0.憧れのシネマ・ロサ
もう言うまでもなく連日、個人的に大絶賛して最近では音楽方面のフォロワー各位からも遠ざかっている感のあるここ最近のワタクシの『スペアク』ブームである。もはや音楽アカ含め、そのツイート内容の99%以上は『スペアク』関連、いいね、RTもほぼほぼそっち関連という今日この頃。
そしてやはりこれも連日のように発表されるシネマ・ロサでのイベント情報や、出演者が待ってるだの怒濤のお見送り情報に、最近は嫉妬と羨望と焦燥感とがないまぜになったような気持ち。何と、あろうことか、チクチクと胸が痛んだりするのだ(笑)、もうこれって恋である、何に恋してるのだ?? 多分シネマ・ロサに恋してるのだろう。
.......ああ、シネマ・ロサよ、あのスペアクの赤ステッカー貼ってあるドアの入り口はどこにあるの?あの出演者達から囲まれてあのムスビル本部的なとこは一体どこだ?
で、ガゼウスポッドは先々週は大阪に出張してて偶然お目にかけたんだけど、ロサでは一段と素晴らしく見えるんだろうね、ってあれ爆発したんじゃなかったっけ??などなど、もう考えれば考えれるほど、握り拳に爪が刺さり手の中で血が滲んでしまうほどの狂おしさなのである!!!*1
ひょっとして唐突だが、多分これは遠距離恋愛(経験ないんだけど笑)の狂おしさに近いのかな、とか思ったりしてね(爆)?
今すぐに会えないからこそ思いが募り、いつか行かねば、できれば年内、いや11月以内にでも赴き、出演者の中でもまだお会いしていないorしたい方々に「いや〜お忙しい中、いいね、RTなど有難うございます!ワタクシ、twitterで結構クドイ文体でツイートしておりますネノメタル でございます!」とTwitterアイコンを名刺のようにお見せしたいものだ。
にしても、それ見て認知されてるだろうかね、ここじゃ言わんが、あの人とあの人とあの人くらいは「あっ!あなたでしたか?」と認知して頂いてる謎の自信があるんだけどね、、、w
1.大阪でイベントですと!??
まあ、それはさておき、この日前の週の水曜日ぐらいだったと思うが、上田慎一郎監督のツイートで「大阪の方是非!」とコメント付きでこんなイベントの情報を目にしたのだ!
......『恋する小説家』。確かにこの作品には色々と思い当たる節はあった。
本作品は昨年か今年頭に予告編か何かでチラッと見たことあって『カメラを止めるな!』にてヒロインで出演していた秋山ゆずきさんが、当時女子高校時代にまさに高校生役で出演していたことからも何と無くこの写真は認識してたし、更に『スペシャルアクターズ』でも登場人物たちが映画を観覧してわざとらしくサクラ役として笑うシーンで、そのスクリーンでこの作品がチラッと写っていたという記憶もあったからこの「恋する小説家」には少なからず関心があったのだ。
ということでこの作品は未見だし、その日は日曜日だし、ってことで行ってみることにしましたとさ٩( 'ω' )
...ちなみにワイルドバンチってとこは初めて行ったが、入り口から企画情報やこれまでの映画のチラシが一面に飾られていたほんと素晴らしい映画好きのオアシス的な所であった。
入り口で『スペシャルアクターズ』ポスターが結構デカデカと飾られてたのが印象的で、内部も映画、音楽、小説を中心とした古本やパンフレットなどが沢山売られてて、それを読みながら昼はカフェ、夜はバーなどで飲食できるのだ。とはいえ、雑然としたぎゅうぎゅう詰めの状態にしてるんじゃなくて椅子なども結構あって気軽にお茶やアルコールなどもサラッと飲見ながら読書などができる環境で、映画や読者好きには時を忘れるようなうってつけの空間なのだ。
全体的に中でかかっているBGMも結構バラバラで『誰もがアクター』も殊更に今日のイベントに合わせてわざとらしくかけてってんじゃなくて自然に『スワロウテイル』主題歌あたりと共存して、かかっていたのもすごく印象的だった*3 あと物販に上田慎一郎監督書籍・DVDコーナーみたいになってて、各プレス誌に送ったであろう彼の『スペシャルアクターズ』の紹介文などの非売品の数々もファイルされてたし、上田慎一郎監督の作品がこのカフェ兼バーのワイルドバンチにて自然と共存してる感じがとても良かった。*4
