』

4.『ハートレス人間』

5.『世界はロック』

Ⅲ.世界は優利香〜未来のJ-ポップシーンへの展望〜

Ⅰ. ABCホールライブレポート

2022年11月14日月曜日、満員の大阪のABCホールにて19:04ぐらいバンドメンバーがSEと共に颯爽と登場し、 最後に黄色い衣装を着た彼女が現れ『感情渋滞高速道路』のイントロが鳴り響いた瞬間、何かが崩壊し、 そして何かが新たな始まりを告げるのを感じた。

2022年11月14日月曜日

優利香ABCホールワンマン〜眩しくて強い未来へ〜

19:00〜

セットリスト

1.感情渋滞高速道路
2.世界はロック

3.withallmyheart

4.食べたいモノはない

5.明日やろうはバカヤロウ

6.ノスタルジーラムネ

7.開花

8.ユメビカリ

9.君に借りたパーカー

10.圧力鍋

11.僕らはきっと普通じゃない

12.神様の悪戯

13.青いクジラ

14.ハートレス人間

15.いってきます!いってらっしゃい!(with あいかビンギラ)

16.Eureka

17.眩しい朝日

18. 輝く未来へ

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19.やりたい事

20.ブバルディア

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21.三角マーク

まさに以下の当日の私のツイートがそのボルテージの高さを証明している。


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私は心の中でこうつぶやいた。「コロナ禍以降に誰もが感じた世紀末的な絶望感と閉塞感を打ち破るべく、希望の光を希求するべく立ち上がった”ライブ”の復活だ!!!!」 そんな私のセンチメンタルとエモーションとEnthusiasmの入り混じった感情などお構いなしに今度は立て続けに次の曲『世界はロック』が解き放たれる。 本曲はストレートかつポジティブなのにこれほど心臓部ど真ん中に突き刺さるようなポップミュージックがあるのか、 目から鱗のイノセントな感動を伝えてくれる個人的に超絶大名曲だがこの日は一段魔法がかって聴こえたものだ。 そう、彼女はとうとうここ3ヶ月にわたる夢を叶えたのだ。*1

ロック・ポップス系統のシンガーソングライターなら誰しも夢想するであろう【満員のABC

ホールにてワンマンLIVEを開催する】と言う夢を... 。

そしてそんなメモリアルなこの日のライブはどうだったのか感想を一言で言うと、もう当たり前のような言い方だが、もうひたすら「楽しい」ライブだった。 何より路上やハコで共にしてきた戦友のような曲達を祝福するように満面の笑みで歌う姿に何度も感動したし、もはや彼女の笑顔が、歌う姿が、もはや彼女の存在自体が最強のセットリストだった。

それはオーディエンスのみならずステージ上にいる優利香氏も、優利香バンドのメンバーも、 誰もかれも全くこのある意味大舞台に臨まねば、という気負いであるとか、特別な日にするべく変にセンチメンタルを煽ったりする事もなく普段通りのライブを全力でぶつけると言った感じ。 これは恐らくこのライブがある意味の「区切れ」「終着点」「最終目標」を意味するものであったらそういうニュアンスのステージになるのだろうが、 むしろ「Starting Over」と言う表現がある通り「ここからが始まり」という意味合いが込められているのだろう。

本編ラスト曲は『眩しい朝日』にせず『輝く未来へ』にしたのもそんな姿勢の表れだったのかもしれない。 ホントにMCも普段通りの「タイトル噛んじゃいました💦」などなどのYouTube配信さながらの感じで(本当は緊張してるのかもしれないが)どこかリラックスしてるようにすら見えた。 具体的なライブ本編の最高潮は『ハートレス人間』辺りからそれまでの盛り上がりを更に助長するような物凄い盛り上がりが起こったと思う。 或いは世界が滅びようがどうにでもなれ的なヤケクソ感にも似た覚醒感があった。 あれを人は「ライブマジック」と呼ぶのかもしれない。 繰り返しになるが、2022年11月14日19:04、我々は「夢」が「現実」へと変わった瞬間の中にいた。正にネブワース1996のノエル・ギャラガーではないが「This is history!!!」である。

これはそんな1人のSSWの「満員のホールでワンマンLIVEをしたい」という夢が叶った歴史的瞬間であると同時に全てのインディーズを中心とした音楽ファンの夢でもあり、 音楽業界全体の理想の夢でもあるのだろう。

