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ハルカトミユキ『LOVELESS/ARTLESS』ディスクレビュー!

0. とりあえず『LOVELESS/ARTLESS』!

2017年6月28日より、3rdフルアルバム『溜息の断面図』が絶賛リリース中の彼女らであるが*1このアルバムはその僅か約十ヶ月前にリリースされた2nd フルアルバムである。あくまで個人的な意見であるが、本アルバムの方が『溜息〜』に比べるとトータルタイムが短い(37分)こともあってさらに曲順がすっきりとコンパクトにまとまっており、途中ドラマティックな展開もあってなかなかにして飽きさせない構成になっている。しかも『奇跡を祈ることはもうしない』『Drag&Hug』『光れ』などのシングルチャート上位に食い込んでも不思議ではないようなキャッチーかつドラマティックなライブ映えする曲が随所に満遍なく散りばめられているため、彼女らの楽曲に初めて触れるハルミユ初心者には、まずはこちらを聞いていただきたくお勧めしている次第である。
 本レビューではそんな珠玉の名曲揃いの『LOVELESS/ARTLESS』に関して、主に初めてこのアルバムを手に取った時の気持ちを思い出しつつも、なぜこのアルバムは未だに何度も何度もリピート、いやループ再生してしまうのか、その巧みな曲順とそのループ性を中心に述べたいと考えている。

 

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1. 『LOVELESS/ARTLESS』その限りなきループ性

 本アルバムは2016年の8/16(火)にフライングゲットした。最初にパソコン取り込んで表示されるそのトータルタイムを見た時正直「え、37分?結構短くない?」と多少不満に思ったものだ。それならアルバムに入ってない他の配信曲等を足して60分以上ぐらいにしてくれたらもっとアルバムを楽しめるのに、と思ったからである。
 しかしながらそれは大きな間違いだった。というのも1曲目「光れ」から始まり、ラスト曲「夜明けの月」まで全曲1回リスニングすることではこのアルバムは終わらないのだ、いやむしろ完結してくれないとでも言おうか。何せ「夜明けの月」のラスト文は「今会いに行くよ」と言い残し、「光れ」の最初の文で「早すぎる電車に乗って」となっているため明らかにこの歌の登場人物の時間軸は「夜明けの月(が先)→光れ(が後)」となるのだ。最後の曲の次に最初の曲が 追いかけてくる不思議な現象。またサウンド面にも上記の連続性が見られるような気がする。具体的に「光れ→奇跡→...踊れ→…永遠→夜明け→光れ→…踊れ→夜明け→光れ…」という感じでどうにも止まることはなく、アルバム38分を一度聞いて終わりというわけにはいかないのだ。そう考え出すと最後、永遠の無限ループから抜け出せなくなるのだ。

*2

よくよく考えるとこのアルバムの全体の流れは「光れ=朝早い時間」「見る前に踊れ=午前0時の深夜」「夜明けの月=まさに夜明け」という風に人間が生活していく中での、1日の流れのように展開していて、1日が終わり、また次の日が来る、そしてまた次の日が、という風に連続循環していくようにアルバムを聴いてしまうのは当然の流れであるように思える。更に言えばこの曲順自体に「生活→人生→生命」という自然における連続循環システム(life)が内包されており、このアルバムにこそある意味「LIFE」と名付けられる要素が存在しているのではないかとも。
(ちなみにその理由で当時の47都道府県LIFEツアー後半ツアータイトル曲である「LIFE」が演奏されなくなったのかなというのは妄想的憶測だけど。)

 