まぁ、上映までに1時間以上時間もあるし、ビールも一杯飲んで、我がテンションはかなり上がって『花とアリス』のリーフレット的なやつ(多分非売品)とジャズの名盤紹介本とそれと『ドーナツの穴の向こう側』(上田監督の印鑑とサイン入り)をまだ購入していなかったのでそちらも購入。その時には帰り際にさらに勢い余ってDVD『上田慎一郎ショートムービーコレクション』を購入する事になろうとは予測だにしていなかった(当たり前じゃw)
2.そして上映は始まる
で、今回初めて観た『恋する小説家』
荒筋はざっとこんな感じである。
恋人にも愛想尽かされつつある売れないミステリー小説家の岩佐辰夫が、設定やアイディアに煮詰まっていたそんなある日、インターフォンがしつこく鳴る。仕方なしにそのドアを開けると見知らぬ女子高生の姿が....彼女の名は南川奈緒。
それはなんと、彼が現在執筆中の主人公と同姓同名だった!
そんなことがあって以来、他の小説の個性的な登場人物も次々にやって来て、誰もが口々に小説内容へのダメ出しを始める...
というストーリーで、どうにも、この突如として主人公の目の前に現れた夢か現実か分からないこの仮想世界(Virtual World)のような世界で、そんな世界に対峙することを余儀なくさせられる彼の姿は 『スペシャルアクターズ』 大野和人とどうにもシンクロするのだが。その辺の細かい分析はまたいずれ考察してみたいな。
そんなことを思いながらも、映画も無事上映が終了し、明かりもついた後、本作品中で血まみれのシャツを着た(写真左)被害者・根本さん役を演じた岡本裕輝さんが登場した。
3. 被害者・根本明は語る
そう、彼はあの映画のままの【被害者、根本明】の姿でやって来た!
話聞けば、撮影時のではなく、舞台挨拶専用らしき血まみれシャツで、しかも裏返ったあの声の調子で喋り出した時、会場ではどよめきにも似た笑いが起こる。おお、彼はこのままのトーンでしゃべり続けるられるのだろうか、と心配をしていたらそれは、本人的にも「喋りづらい」というごくごくシンプルな理由で(当たり前かw)、普通のトーンで喋りだすと、実際は腰の丁寧な穏やかな紳士という雰囲気の方だった。「僕は喋りがあまり得意じゃないのでこう言うものを用意させていただきます。」と、この日のために用意したであろうスケッチブックをおもむろに取り出して、「撮影中止事件」と「ゆずゆずドキッ!?事件」という主に二つのエピソードを語り始めた。
【エピソード❶「撮影中止事件」】
まさに、タイトル通り撮影が中止されかけた、と言うエピソードである。
そもそもはこの話は主人公の家が中心で起こるために撮影のロケ地自体、普通のマンションの部屋を中心に行われたという。
さあ想像してみよう。その一人暮らしの部屋の男の一室の中に居る小説の登場人物たちの姿を。
❶制服を着た女子高生、❷革ジャンと変に髪を追ったてた犯罪者風の男、そしてもうこれは極め付けと言ってもいいであろう❸血塗れのシャツを着た岡本氏達が、休憩中などに交互に外でうろうろしている姿を。近隣住民からすると、もうそれだけで大事件である。女子高生時代の秋山ゆずきさん*5は当時それよりももっと若く見え、華奢だったであろうから、女子中学生か何かの監禁事件の疑いを持った住民もいたらしい。
とにかく誰がどう見てもただものじゃない❶〜❸(+α)の連中がマンション付近をうろうろしてるものだから、ある住民がそのマンションの管理人に通報したらしくて、結果当然管理人は激怒する羽目になり、一定期間は撮影中止状態になってしまったのだ。
その後、上田慎一郎とふくだみゆき夫婦は菓子折などを持って管理人のところに謝罪に行ったりして、何とか次第に打ち解け、そんな彼ら夫婦の人柄のよさなども相まって、何とか撮影強制終了、警察に通報される、という最悪の事態は免れ、撮影は続行して『恋する小説家』は完成したのだそう。
ちなみに岡本氏の血塗れシャツはマンション外に出るといろんな意味で誤解を生むので冬用のロングコートを着ての移動だったという、てか真夏にそれって逆に目立ちまくる気がするんだけどw
つくづくこういう撮影裏エピソードすらももはや上田監督作品の一部のようである。
しかし、こう言ったエピソードを踏まえるとこの予告編も非常に味わい深いものがある(笑)
短編映画「恋する小説家」予告編/Short Film"Dreaming novelist" Trailer
以上が「撮影中止事件」の全貌である。
【エピソード❷「ゆずゆずドキッ!?事件」】
さて、お待たせしましたw、ここはちょっと尺を取って事の詳細を申し上げます!