 恐らく優利香は今、関西圏にとどまらず、日本の音楽シーン全般を通して見ても最も上昇気流に乗ったシンガーソングライターであると位置付け、本記事では彼女に初めて出会った6ヶ月前からこのABCライブに至るまでの過程とその展望をも大いに語っていきたい。

 

Ⅱ.The Road to Dream

さて、少し時間軸を6ヶ月ほど前の初夏に戻そうか。*2私がこの優利香と言うシンガーソングライターに初めて出会ったのは5月末の北堀江vijonというLIVEハウスでの対バンイベントだった。その時私個人としては対バンしていたはるかりまあこなどでもお馴染みのトラックメイカーであるAmamiyaMaakoがメインで優利香に関しては今まで名前を聞いた程度だったので当初予測がつかなかったのだが初めて観た時の印象がガチなバンド編成で衣装もガッチリとショーナイズドされていて、偶然にも「まるでワンマンライブみたいだな。」と思ったものだ。*3しかもライブハウスではなくホール級のガチさを他の演者以上に感じたりもしたのをはっきりと覚えている。まさかこれが現実になるとは当然予測もしなかった訳だけど、今思えば、オープニングの感じやバンドスタイルだとかワンマンのような演出があってとても良かった。そこで最も印象的だったのはラストで歌われた『やりたい事』という曲。ここで演奏されたコロナ禍で書き上げたという『やりたい事』はこれほどLIVEハウスで歌う事だとかそこで受け取るオーディエンスの喜びまでも純粋に歌い切った曲である。

ステージからの景色も音もこの耳で

この目でこれから見たいんだよ

というフレーズの殺傷力。本曲はコロナ禍当時から甲子園駅9月11日にパントタビスルという甲子園駅前で開催されたイベントでも披露されたが本曲のこのフレーズが殊更に心に響いた。
本フレーズがはコロナ禍当時から、来るべき11月14日のABCホールへとポジティブな意味合いへと変化した形で我々に伝わってきたからである。そして本曲はこれまでの「願い」というフェイズから
11月14日のABCホールでは「確信を込めた強いポジティブなメッセージへ」と変貌を遂げ我々にビシビシと伝わってきたものだ。


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それから3ヶ月ほど時を経て再度観たのは「MUSICBUSKER」というFM802が主催しているストリートライブのイベントである。普段TVを観なくても関西に住んでれば誰もが耳にした事のあるだろう【関西人の朝のアンセム】である『眩しい朝日』が一曲目に放たれた途端、駅周辺を歩いていた人が一気に熱い視線がこのステージに注がれるのを感じた。

その時のライブで驚いたことがあった。

初めて彼女を観た後の物販において、少し彼女も出演した事のある名古屋Sunset blueというライブハウスに観に行く事がある、という話をしたのだが、それをはっきり覚えて、「ネノメタルさんは名古屋の人というイメージがありますけど。」と言ったのだ。正確には完全に間違っているのだが、その記憶力が神レベルで凄すぎてさすがエンターテイナーだなと感心した次第である。


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そしてそんな彼女のストリートライブを次に機会に観ることはそんなに時間は立たなくて数週間後のグランフロント大阪での少し場所が変わってのストリート。40分ほどのライブでiPhoneが3度ほど高熱でバテほどの酷暑でのパワフルなパフォーマンスだった。本当歌う喜びを思いっきり噛み締めて直向きに演奏する感じがとても印象的だったのだが、*4その日に例の重大発表が放たれた。

それが「11月14日ABCホールでのワンマン」だとの事だ。こちらがその瞬間を捉えた動画ツイートである。


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以下、これまで私が参加した優利香の路上を含めたライブ・イベントなどをツイートで巡っていきたい。

scene1「優利香&やましたりなツーマン」路上ライブ

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scene2『優利香Presents ABCホールまでの盛り上げ企画!1』

scene3大阪駅ルクア前路上ライブ』


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ABCホール での11/14のワンマンライブもちょうどあと一ヶ月を切った日曜日の夕方のこと。大阪駅ヨドバシ梅田渡った所にあるルクア前の例の所にてジャストすぎるタイミングで 優利香の路上LIVEに遭遇した。個人的には彼女が演奏するのを見るのはこの日がラストになったが「ABCホールワンマン」発表前後ぐらいから路上ライブを観てるけど立ち止まって聴く人がかなり増えたのにも少なからず驚いたものだ。「ホールを埋めたらどんな景色があるのだろう。」そんな夢を語りながら歌い始める彼女のその姿に誰もが心を打たれ、真剣に聴いているのがビシビシ伝わってくる。MC時に「チケットがまだまだソールドに届かない。」と言っているもののどこかしら余裕が感じられたような気がした。

