1. Overview of『GCM動画日記』Case3; 女の話
前回の記事では『GCM動画日記』の記事では、Case1「5人兄妹の話」に焦点を絞って、世間のリモート作品はコロナ禍を意識した設定が多い幾多のリモート作品と一線を画して、その種の空気を一切感じさせず純粋にストーリーに没頭できる点などを検証して来た。
Case1に関しては以下の記事を参照されたい。
ここで敢えて過去の二作品を定義付けすると、養護施設で育てられた5人の兄妹における血のつながりを超えた人間としての絆があるのか、というテーマの元、あくまで現実主義の枠組みを遵守したピュアなヒューマンドラマであったのに対して、次なる『Gahorn of the Dead』とも呼称されるCase2では敢えて前作にあったメタ構造を越えたアバンギャルドな実験作、と言ったところか。*1
そして、今回本記事に取り上げるこのCase3『女の話』は、Case1のベース上にあった現実性(リアリティ)とCase2に内在しているカオスティック要素の中間地点に位置付け、それらの両要素の所在を人間の深層心理に落とし込んだ極めて洗練性(ソフィティケイト)な境地にまでブラッシュアップされた(敢えてこそ言わせてもらうが)GCM動画日記では、いや全世界に配信しているリモート作品の中でも最高に洗練された傑作である、と定義づけたい。
その象徴としてCase3には、主としてCase1の中では5兄妹の長女でありつつも、かつてカルト宗教に騙されかけたり妹の環に説得されたり、30歳という年齢ながら未だにスナックのホステスという職業であるゆえに健介らにも心配されたりと、色々と話のネタの多かった清水麗が再び登場していたりする。(また、Case3の作品中時折Case1-2に出て来た登場人物名も出て来たり、最終回ではなんとCase1に出演していたあの人が....敢えてここでは言わぬ....ご覧になっていただければわかります...笑)
というわけで、この作品が存在することによってCase1-2などの過去の作品にも再び光が当てられることとなり、全Case1-3に渡って一貫したグルーヴがうねりを挙げてより、『GCM動画日記』という一つの世界観がより活性化してくるのを感じたものだ。*2
という訳で次の章では具体的にCase3の全7エピソードを検証していきたい。
2-1.『GCM動画日記』Case3;女の話 (前編)
#0;キャスト紹介
では、ここでは『GCM動画日記』Case3;『女の話』に出てくる7人の個性的な登場人物たちを紹介しよう。
狭山佳代子...33歳。この6人の中では最年長の主婦。「ジローラモ」なる料理が得意。
小保方愛民...32歳。最も新しい住民。「ラブミン」として動画を配信するYoutuber。
坂本梓...26歳。新人女子アナウンサーとして静岡から上京して来た。立花優と仲が良い。
清水麗...31歳。スナックで働き、婚活に勤しむあのCase1の長女。狭山佳代子とは亀裂あり?
立花優...28歳、ショップ店員。愛民の「ラブミンチャンネル」のファン。坂本梓とは仲が良い。
真田恭子...28歳、夜勤交代を断れない航空会社勤務の人。深野冷子のファン。住人の中では比較的普通かも!?
○○ ○○○○...Case1のいわゆるあのキーパーソンが、とある回でここでも再登場!!!!!