そもそもことの発端は出演者である秋山ゆずきさんはブログで共演時の二人の2ショットの写真をあげたことから始まる。そのブログ内でゆずきさんは最後の一文を「岡本さんだーいすきーっ!!!」というアツい告白で締め括ったということから始まる。
それで、なんと驚くべきことに岡本さんはその最後の文を見て「えっ?えっ??ひょっとしてこれって本気なのか?じゃなくても一体どういう意図で大好きって書いたのだろうか?」と思ったのだという。それで翌日の撮影中もずっとわだかまりのように「昨日、ブログに【だーいすき!】って書いてたよね?あれはいったいどういう意味だったの?」とかその意図を聞こうにも聞こうにも、何度か勇気を振り絞ってチャンスを伺ったが、結局それは敵わず、映画の撮影自体が終わってしまったのだと言う。
.....そしてその思いをずっと胸に残したまま、3年の時が経つ。
なんと、2014年の夏、岡本裕輝は秋山ゆずきと運命の再会を果たすことになるのだ。
そう、『恋する小説家』が今度は舞台として陽の目を見る事になったのだ!
当然その時にも二人は同じ役でキャスティングされ、岡本氏はゆずき氏と3年後の再会を果たす。そうしてあの時の意図を、もう一度勇気を持って聞こうとするが、不意打ちを喰らうことに。
ゆずき氏から更に波紋を呼びそうな以下の挨拶が解き放たれたのだ。
ゆずき「岡本さん、久しぶりなんだけど、全っ然、時間が経ったような感じがしませんよね〜♡!!!もうず〜っと一緒にいたような感じ。」
と言われ、事もあろうに岡本氏はまたもやドキッとしてしまうのだ!
そして稽古など本番などを含む舞台公演中もずっとあのブログの真意についてまたもや聞けずじまいになってしまったのだ。
.......しかし再びチャンスは訪れる。
そう、2018年夏、「カメラを止めるな!」の空前の大ブレイクである。あのブレイク以後、上田慎一郎監督の奇才・天才ぶりに世間は気づき始め、過去の映像作品も次々と陽の目を見始めたのだ。当然『恋する小説家』もその例外でなく池袋シネマ・ロサでの映画館での上映が決定した。
となると、出演者による舞台挨拶も当然ついてくる訳で、またもや岡本氏は運命の悪戯のようにゆずき氏に出会うチャンスを得てしまったと言うわけで(笑)。
映画から7年、舞台から4年を経て、またまたあの時の意図を聞くチャンスが彼にまたまた巡って来てしまったのだ。
そこで、岡本氏はある重要な事実に気づく。
「そうか!素の状態で聞こうとするから照れるのであって、舞台挨拶の時にでも舞台上で聞いてしまえば開き直ってなんでも聞ける。」のではないかと。
そうなればこっちのもので、舞台挨拶の前に楽屋でゆずき氏に「今日、舞台で隠し球投げるから覚悟しといてね!」と予告したのだと言う。
ゆずき「ええーー楽しみ!!!私そう言う隠し球みたいなの大好きなんです!!打ち返しますよ!!」
さて、その時はやって来た!