そして、とうとうそんな夢が現実へと変わった。

3ヶ月間掲げてきたこの目標が達成されたのはライブ当日ギリギリ1週間前くらいだったと記憶している。確かにここまでの道のりは順風満帆ではなかったのはストリートの場所によってはリアクションが少なく不安だった事も後のトークイベントに吐露してるし、時間帯によって通行の影響などにより場所を変えざるを得なかったりしたし、あと重大発表した時だったともうがストリートライブの物販時、ボロボロのルーズリーフにサインくれとねだってたある中高年の男がいたが私が同じような立場ならブチ切れまくって「てめえ舐めてんのか、このじじい失礼にも程があるだろwwwくたばれ」ぐらい腹の中で思って下手したらついまんま口走ってしまうかもしれないが「普通はお断りしてるんですけど、今日だけは特別に書かせて頂きます。」と嫌な顔ひとつせず対応してたことも私はしっかりと目に焼き付けている。感情を抑えることも重要な要素だ。まあ努力すればが全て実る世の中ではないが、何事においてもチャレンジしなければ成果は成し遂げられないのだ、そんなシンプルだけど大事な事を強く思った。

Ⅱ.優利香 名曲コレクション

さて、私が優利香というSSWがABC朝日ホールワンマンを埋めるべく応援してきた理由は「応援せねば」というボランティア精神からではないことに注意したい。そもそもSSWでもバンドでもインディーズ映画でも演劇でも第三者に「熱心に応援してますね」と言われる事があるが私の中では「応援している」という気持ちは全くない。
単に「自分が良いと思ったもの」に対して狂ってるだけ。entertainmentに必要なのは媚び売ったコメントじゃなく個々のenthusiasmだと思うからだ。そうではなくて単純にそうなるべき楽曲の良さが十分に備わってるから。曲が素晴らしいからである。『世界はロック』も『やりたい事』も『感情渋滞高速道路』も路上でもカバー曲よりこっちを演奏した方が十分人が聴きに来るのではと思ったほどである。本章では6曲ほど個人的に気に入った優利香の珠玉の名曲を論じていきたいと思っている。

1.『感情渋滞高速道路』

二度目のストリートライブ時だかにご本人にも伝えたことがあるが、当初彼女の楽曲中で最もピンときた曲は本曲だった。
モノラルからステレオへと徐々にクリアになっていくイントロが象徴しているように本曲で描かれているのはSNS社会に対する懐疑とそれを撃ち抜く音楽のもたらす希望の光だと思う。
【destruction】という語の響きが心地良い。


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ABCホールでもファーストチューンに選ばれ、バンド演奏により本曲本来が持つロックダイナミズムが更に加速された。それにしても優利香曲で他にも後述する『ハートレス人間』などでも顕著な現象なのだが

匿名お化け
イイねが欲しくて草ワロタ
今日も誰かが誰かを叩いてもうほんとに勘弁してくれ

などここ最近のSNS社会がもたらす闇の部分に関してピリッとシニカルな視点も含みつつも、

誰かがいらないと言った音楽は必要なの

というポジティブなフレーズがポーンと放たれる事で彼女のポップセンスを魅力あるものにしている。それは例えば次に述べる『ノスタルジーラムネ』という郷愁溢れるリリカルな曲に関しても同様のことが言える。

2.『ノスタルジーラムネ』

優利香楽曲で個人的に好きな点はポジティヴィティのみならず「内省的な心情」も絶妙な塩梅で配合されている所にある。
ここで取り上げている『ノスタルジーラムネ』にしても単なる郷愁に留まらず郷愁と現実とを結ぶような以下の一節がポーンと投げかけられる。もう特にこのくだりには共感しかございません。ラムネ、ビー玉、田園風景、風鈴、僕達だけのルール...ど直球までに子供の頃にしか味わえない夏の終わりの歌だ。

今の時期に聴くと一層染み入るものがある。
どこか岩井俊二監督の伝説の映画『打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか』の内容を思い出したりして。

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いつもの空き地でした
ドッジボール覚えてる
僕は最後まで苦手だった
上手くキャッチできない
そのボールが今では
人の言葉に変わっている
上手くかわせもしない
投げ返せもできないままさ