#1 6人の女たち
まずは最初見た時YouTubeにルージュか何かの化粧品広告でも入ったのかと思わず勘違いしてしまった程、お洒落なBGMだったのでこれが「GCM動画日記」なのかどうか、実際のナレーションがあるまでしばらく気づかなかった。世の多くのリモート作品は「これはリモートで撮影だ。」とか「コロナ禍を意識して作られた」というバイアス込みの視聴を余儀なくされるものだが、本作、というかこのシリーズはそういうものを全く意識せずに、自然に物語に入り込める点が素直に凄いと思う。
全Case1-3の中では、特に本作は洗練(ソフィティケイト)と定義できる要因はそういう所ににあるんだな。そしてそうしたYoutubeの広告性にさらに追い討ちをかけるように、いや、はぐらかすようにと言ったほうが順当か、「ラブミン」と名乗る小保方愛民によるコレまた初期のYoutube配信動画のような映像が飛び込んでくるこのギャップ。 そその後、ラブミンを含め、計6人の住民の日常生活がそれぞれクローズアップされ、これから幾度となく舌戦が繰り広げられるリモート定例集会に徐々に6つの四角のスロットにそれぞれの住民たちの顔が埋められるシーンが今後の展開への期待感を煽る。
「なんなんだ、この戦いの火蓋が切って落とされた感は!」
まさに波乱の幕開けにふさわしい嵐の前の静けさのような初回である。
.........と、ここまで見て何らリモート動画作品を見ているというバイアスは一切なし。
この日はキャスト達のカメラ目線がほとんど無いしね。もうzoom会議や飲み会にすっかり慣れてしまった日常に生きる我々にとってもすんなり見れる、遂にこの境地までリモート動画の可能性が更新されたのだな、と思ったものだ。
#2 ファーストセッション
最初にこの動画日記をクリックした際に、仮面舞踏会に出てくるようなペルソナ(仮面)の写真が最初に目に飛び込んでくるのにお気づきだろうか。恐らくこのペルソナは6人の住民たちのリモート集会に挑む時に無意識に準備する「心の中に潜むペルソナ」なのだろう。もうこれはあらかじめ、直接会って言葉を交わす事はなくても心が通じ合ったあのCase1の5人兄妹の話とは裏腹に、ここは互いの本音を隠しつつもオープニングの写真にあるような「ペルソナの如き虚辞のような言葉のバトル」が繰り広げられる同じマンションの定例集会に挑む彼女らの戦いの場である事を暗示している。
こういう所にCase3の醍醐味があるのだと思う。
にしても、今回のメインイベントとなっているあの清水麗と狭山佳代子のあの舌戦も「定例」となっているのだろうかと思ったりして。*3
ちなみにこの日は正午12:00にCase1#1、午後18:00辺りにCase3#2が同時に公開されたものだ。私個人としてはCase1-3を全て観て、全てその日のうちにガチな感想ツイートを更新してきた「ガチGCM勢」として、敢えて偽りなき感想を述べるが、今日のCase3 #1-2 の流れが今まで史上最もドキドキ感があって面白かった。
でもこの感覚は「動画作品の枠を超え、次なる展開を希求するレベル」といった意味でリモート動画のハードルが上がっていることの証で、下北沢の「小」劇場やB1辺りの劇場にて公演がなされている彼らの舞台を実際に観に行くような感覚で臨んだものだ。
#3 4つの伏線
前回の、あの戦場のようなマンション住人集会から解放され、各々の日常生活にフォーカスが当てられた第3回目。当然のことながら事は穏やかではなかった。
この日、堰を切ったように、
❷Youtubeサイトに晒された住所。
❸家庭内に入りかけた亀裂。
❹上の階の騒音。
......などなど、一気に伏線がばら撒かれることになる。
ちなみにこの日、遅まきながらも「チャンネル登録もありまーす!」あ、そうか!と、今回初めて小保方愛民のあの苗字の理由が分かりました(おそっw)。小保方の 「"なぐり"でぇーす!」と「これで人を◯◯せます☠️」の唐突さと、新人アナウンサー、坂本梓のカミカミっぷりに爆笑するなどコメディ要素も盛り込まれているのが、シリアスとコメディとの各要素がバランスよく配合されているのはCase3ならでは。
でも、今考えてみるとこの金具である「殴り」も実は立派な伏線として機能することがわかる。そして、最初の立花の独り言とラストの騒音と❶に共通して感じる伏線的な何か... 全体的に俯瞰で見るとこの#3自体が、来るべき最終回への大きな伏線となっていることが分かる。最後に❹の騒音問題、に関しては、前回の集会の議題にもあげられたものの、初回から示唆されていたある事象がベールを脱ぎ出しそうなある瞬間に出会すものの依然正体がわからないままに物語はフェイドアウトする。
ある種この#3は、Case3の、あの最終回を導く醍醐味がいかんなく発揮されたキーとなるエピソード、と結論づけられるかもしれない。
#4 ダムは決壊した