岡本「『恋する〜』の撮影の時、ゆずきさんはそのブログで「岡本さんだーいすきーっ!!!」って書いたでしょ?あれは一体どういう意図だったの?」
ゆずき「え?私、そんなこと書きましたっけ?でも岡本さんのことはず〜〜〜〜っと大好きですよ❣️!!!」
............................ここで重要なのは「ゆずゆずドキっ!?」事件で撮影時(2011)から、3年後の再会時(2014)、そしてカメ止めブレイク時の舞台挨拶時(2018)の7年間を経ても終始ドキッとしっぱなしだったのはあくまで岡本裕輝氏であってゆずゆずは尚一切ドキッともビクッともしていないと言う事である。
しかしまぁ、なんと魔性の女、ゆずゆずだろうかw
だから今回の結論として、
「ゆずゆずドキっ事件!?」
を省略せずに、詳細に述べれば
「(魔性の女である)ゆずゆず(こと秋山ゆずきに出会うたびに何かと)ドキっ(とさせられてきたある意味、その魔性のトリックの被害者である根本明を演じた岡本裕輝)事件!?」という事になる。*6
4. 岡本裕輝、上田慎一郎をアツアツに語る
...という訳で思いもよらぬスケッチブック「2部構成」という形でトークは終わるかに見えたが、岡本氏は「最後に...」と上田慎一郎監督と作品について熱く語り始めた。
以下、彼が語った事を自分の言葉に置き換えつつ述べたい。
本当に今回の『恋する小説家』がこうして改めてスポットライトを浴びる事になったのは確かに『カメラを止めるな』の一大ブレイクの賜物でもあるだろう。
あのブレイクがあったからこそ『恋する小説家』を含む他の作品群も『上田慎一郎ショートムービーコレクション』とDVD作品としてリリースされ、多くの人の目に彼の初期作品が触れる事になったのだ。でも、おそらく理由はそれだけではあるまい。『恋する小説家』以前に発表された『お米とおっぱい』という作品が全く脚光どころか注目すら浴びることがなく、物凄く悔しい思いをしたその苦い経験も『恋する小説家』、果ては『カメラを止めるな!』へと大きく繋がっているのだ。
そして岡本氏はこう続けた。
上田慎一郎は『恋する小説家』の台本読み合わせか何かで全てのキャストを集めて以下のように問いかけたと言う。
「皆さんには夢はありますか?何かをしてやろうという夢はありますか?夢は何もしない事には決して実現しないのです。一緒に夢を叶えましょう!」
この部分を語り出した時、ふと、岡本氏の声が少し高くなった、と言うか、少しうわずったように感じた。でもそれは別に気のせいではなかった。
「僕は上田君のこのエピソードを語り出すともう、ダメなんです。」
と言って熱い感情の洪水が涙腺から溢れ出るのを抑えながら、時に肩を震わせて語り続け、上田君は本当に素晴らしい映画監督です、と言い切るのが精一杯の様子だった。
....って書いてるがこの辺りの記憶は正直あまり鮮明では無い(笑)。
何せこれまでのゆずゆず事件やら血塗れシャツ事件やらのエピソードで全般的に笑い溢れるこのトーク中、ここに来てあわや、もらい泣きするかってぐらいこちらもひどく感動する事になろうとは思わなかったからだ。
先の上田監督の夢のくだりを聞いて、『恋する小説家』の中にこんなやり取りがあった事を思い出す。
岩佐辰夫「またどうにもなんなかったらどうすんだよ?」
南川奈緒「どうにもなんなくたっていいじゃん!なんにもなんなくたっていいじゃん!そんなことにビビってやめんだったら夢とか言うな!」
まさにこのセリフのエッセンスと何のずれる事なく全く一致しておりそのものズバリを言っている。まさにこれが上田慎一郎作品を支える原動力なのだろう。
別の言い方をすると「夢への渇望とそれを叶える原動力。」まさにこのセリフの中に全ての上田慎一郎作品にある核(コア)が潜んでいると思う。
でもこういう「夢」のやり取りって『カメラを止めるな!』でも『スペシャルアクターズ』でも全キャストを集めて行われたなのだろうなとは容易に想像できる。
最後は、
「根本は“さようなら”と言うのが苦手です。なので…
『恋する小説家』この映画は3度始まる!