そう、優利香楽曲で個人的に好きな点はポジティヴィティのみならず「内省的な心情」も絶妙な塩梅で配合されている所である。
取り上げた『ノスタルジーラムネ』にしても単なるノスタルジーに留まらず郷愁とリアリティとを結びつけるような一節がポーンと投げかけられる。
もう特にこのくだりには共感しかない。
この『ノスタルジーラムネ』で歌われる光景は「二度と帰ってこないあの夏」である。これは今でこそ思う後付けかもしれないが、今年灼熱の暑さの中ABCホールワンマンを発表して駆け抜けたこの2022年の夏への郷愁的な思いへとさながらトレースバックして聴いてしまうのだ。
当然のことながらABCホールで本曲のイントロが流れた途端感動の鳥肌が立って仕方なかった。

 

3.『withallmyheart』『開花』

この『withallmyheart』の中にこういう一節がある事に注意したい。

過去の栄光なんて今があってこそでしょ?

この言葉はあの「ジャズの帝王」ことマイルス・デイヴィスが全く同じような事を言っていたのを思い出す。

ja.wikipedia.org

A legend is an old man with a cane known for what he used to be. I'm still active until I die.

 

伝説とは杖にしがみついてるジジイどもの事さ。

俺は死ぬまで現役を続けるよ。

自らが伝説としてカテゴライズされるのを最も嫌ってあくまで革新性を追求するジャズの帝王らしい言葉である。優利香がこの言葉にインスパイアして本曲を構成したか、あるいは無意識なのかはまあ別としてこういう「マイルス的なもの」をポップスとして昇華できた曲はこの曲だけだと思う。ちなみに本曲は『優利香Presents ABCホールまでの盛り上げ企画!vol.1』で演奏されたのを初めて聴いたが物凄くライブ映えする曲である。ライブ当時のツイートでも語っているがとにかく魅せ方やグルーヴ感がヤバくて目から汗が流れたほどだ。

これがバンド演奏のダイナミズムが加味されると一体どうなるのかに関しては言わずもがなである。


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あと同日2曲目に放たれた『開花』。もちろんLIVEでは初聞きだったけどこれがまた素晴らしかった。ずぶ濡れでも泥まみれでも飽くなき夢へとひたすらに突き進もうと決意するこの歌詞世界は、正に2ヶ月後のホールワンマン成功を目指す彼女の姿そのものだった。

これも大袈裟でなく感動の鳥肌立たせて震えて聴いたものだ。


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4.『ハートレス人間』

自分の本当の気持ちとは裏腹に愛想笑いを浮かべてしまう、私はそんな空虚な「ハートレス人間」、そして私に立ちはだかる得体の知れぬ「怪物」の正体とは? 」

勝手に本曲を私なりにまとめてしまったが、そんな内省的な心情をこのポップスフィールドで綴ったこれまた珠玉の名曲である。後の「ABCホールアフタートーク」を聴きつつふと思い出したけど『ハートレス人間』辺りからそれまでの盛り上がりを更に助長するような物凄い盛り上がりが起こったのは驚きだった。或いは世界が滅びようがどうにでもなれ的なヤケクソ感にも似た覚醒感。正に「ライブマジック」と呼びこんだ曲だ。優利香楽曲の中でも、いやJpopのフィールドでも内省的な部門に入る本曲がなぜここまで起爆剤となったのは、ややトートロジカルな言い方になるがこの歌詞が「内省的」だからだろう。
誰もがこのコロナ禍において内なる【怪物】を意に反して育んでいたのを認知しているのだ。そしてその存在の正体も無意識に知っているからだ。そう「鏡の中の自分」。
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 正にこの曲に対するある種の共感と感情移入の表れからライブマジクを呼び込んだ曲であると断言して良い。


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そして本曲は、今回のABCライブがコロナ禍以降のライブ自体の光景へと流れを変えるきっかけになったとすれば本曲の貢献は計り知れないものとなるだろう。

 

5.『世界はロック』

本曲は何度も言っているが、非の打ち所の無い完璧なポップミュージックだと思う。メロディ、歌詞ともにストレートかつポジティブなのにこれほど心臓部ど真ん中に突き刺さるようなポップミュージックがあるのか、目から鱗のイノセントな感動を伝えてくれる超絶大名曲である。ワンコーラスサビでブチまけられたネガティブな感情はツーコーラスサビで全てが力強く払拭されポジティヴィティに導かれる瞬間に何度聞いても感動してしまう。


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ここまで私が感動する所在は何なのか。本曲に関してはタイトルにあるように「ロック」を定義することで詳細に述べていきたい。Weblio英和辞書によると本曲の意義に適合すると以下のよう3つの意義に分類される。*8

ロックの定義

①(lock)

(かぎ で開閉する)錠、錠前、輪止め、銃の発射装置

(交通などの)身動きもできない状態、

②rock(1))

岩,岩石; 岩盤,岩床,岩壁 

③(rock(2)
ロック音楽=rock 'n' roll.