「あの....良いですか?」それはいつになくかなり青ざめた顔のラブミンの告発からこのリモート集会が幕を開けた。そう、#3の時に挙げられた4つの伏線のうちの❶、❷、❹が取り上げらられたのだ。
❷Youtubeサイトに晒された住所。
❹上の階で鳴り止まぬ騒音。
文字並べるだけでもこの羅列は凄い。これ、マンションの住民会議の議題というよりもちょっとした民事裁判かなんかの判例ではないかと思われるほど。
そんなことを思ってるうちに、堰を切ったようにブチ切れモードの彼女の勢いに押されて被せて真田恭子が告白するのに見ているこっちは不意打ちをくらう。更に、それを皮切りにまたまた前回のあの舌戦がまるで前哨戦かと思わせるようなさらに激しい「狭山佳代子vs清水麗」第2回戦が勃発する。壮絶。圧倒。絶句。
これは会議というより戦いだ。しかも前回より凄まじくもタチが悪い毒舌悪口誹謗中傷合戦のような。もはや、人間の醜悪な部分が更に浮き彫りにされる今回はこの住人達の理性を堰き止めるダムの堰き止めが、完全に決壊した凄まじい光景だった。
でもよくよく最終回まで全体を目撃してしまった今となっては、とある人物の発言や仕草が微妙に引っかかってくる。これはあくまで予測だが、この動画ドラマ自体は即興芝居がベースになっているということだが、全体の指揮者である朝川優氏の頭の中でこのCase3の結末の着想というか、「この人物がキーパーソンだ。」という結論が、この時点か、或いは以前からかもうはっきり見定めていたのではなかろうかと妄想したりする。
そして、そして、上記で掲げた伏線❶〜❹を更に覆い包むようなとある事件が勃発する!!!
一体どうなる??
そんな我々の謎をはぐらかすかのように動画配信の更新が、約2週間もの間沈黙を保つことになる。*4
2-2.『GCM動画日記』Case3;女の話 (後編)
#5 カメラを止めろ!
という事で、2週間ものインターバルを経ての久しぶりのCase3の #5に入った。
おおっ、清水麗が電話で話している相手が、あのCase1に出てきた最もサスペンスチックな展開に苛まれた2つ下の妹、前田早苗ではないか。しかもあのポッキーゲーム未遂男である穂坂さえずり、の名も聞こえ、懐かしさというか、GCM動画日記全体を振り返るかのような気分にさせられたものだ。
それにしても狭山佳代子が冒頭で食べている料理の名前が【ジローラモ】!
これどう考えてもブラジル料理なんだろうが、こういう名の料理が世の中に存在してる事自体初めて知ったものだった(笑)。
それにしてもこの2週間というインターバルは前回までのあの火花散るリモート集会以後の登場人物達の心情を、比較的穏やかな方向へとシフトさせる意味でも、偶然にもリアルな時間間隔となったような気がする。
それにしても、だ。今回のハイライト、とはいえ全て見た今では【坂本梓と立花優との電話の会話のコンテクストの奥深さ】は今考えるとゾッとする。
そしてそして、小保方愛民が、清水麗が、真田恭子が、部屋の中でのある異変に気づいていく。そして騒音問題と双璧をなすように示唆されてきた、2週間我々が疑問に思っていたあの事件、そうハッキリ言ってしまえば全マンションの住民に「隠しカメラ」が仕掛けられているのではないかという波紋が更に広がっていく!!!
さて、真実を、犯人を追求するべく、次なる舞台となる3回目のリモート集会の準備が刻々となされていく。
もう次のリモート集会が怖い...w、多分これが最後の集会だろう。
#6 ファイナルセッション
坂本梓の呼びかけによって緊急に開かれた3回目のリモート集会。
もうコレは毎度のことながら、集会の体をなすというより毎回ながらも"戦場"さながらの緊迫感も健在だ。
で、少し物語のコンテンツから客観的な視点から論じるが、この時の狭山佳代子の「演技をしているフリ」なのか、「演技」ではないマジモンの演技なのか、そして周りがそれを演技だと思い込んでいる演技(←【演技】ばっかりで分かりづらいだろうが、こうとしか書きようがないのだ。見れば分かるよ。)がリアルすぎてそのキャスト達の役者としての演技の巧さにほんと舌を巻いてしまった。
ほんとここ壮絶にすごいので、リピートして観る価値のあるディープな演技だと素人ながら感心する。
そして今回のこのダイナマイトに更にニトログリセリンを打ち込むかのような展開に至る地獄絵図への最大に引き金を引いたのは、度々以前から時折、狭山佳代子から不自然な牽制球を浴びていたこのマンション住民の中では比較的大人しめだと思い込んでいた立花優、その人による、謎の突然の宣戦布告宣言である。
いや、もうこれが私の頭の中では大人しく、少し影があってナイーブな人というイメージがあったものの、意外や意外すぎてもはやテロレベルの衝撃だった。
そこで投下される爆弾は、我々はおろか狭山と立花以外ではかじめて明かされるストーリーの数々の衝撃。
そこで度々名前となんとなく影として出て来た「たっくん」の正体を知る!!!