皆様が主演の物語で、またお会いしましょう!」
という希望の言葉でこのトークは締めくくられた。
2週間に渡った『恋する小説家』の上映
無事、幕を下ろしました。
観に来てくれた皆様、応援してくれた皆様
ワイルドバンチの皆様
本当にありがとうございました。
根本は“さようなら”と言うのが苦手です。なので…
『恋する小説家』この映画は3度始まる!
皆様が主演の物語で、またお会いしましょう! pic.twitter.com/ytjMkcdfBx
5.エピローグ
上映会、トークなど全てが終了した後、20分ほどだろうか、岡本さんと直接お話できる機会を頂いた。
そこでお話しした事で印象に残ったのは『恋する小説家』は『カメラを止めるな!』以上にむしろ『スペシャルアクターズ』の方が共通するヴァイブを持っていると言う事である。
どちらの作品も主人公はうだつの上がらない毎日を過ごしている。
方や恋人に愛想尽かされながらも、実家に見栄を貼りながらも、毎日明太子ご飯をまぜまぜしながらも生きている小説家の卵、もう一方は緊張し過ぎて気絶してしまう変なクセを持ちながらも役者オーディションを繰り返す役者の卵と、どこか二人の境遇がオーバーラップすることに気づく。
だけれども、ここで重要なのは、2人は決して「生きること」を諦めようとしていない点である。何度も挫折を味わっているから、少し夢に対して億劫になってしまうことはあるが、岩佐辰夫にも大野和人にも共通しているのは、なんとか必死に生きようともがき苦しむその姿であり、何よりもそこにリアリティを感じ、心打たれるのだ。
両作品共々、まさに何度でも何度でも失敗してある種精神的にズダぼろ状態になりかけるんだけど、やがて目の前の夢に向かおうとする物語である。
そうした意味で、両作品とも希望の物語である事には違いない。
ちなみに私は『恋する小説家』も『スペシャルアクターズ』も3回観ているのだが、その時の心の原風景は驚くほどに以下の点で共通している。
❶一度作品を観た後で、2回目を観る。
❷もう一度観ると映画の風景が徐々に変わってくる。
❸そして、全てのセリフの持つ意味までもが変わってくる。
❹そしてもう一度、3回目を観る。
❺更に映画の風景や背景までもが変わってくるのが分かる。
❻そして、全てのセリフの持つ意味までもさらに深くなってくる。
❼やがて、全てのセリフの意味が自分自身に降りかかってくる。
そして三度目にして、その映画の全ての風景と全てのセリフが登場人物のものだけではなくどこでもない自己に向けられていくのを感じてくる。そう、この映画の主人公は決してエンドクレジットに記された演じているその役者だけではないという衝撃の事実を知る。これらの映画の主人公は紛れもなく自分なのだ。
そう、3度目からやっと自分の中で真の意味での映画が始まったのだ。まさにそれはその作品が人生の一ページに色濃く刻まれた瞬間なのだろう。
『スペシャルアクターズ』を観た時に以前のブログ記事にて「【一つの作品の中で二度始まる】のが『カメラを止めるな!』だとしたら本『スペシャルアクターズ』は「二度目からもまたはじまる」」作品である、と一応の決着を試みたが、岡本裕輝氏の言葉を借りて、上記の一部を消しゴムの残骸と化し、以下のように訂正したい。
「『スペシャルアクターズ』も『恋する小説家』も、それを含めたあらゆる素晴らしい映画作品は、1度や2度観ただけでは終わる事はない。3度観た時にこそようやくその物語は見た者の心に芽吹き始める。そこからが本当のスタートだ。だから、決して席を立ってはいけない。良い映画は、三度始まるのだから。」
【付記】
そう言えば元The BeatlesメンバーのJohn Lennonが、まさに岡本裕輝さんのトークで触れた上田慎一郎監督が語った「夢の定義」にピッタリな名言を残している。
その彼の言葉でこの長い長い計8507文字のブログを締めくくろう。
A dream you dream alone is only a dream.
A dream we dream together is a reality.
ー1人で見る夢は単なる夢に過ぎない だけど皆で見る夢は現実になるー
Jonn Lennon(1940-1980)