この定義を本曲のワンコーラス目のサビに当てはめていく事にする。

恋の定義はロックと同じ 唱られやしない

君への思いはロックみたいに 感情に支配されている

この場合支配され、唱えられないがんじがらめの「ロック」という意味で上の定義上①のlockになる。

次は2コーラス目のロックを見ていこう。

僕の夢はロックと同じ ヤワなもんじゃない叶えたい思いがロックするんだ 前しか見えないくらいに

ここでは「ヤワなもんじゃなくロックする」という意味では正に岩の意味でのロック。スペルもLからRへと変わり、定義上②となるのだ。そしてクライマックスである。

僕の歌よロックみたいに 世界へ轟け...(略)...

つまり世界はロックンロール 毎日がロックンロール

歌おうぜ笑おうぜ 共に叶えようぜ

そして最後の「ロック」は正に我々音楽好きが最も馴染んでいるロックでありロックンロールとしてのRockであり定義上③であると同時に『世界はロック』というタイトルにおけるRockそのものであると断言できよう。このように一曲の中でも様々に感情の変化がタイトルの解釈にもあるようにネガティブに解釈されがちな「lock」から岩の如く強固な「rock」、そして「rockn'roll」におけるロックンロールへと導かれる様は正にポップミュージックの原点であり理想郷がそこにあるものと結論づけられよう。

 

Ⅲ.世界は優利香〜未来のJ-ポップシーンへの展望〜

第1章ではABCホールのライブについて語ったが、このライブの5日後、11月19日の19:00からcafe&bar LGTと言うところで「ABCワンマンライブアフターパーティー」なるものが昼と夜の二部にわたって開催された。私は夜の部のみの参加だったが「自分の夢を一つ達成した人とはこれほどまで晴れやかで自信に満ちた表情をしてるのか。」熱狂のABCワンマンをしっかりと観てるだけに彼女が出てきた瞬間真っ先にそれを思ったものだ。にしても彼女の一言一句から人柄の良さが滲み出るのはあのホールでも小さなバーでも変わらないが、正にこのライブには紛れもなくmusic historyに刻まれるべき何かがあったと思うから。*9

私がここまでこの優利香というSSWに楽曲の良さ以外で惹かれる理由はなんだろうかと考えた時にやはり所謂レコード会社に所属していないインディーズアーティストでありつつも「ライブハウスという狭い領域にとどまらずメインストリームへ行こう」と宣言して実行しようとするそのアティテュードに他ならない。てかここ最近、とりわけコロナ禍以降こういう上昇志向のマニフェストを掲げるアーティストってメジャー・マイナー問わず少ないように思えるのだ。それどころか、近年目立つのが規模縮小をコアにしたファンクラブ・メンバーシップを立ち上げコアなファンを中心に楽曲提供やイベントの開催などが非常に多い。そういう傾向を反映してメジャーレコード会社に所属しているアーティストでも独立したりするケースが目立つようになってきている。

 いや、確かにこういったアクションは音楽活動としての地盤を固める上で必要で堅実なやり方だと思う反面、ファンダムコミュニティの広がりという意味ではほぼ絶望的なのではないかと思うし、何よりも内へ内へと向かってもはや外の世界へと音楽を放つ事をしないアーティストのアティテュードに何の魅力も感じないのは私だけだろうか?その意味で優利香の今回のアクションはintrospective(内向的)志向にあるこの音楽シーンにおいて極めて貴重な存在である。そういうアティテュードは、先に検証した彼女の全ての楽曲群に共通するexternal (外向的)志向性がどこか大衆の心ど真ん中を射抜くポップネスという要素に反映されているのではないかと思うのだ。
そしてこの優利香のABCホールワンマン以降、数多くの若手SSWが影響力受けてそこを目指すようになるかもしれない。
というわけで私は正に【優利香以降】と呼称されるSSWシーンの到来を望んでいるのだ。そうなればもっと音楽界隈は活性化する。観客はデカいハコでゆったり聴きたいと思っていてライブハウスにはそれほど拘りはないのだ。コロナ禍を経て多くの音楽家が規模縮小を余儀なくされている状況で大きな目標を設定し成し遂げた優利香氏のソールドアウトは快挙だ。*10この勇気こそがアティテュード。ライブハウスという閉じられた空間からメインストリームへ。本当に私は音楽を、とりわけポップスというジャンルの音楽を聴いてきて彼女のようなアーティストを希求していたのかもしれない。