分かった。もう誰が殺されてもおかしくはない。全員が拳銃を片手の銃撃戦状態である!!!
まぁ、一人だけ違う武器(「殴り」)を持ってるんだけど(笑)、これであと一回で最終回!?
いったいどう結末を迎えるのか?
#7 そして女たちは...
最終回。
そう思いながら観進めて行くとCase1, Case2のそれぞれのキーパーソンである穂坂さえずり、深野玲子という過去のエピソードで登場した名前が聞こえ少し懐かしい気持ちになる。
その意味ではこのCase3の最終話は『GCM動画日記』の話全体の集大成なステイタスがあるのかもしれない。
.....とはいえ、明らかにCase1で最終回を迎えるあの晴れやかな気分とは明らかに異なっている。異質なまでに違う。というのは昨日のリモート集会のいや〜な残響音がこの回でも未だ響いているからだ。
そう、#6の会議は続いているのだ。徐々に「隠しカメラ」の正体が明らかになっていくにつれて、ホッとする住民達の表情と逆に、益々覆いかぶさっていくある人物の発言の真意。
まだまだ銃撃戦は終わらないのに、これってどうやって決着がつくのだろうか。
その決着の付け方に関して具体的なアンサーは断定せずに、あえて演出の部分から検証したい。この最終回のオチは前の#6にサブリミナル効果として予め表現されているそうだが、これは恐らくこの6人のリモート集会のカメラの並び方にあるのかもしれない点を指摘したい。
それを検証するべく、過去3回ほど行われたリモート集会の6人の"並び"に注目してみよう。
❶ファーストセッション
❷セカンドセッション
❸ファイナルセッション
ここで過去3回にわたるリモート集会を羅列して来たが、狭山佳代子が左端にいる以外はほぼ全体的に誰がどこって感じで統一感は無いように思えるが、なんとなく気になるのが真ん中の列で小保方愛民が上、立花優が下ってのが最初の2回のセッションだったのが、ファイナルでは逆になっている。しかも小保方の手にはあの「殴り」なる金具を不自然にもずっと構えるかのように持っている点である。本当にコレは答えが公開されていないのであくまで予測であるが、小保方のこの所作が「こいつが一番やばいやつ」「この人実は真っ黒です」というのを暗示しているのでは無いだろうかと思ったのだが、実際の所はどうだろうか。そう考えると、最初見た時この最終回は、こういう結末を導く過程としては唐突すぎたかなと正直思ったものだが、あと一回ほどリモート集会戦が欲しかった気もしたものだがこのサブリミナルな暗示が事実だとするとすんなり納得できるんだな。でもまぁ「リモート集会がもっとみたい。」と思えるほどに6人の女達のそれぞれのキャラクターをもっと堪能したかった、ってのが本音なんですけどね💄。
#8~3つのスピンオフ
さて、ここでCase3は、他のCase1-2以上に様々な形でスピンオフ作品を生んできた、という意味でもシリーズ中集大成的なニュアンスをも持つ作品だといえよう。
ここではその3つのスピンオフ作品を紹介していきたい。
❶愛♡民チャンネル
まずはマンション住民の中でも最も異彩を放つキャラクターを持つ小保方愛民(ラブミン)の『愛♡民チャンネル』である。最終回のリモート会議でも触れていた通り、「一人わんこソーメン」とその間に祭りの花火のように挿入されるコーラにメントスの模様である。
あ、コレはライブ配信ではありません(笑)
❷シゲル・ミツヲのパンプティングTV