2. 『LOVELESS/ARTLESS』に存在する "愛とアート"
これまでミュージック史上最強の無限ループアルバム『LOVELESS/ARTLESS』に関して色々と分析してきたが本章では、ハルカトミユキの音楽は今後どのようなものになるのかアルバム文脈 で考察することで今後のハルカトミユキというアーティストの展望を予測したい。
 本アルバムリリース当時私ネノメタルも出来うる限りお二人の出演するラジオ、雑誌 等の様々な媒体に触れることによってインタビュー、メッセージに触れ、よりアルバムの本質に近づこうとしてきたが、その結果、やはりどの媒体でも一貫して述べられてきたハルカさんの 「"less=欠けている"私たちから、同じく"less=欠けている"あなたたちが必要としている音楽を作って演奏していきたい。」というコメントが非常に印象に残ったものだ。確かにこのアルバム『LOVELESS/ARTLESS』の楽曲群にあるのは様々なネガティビティ溢れるless達。
前に進もうとしているのだけれど未だ触れられない「光れ」、愛への希求心を持ちつつも どこかネガティヴな感情を引きづってしまう「Drag&Hug」、主人公が君の足元照らす月の光になろうと決意するもその人の未だ傷の痛みが消えない「夜明けの月」など全ての楽曲群においてどこかポジティビティだけでは終わらないネガティヴな側面が必ず伴ってくる。
 しかし、ここではそんなネガティヴ性とは逆の視点で考えよう。これらの欠けている(less)の数は タイトルではLovelessArtlessと2回出てくる。また楽曲全てにlessがあると考えると出てく るlessの数は10個。総計するとこのアルバムには計12個ものlessが内包されることになる。

ということは、このアルバムは歴史的名盤たり得る何か(something)重要な要素{がない(1)ことがない(2)ことがない(3)ことがない(4)がない(5)ことがない(6)ことがない(7)ことがな い(8))がない(9)ことがない(10)ことがない(11)ことがない(12)。}ことは否定できないのだ。前文{}内のlessを数えると合計12もの「ない(less)」が存在する。「~でないことはない」という 「二重否定」は「~であるという肯定の意味」と解釈するとこの「十二重否定」も当然肯定と解釈され、やはりこのアルバムは何か(something)重要な要素を肯定するのだと断言できる。

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3. 『LOVELESS/ARTLESS』の世界観
以下が本アルバムの世界観を構成化したものである。

🌛 『LOVELESS/ARTLESS』🌜 の構成 

(1) 今はまだ/触れられない「光」を
(2) 引きずりつつ/愛溢れる温かい「hug」で
(3) やがて/愛を知ることのできる「奇跡」や
(4) 愛の存在を/問いかけようとする「愛しい人」が
(5) 常に/携えておくべき「belief」は
(6) 少年少女が/手にする自分たちだけの「パラダイム」、
(7) 運命を/変えるための「ユートピア」の
(8) Y字路で/決心した大事な「約束」を
(9)「I」を導く/一瞬の光を教えてくれた「you」こそが
(10) 瞬間に/君の足元を照らす夜明けの月の「光 」

 

(1)-(10)の「」は、各楽曲のキーワードを示唆し、/で区切った左半分の句は縦読みすると一文 として解釈可能である。

 

Pattern1(left side)

今はまだー引きずりつつやがて愛の存在をー常にー少年少女がー運命をーY字路で「I」を導くー瞬間に

 

Pattern2 (Right Side)

触れられない「光」を愛溢れる温かい「hug」で愛を知ることのできる「奇跡」や
ー問いかけようとする「愛しい人」が携えておくべき「belief」は手にする自分たちだけの「パラダイム」ー変えるための「ユートピア」の決心した大事な「約束」を
一瞬の光を教えてくれた「you」こそが君の足元を照らす夜明けの月の「光 」

 

さらに(1)-(10)は全てless要素が存在しつつも全体として肯定的ニュアンス が感じられる。ゆえにこのアルバムを聴いた我々は、全曲から滲み出る光に触れた瞬間にそれぞれのLove&Artを取り戻す(bring back to life)ことができるのだ。よってこの『LOVELESS/ARTLESS』という歴史的名盤は「2016年の夏」の代名詞であるとともに、今現在のハルカトミユキをリアルに表現したRe-albumだ、と結論づけることでこの「狂いたいけど、狂えない、狂ってしまえない(なんじゃそらw)」この長いアルバム考察レビューを締めくくりたい。
あ、realといえば偶然L/A+ ER(比較級lessの反対)=LAER→で、これを反転するとREALとなるってのは偶然の一致だろうか?

では最後に、            

                      

ハルカトミユキよ
            
             
                       

LoveとArtが生んだ
             
              
            
                       

軌跡であり奇跡である

                    
                    

この『LOVELESS/ARTLESS』とともに

       
                
                           

光れ

 

www.youtube.com

*1:amazonレビューの数が60!半端ないこと!

*2:一時期私のSNSのアカウント名は「無限ルーパー」だったw