 ちなみに自分の支持媒体では未だ経験ないがミュージシャンが大ブレイクすると何があるかってこれをがその人の個性が遠のいてしまって一大プロジェクトと化すようだ。

そしてこれまで中核を成してきたコアなファンダム構造も一気に霞んで崩壊すると。それはある種残酷な光景だがそれをどこかで望んでる自分もいる。最近「Big successを望んでません。今後は細々とコアなファンダムコミュニティに依存して音楽やっていく方針です」みたいなミュージシャン増えたがそりゃリスナーに失礼だろと思ったりする。こちとらQOLを上げるためにエンタメを享受しているのだ。どデカいムーブメント起こして共に成長せねば意味がないとすら思う。しかしもう一つぶちまけて言うとどの音楽誌みても媚びへつらったようなレビューばっかな状況である。もはやオーディエンス一人一人がオピニオンリーダーとしての自覚を持たなきゃ音楽業界は完全に死んでしまうんじゃなかろうか。もっと傲慢かまそうか?たまに音楽界隈で「〇〇のファンを名乗るのもおこがましいですが...」とかいう謙虚な人いるが私は逆だな、もう真逆です。
ここまできたら暴論かまして言うと「ネノメタルさんに見つかった全てのアーティストたちは運がいい。」ぐらいに思ってる。粒は小さくても一人一人がもはやメディアだと思う。本論から外れてしまったが私は本当に音楽を守りたいし、ガンガン語っていきたいと思ってるのだ。

最後に伝説のバンド、あのビートルズのメンバーであるJohn Lennonの言葉で今回のABCワンマンを大成功で終えた優利香氏に、そしてバンドメンバーに、 そしてこの日のために尽力したスタッフの方々にピッタリな言葉がある。最後にジョンの言葉を送りたい。

A dream you dream alone is only a dream.

A dream you dream together is reality.

 

一人で見る夢は単なる夢だが、

皆で見る夢はそれが現実となる

John Lennon(1949-1980) 

そう、先のABCライブアフターイベントの時に優利香はこう言っていた。「今後はまだまだ大きい所、zeppツアーだとか、大阪城ホールフェスティバルホールなどで演奏したいんです。」と。このまま行け!!
行く末は
サンケイホールブリーゼだ!
Zeppワンマンツアーだ!
フェスティバルホールだ!
大阪城ホールだ!
もうこうなったら世界へ行ってしまえ!

『世界はロック』

「世界は優利香」だ!

まだまだ旅は始まったばかりである。そんな万感の想いを込めてまたもや一万字超えの13370字にも及んでしまった本記事を締めくくりたい。


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*1:昨日の優利香ワンマンの他方向からの視点ではベーシスト坂東茜氏(ばんちゃん)の佇まいがひたすら良かった。 どこかマイペースかつ淡々と飄々としてるようで時折めちゃくちゃエモーショナルに吹っ切れるようなあのベースプレイは只者ではない。 他のライブでもお目にかけると思うので今後とも注目しよう

*2:優利香のオフィシャルホームページ。

artist.aremond.net

*3:AmamiyaMaako(はるかりまあこ)の音楽について論じた過去記事はこちら。

nenometal.hatenablog.com

*4:これがその証拠、この現象が当日30分ほどのライブ中3回ほど起きるw

*5:

*6:岩井俊二監督 映画『打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか』予告編


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*7:自己の中の他者からの独白。 私の中の他人の声。 ふと演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』を思い出す

*8:こちらの英和辞書サイトを参照した。

ejje.weblio.jp

*9:バーカウンターの一番端から観たんだが、LIVE史上最短距離の演者真横だったんだけど優利香氏の横顔がめっちゃ綺麗だった。もう彫刻レベルでしたという私得情報 w

*10:しかし優利香さんやら、あと番匠谷紗衣さんとかもそうだろうし、昔のあいみょんやら全て女性SSWらは笑いもとりつつ客とのやりとりしっかりできる堂々としたLIVEやれてるのは路上で鍛えたからだろうな。しかも東京以上に何言い出すかわからん難波やら梅田やらの関西ってのがめちゃちゃ貢献してると思うな。