次に、以下二つは生放送シリーズとして実際にライブ中継として配信された。まずはアナウンサーである坂本梓が担当している番組『シゲル・ミツオのパンプティングTV』というテレビ番組の模様である。ハリウッドからの生中継というスタイルでアナウンサー役の朝川優と福永理未、そしてCase2に登場した吉田彩花が深野玲子の役で再登場している。*6
❸婚活サイト 縁結ビンビン物語 利用者満足度業界No.1
そして極め付けはコレ。清水麗が婚活サイトで奮闘するのだが、スピンオフの名に劣らぬリモート集会さながらの心理的な駆け引きは極めてスリリングだった。あとCase1を全通して来たフリークスとしては、麗が婚活条件にはシビアで、働いているスナックを「カフェ」と表現するなど(笑)、あらゆる点を誤魔化してたりするのだが【5兄妹の長女】とプロフィールにしてた点は、少し感動した。
3. Case3「女の話」と音楽とのリンキング
さて、今回のGCM動画日記 Case3にはいわゆるCase1の時みたいな『東京スカイツリー』に匹敵するいわゆる歌物の「主題歌」というものが存在しない。だが、全7エピソード見るにつけ何と無く個人的にドンピシャ過ぎて戦慄している曲が2 曲ほど存在するのでそれを紹介していきたい。一曲目はPrimal Screamの『Swastika Eyes』、もう一曲はハルカトミユキ『近眼のゾンビ』である。
【リンク1】〜『Swastika Eyes』(by. Primal Scream)
私は本記事でリモート集会を「銃撃戦」というふうになぞらえたのだが銃撃戦なる言葉にはどこか思い当たる節があったんだけど、このGCM動画日記Case3の最後にかかるあのインストのテーマ曲ってどことなく、イギリスのオルタナティブロックバンドの代表格、Primal Scream*8の『Swastika Eyes』と曲の感じがすごく似てないですか?
いや、これが曲調だけではないのだ。
本曲のMVのストーリーを説明すると、女性に餓えた兵士たちが月に一度(かどうかは知らぬが)のお楽しみな【セクシーな美女達の花道狂乱ダンスショー】っていうイベントがあって、そこから次々と出てくる白、紫、赤とカラフルな格好をした主にSっけのある主に女王様タイプなどの美女が現れる中、最後の最後になってテンション絶頂に達した彼らのもとに現れたのが、それが何とガタイのでかい派手なメイクをした女装男。
満を辞してその男は最後に持っていたライフル銃をぶっ放してその場にいる全兵士を血祭りにあげるという悲劇の結末が待ち構えているのだが、この結論は、どうにも「女たちの銃撃戦」として擬えてきた私としてはこのCase3『女の話』とオーバーラップしてしまうのだ。
思い起こせば最終回の直前、ある一人の男のような女性によるテロ行為さながらの銃口からぶっ放されるような結末が導かれるんじゃなかろうか、と予測していたのだが、今思えばなんとなくその予測は外れていないように思えるのだ。
まぁ、最後に銃をぶっ放すのが小保方愛民さんだったらより正解に近い形になるんでしょうけどね...笑
【リンク2】〜『近眼のゾンビ』(by. ハルカトミユキ)
そしてそして次のリンクは、女性二人組のオルタナティブ・ロックバンド、ハルカトミユキの『近眼のゾンビ』*10という曲である。
ではこのハルカトミユキの曲中ファンの間でも人気の高い、本曲のリリックビデオなるものが存在するので、本曲の歌詞を見ながら曲を聴いてみましょうか。
ハイ、歌詞をご覧になりながらお聴きいただけましたでしょうか?
