本著は「一杯100円の芋焼酎のお湯割りを出してくれる、とある古本屋台」を舞台に、そこで切り盛りする謎の親父店主とそこに通う常連客達とのホンワカしたやり取りである。
....とまあこのように文字に起こしてみても、過去に映像化されたゲキ渋の人気漫画「深夜食堂」、さらにこの本の著者の一人である久住昌之氏の代表作といっても過言ではないあの「孤独のグルメ」をもはるかに凌駕するような、「超」が5つつくぐらいつくような激シブな設定である。
あの「孤独のグルメ」(ドラマ・原作漫画両方含めて)がどちらかといえば、主に、関東圏を中心として和・洋・中・その他と様々な美味いものを食す井之頭五郎の孤独かつ好奇心あふれるグルメ紀行を通じて、その街の活気や人情をどこかフワッと映し出してくれるのに対して、この作品におけるこの謎なぶっきらぼうな屋台の親父さんは時に、やたら写真を撮りたがるインスタ映え好きの女子、紙媒体の温かみからは程遠い昨今の電子書籍などの端末、妙に細かい所に固執するメンヘラ気味の若者をバッサリ断罪することもあり、そこから垣間見えるある種の『キレ味』を隠し持っていて、それによって我々が忘れていた大切な何かをフワッと想起させてくれるのが大きな違いと言うべきか。
で、その基本思想の根底にあるのは「煙草をふかして酒でも少し飲んであとは寝転がって好きな本を読んで眠っちまえりゃあとはナンもいらんよ。」という親父さんならではの人生観そのものである。
ホント電子書籍派の私でも今回はそれだけは猛反対するぐらいの、手元に置きたい一冊だよなあ、とか思ってたらアレよアレよと言う間に第2刷そして8/14(火)の久住氏ご本人のツイートによればなんと第3刷が決定したという、、、そうか、誰もがこの古本屋台の常連になりたいと思っているのだろう。
「古本屋台」増刷が決まったそうです
— 久住昌之 (@qusumi) 2018年4月9日
我々日本人が忘れてしまった何かを取り戻すために。
なんと来るべきドラマ化より先にもうpvと言うものが既に存在しているのだ!
で、こちらが彼が率いるThe Screentonesのライブバージョン!
『ほろ酔い漫画夜話』#ラズウェル細木#久住昌之#スズキナオ
— ネノメタル𒅒Ahead Of the TRUTH (@AnatomyOfNMT) 2019年5月17日
とその名を見ただけでも酒飲み・グルメ漫画のフェスのようなトークを締めくくったのはこの曲だった。
スクリーントーンズライブではもはやレパートリーになりつつある屈指の名曲「古本屋台」カラオケver.
令和に響け!#LoftPlusOneWest pic.twitter.com/9T6JYNa9SD
久住昌之presents Qusdamashライブ@烏山Tuboから一週間か!#古本屋台 はご本人も仰ってたがタイトル通り古本を売るある屋台のオヤジと常連さんとのやり取りを綴った激シブ漫画と同タイトルの主題歌だ。ドラマ化を望む余り本人自ら作り、熱唱、熱演した珠玉の一曲!
— ネノメタル𒅒Ahead Of the TRUTH (@AnatomyOfNMT) 2019年8月29日
もう久住さん主演でどうだろうか? pic.twitter.com/EsfUC1QbLl
「古本屋台」という【古本を屋台で売り、芋焼酎を100円で客に出す親父が主人公】という文字化しただけでも超劇渋漫画を久住さんは出版しておられるのだがその書き下ろし曲「古本屋台のテーマ」のまあシブい事w
— ネノメタル𒅒Ahead Of the TRUTH (@AnatomyOfNMT) 2018年10月9日
又「孤独のグルメ」スタッフは今も何処かで店を探しているという嬉しい情報も披露された。 pic.twitter.com/XWq04Ii3U8
ありがとうございます。盤面は一枚一枚心を込めてボクが書きました https://t.co/AdbCF7ihMt
— 久住昌之 (@qusumi) 2019年1月15日
この久住昌之氏とその弟である久住卓也氏の共著(そのユニット名はQ.B.B.)であるこの主題歌の原作本である『古本屋台』。これがまた本動画の音源を聴きながら読むと気分はもはやこの屋台の常連客である(爆)。
— ネノメタル𒅒Ahead Of the TRUTH (@AnatomyOfNMT) 2018年10月11日
それにしてもこの著書へのアマゾンのレビューの熱いこと熱いことwhttps://t.co/SnaF7MtjEM pic.twitter.com/icSZZFqE2a
久住昌之さんが2019年の4月に行われたトークショーでこういう名言を残している。この言葉で本レビューを締めくくろう。
最近食べログ等で【お客様は神様】トーンで偉そうに評価する奴がいるがそう思うなら行かなきゃ良い。
店はそれぞれが独立国家なのだ。
だからある程度その国のルールに従い自分に合う、合わない店を判断せよ。失敗を重ねてこそ自分にとっての【故郷(くに)】が見つかる」
そうだ「お客様は神様だ。」という考えは客商売する人たちの間では長い間息づいていて、それは完全に否定されるべきではない、という意見は間違いないとは思う。
だが、忘れてはならないのは「お店にも神様はいる。」という確固とした事実である。