Case3『女の話』を全7エピソードご覧になった方はもうお分かりですね。
本曲の中でまさにこれ以上ないってくらい登場人物や物語の趣旨に偶然ながらもドンピシャにシンクロしてますよね。
それでは以下で、合計6つのフレーズを抜き出して検証してみることにする。
❶【他人の部屋の中 土足で上がり込んで 勝手に掃除している 手垢だらけの言葉 土産に】
→他人の部屋の中....これってまさにリモート会議での議題に挙げられていた盗撮カメラ問題をドンピシャで射程距離内に納めているではないか。まさにここでの6人がそれぞれペルソナを装ったかのような虚辞のような手垢だらけの言葉を用いながらも、他人の胸の内のうちを探るこのフレーズは本当テーマ曲のようなシンクロっぷり。
まさにこのマンション住民の、そして表には出てこないが、マンションの管理人の心理描写そのもの、と断定して良いかもしれない。
❷【匿名程度の才能で 毒にもならない名言 滲み出してる
不幸願望】
→Youtubeチャンネルを開設している小保方愛民の才能は、わんこソーメン、殴りなど、など様々な企画をして、「私のお墓の前で泣かないでください」「ありまーす」など、毒にもならない名言を繰り返し、一定数の匿名希望のファンを獲得している。その一方で、赤の他人に住所をバラされてしまったりどう見ても怪しいあの老人の小人の人形を「可愛い」と定義してしまったり、「殴り」も「ソーメン」も立花優に素っ気なくも断られた後、少ししょげてしまう姿にどうしても根はマジメで、恐らくナイーブな側面を持ち合わせているのだろう、真田恭子の苦情にも従順に対応したしね。
まさに不幸願望有り余るラブミンの様相を言い当てていると思う。
❸【ゾッとしちゃうほど正論で親切ずらしたジェラシー
脱力気取り 見えすいた煩悩】
→これはファーストセッションの時に直感的に思ったのだがドンピシャなまでに清水麗のテーマである。
時にリモート集会では全体を仕切るコメントを出しつつも、時に狭山佳代子に正論をかざしつつも牽制球を投げたファーストセッション、そしてやはり気の強そうな狭山佳代子の反撃してくる様子を見て、当然のように脱力を気取る下りがあるがセカンドセッションにあるがここの歌詞の「ゾッとしちゃうほど正論」と「脱力気取り」 まさにそれを言い当てている。
しかも、時折、婚活に励む余り「スナック→カフェ」と言い換えてしまう様子も最後のフレーズ「見えすいた煩悩」にほんとすっきりとトレースできるのだが。
❹【巧みにすり替える、好きと嫌いと善悪
反論する気も失せて サジを投げ出す時を狙う】
→そしてさらにこちらは、❸を受けての狭山佳代子のテーマにしか思えない。よくこの人は、ファーストセッション時に清水とのやりとりを皮切りに、色んな疑惑をかけられがちな運命にあるのだが、それを否定するたびに「一体そんなことやって何のメリットがあるんですか?」と反論して来たものだ。この辺の論理のすり替えは本当巧みだ。あと【「好きと嫌い」は善悪では測れない】この下りは「たっくん事件」の本質を射当てているようで本当にドンピシャすぎるのだが。
❺【ショートしちゃってる愛憎でこんがらがっているイノセンス 不思議な正義感】
→まさにこれある意味今回Case3;女の話における「影の主役」とも称されよう立花優のテーマそのもの。大マジで前半4回目、いやギリギリ5回目のと中辺りまで我々はすっかりこの人をイノセントなと人と誤解してしまっていたから。何せ、あの吸い込まれるような瞳の奥底まで読み取れなかった私は最終話でどん底に突き落とされるのは必然で、ある意味彼女には迷いなき愛憎があったからこそであろう。
→さらにここの件は特にセカンドセッションとなるリモート集会で感じたのだが、6人の女達はどこかこの集会を心底嫌っていない、いや、ちょっと覗き見したいという深層心理があるからこそ欠席する事なく参加してしまうのではないだろうか。普通身内の不幸だ、残業だ、急用ができて、など色々事情いっときゃあ参加せずに済むはずである。多分欠席っしている他の住民などそういってるはず。清水麗と狭山佳代子との対決二回戦しかり、あと狭山と立花優との修羅場対決の模様など他のメンバーは多分内心ゾクゾク、ワクワクしながら見守っているような気がしてならないのだ。
だって、世の中には「裁判傍聴マニア」なるものが存在するぐらいだからね。「誰かが死ぬまで裁判ごっこ」これはこのマンションのリモート集会における、清水麗、狭山佳代子、坂本梓、真田恭子、立花優 ら、近眼のゾンビ達、いやもとい6人の女達に与えられた「影の議題」とも捉えてもいいドンピシャフレーズなのだ。
3. エンターテイメントの未来へ...
さて、これまで論じて来たGCM動画日記#Case3が最終回を迎えた辺りぐらうだろうか。ようやく自粛が解除の趣を見せ、街ではそろそろ出かけていく人の数も増え、色んなところで「LIVE」や「演劇」が蘇生する息吹の予感がするのを徐々に感じる。それにしても、ここまでよく耐えたものだ。このコロナ禍で絶望の淵に追いやられた我々をエンターテイメントの力で救い出そうとした彼らへ最大のリスペクトを込めてお礼が言いたい。
そしてお礼、と言えばこの今こうしてまたもや13400文字を超えてしまった本ブログ記事を書くことも含まれるのだが、もう一つGahornz Creationを主催している朝川優氏が呼びかけているある意味大事な企画がある。そう、このコロナ禍において無償でエンターテイメントを届けてくれた『GCM動画日記』に関連する役者達にギャラを、といういうか切迫したニュアンスではなく、打ち上げなどで「美味しいご飯を食べさせたい」と言ったニュアンスで立ち上げられたクラウドファンディング企画である。
微力ながら私も支援させてもらったが、望ましくは直接彼らにお礼が言いたいなというのが本音でもある。このままコロナが夏までには終息するのかどうかはかなり疑問な面はあるが、もしそうなれば、私は間違いなく8月辺りは東京に行きたいと願っている。この時期はここ何年かは、渋谷や下北沢で開かれる音楽ライブ、池袋で行われるインディーズ映画関連ののイベントなど、色んなきっかけがあるだろうが、今回はもう「GCM動画日記実写ライブ」なるものが開催されれば、もうこれだけのためにでも時間があれば上京することだろう。何よりもこのGCM動画日記関連の人たちが出演している、何かライブや演劇などがあればきっとそこに向かうことだろう。
そう、そこにエンターテイメントがある限り...
GCM動画日記 Case3:女の話~全関連キャスト(50音順)
本編
井上ほたてひも (as 小保方愛民,穂坂さえずり)
佐河ゆい (as 清水麗)
南貴子 (as 狭山佳代子)
廣瀬響乃 (as 坂本梓)
平間絵里香 (as 真田恭子)
堀有里 (as 立花優)
スピンオフ編
朝川優(as 伊東茂)
オオダイラ隆生(as 戸田夏生)
吉田彩花(as 深野冷子)
福永理未(as アナ・レポーター)
向井康起(as Sany大塚)
皆様、ありがとうございます!!!!!
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To Be Continued...
*1:にしても、奇しくもこのブログ記事はゾンビの名の付く曲の検証で終わったがまだまだCase2のブログ記事も書かねばなるまい。🧟♀️
*2:何と無くこうなるだろうなという予感がしたのはCase2ラストのラストで環が登場し『Gahorn of the Dead』のDVDを返却しに行こうっていう場面があったから。次なるCase3ではこれまでの1-2とを統合化する流れが生まれるような気が何と無くしてたのだ。
*3:ちなみにリモート集会で、他の住人は割と日によってカメラの映り方のアングルが微妙に違ってたりするんだけど、真田恭子のアングルはいつも同じで安定してるのが個人的にとてもツボである。この事をご本人にtwitterでお伝えしたら適当な机がなかったからとの事。にしても謎の安定感がありましたよね笑
*4:ここは特に意図的に伸ばしたというのでは無さそう。
*5:この穂坂さえずり氏の存在は我々視聴者にとってストーリーテリング的な重要な役で、毎回息を飲むように探偵報告を聞いたものだった。てか、全Case出てて、全て濃いキャラクターな井上ほたてひもさんのキャラクターのバリエーションは恐れいる。愛民と共演してるのに同じ人感が一切ないのが凄い。
*6:この吉田彩花さん演じる深野玲子のキャラクター設定はガレージ歌謡バンド、キノコホテルのボーカルであるマリアンヌ東雲に非常に類似している。後に本人にお聞きしたところその意図はなかったということだが、「似てる」と言っていたw
*7:あと個人的に凄く疑問なんですけど最初のオープニング映像後にスッと出てくるこの女性
は誰だ?何と無く6人のキャストとは顔が違うし、Showroomやら、インスタライブでよく見ることが多いので似てると思った吉田彩花さんにTwitterで質問したが、違うそうだ笑
*8:
*9:あの曲自体Swastika Eyes(かぎ十字の目)と訳される通り、ナチを意識した政治的のものであり、また辛辣だ。 ちなみにこれ以前の作品でPrimal Screamは政治色出したものだがこの辺りは脇に置いておく
*10:
*11:ちなみに、本曲の収録している『溜息の断面図』というアルバムは2017年にリリースされたアルバムの中でも大名盤である。以下はアマゾンに死ぬほど長いレビュー書いたのを書き起こしたものである。