NENOMETALIZED

Music, Movie, and Manga sometimes Make Me Moved in a Miraculous way.

S-igen企画(#吉田彩花)✖️#群像ピカタ、奇跡のコラボレーションMV Drama『人生名画』爆速レビュー

本記事は、S-igen企画(#吉田彩花)✖️#群像ピカタが組んだ奇跡というより軌跡のコラボレーションMV Drama『人生名画』をテーマにしている。さて、この生きる芸術作品をとくとご覧あれ。


www.youtube.com

S-igen企画(#吉田彩花)✖️#群像ピカタ、奇跡のコラボレーションMV Drama『人生名画』爆速レビュー

1.楽曲論

2.感情論

3.アート論

4.壮大なエンドロールの果てに

5. バーぺガ論

6.パーペガ名演コレクション

1.楽曲論

1:05辺りからのThe Beatlesの『Tomorrow never knows』に代表とされるような逆回転ギターサウンドも、2:25辺りのMy Bloody Valentine等を思わせる間奏のシューゲイザーのような轟音もありつつ、サイケデリアやオルタナティブの波に埋もれずにメロディアス性を保ち、どこかナイーブさをも覗かせるような「強さと儚さ」が共存するのが本曲の魅力だとするならばStanding on the Shoulder of Giants』辺りの実験的モードに参入しかけた時代のOASISに近いのかもしれない。 とはいえ、今は2022年。どこかセンチメンタル要素も強めで、今、この日本を生きるドメスティックなバンドとしての感性もしっかりと楽曲に落とし込んでいるのが現代を生きるバンドの宿命にも似た特色だとも言えよう。 そして本MVでは各々❶逆回転要素のありかを、センチメンタリズム、❷シューゲイザー要素の所在をロマンティシズムと捉え、その象徴として❶ではハングオーバー時代以降の古郡翔馬氏が関わった過去のMVに ❷ではダンサーと花束を用いる事でこの歌詞内にもある感傷性とロマンティシズムとを遵守している事がわかる。

要するに、本作は10年に及ぶ古郡翔馬historyをも網羅したタイトル通り、絵画のようでもあり、コンテンポラリーダンス・パフォーマンスのようでもあり、或いはミュージカルでもあるような全般として極めて「アート純度」の高いMV Dramaであると断言できよう。

oasis 4th アルバム期『Who feels love?』


www.youtube.com

The Beatles サイケデリックダンスミュージックの象徴『Tomorrow Never knows


www.youtube.com

My Bloody Valentineの代表曲とも言って良い『only shallow』


www.youtube.com

 

2.感情論

或いは、こうも考えられよう。 私が個人的に古郡氏のライブパフォーマンスを目の前にして本楽曲を聴いたときに思ったのは 【叶わぬ思いがあるのなら届かぬ夢を見続ければ良い】というある種作曲者である古郡翔馬氏による、彼のハングオーバー時代から現在の群像ピカタに至るまでの音楽活動や、彼が経営しているバーペガサスというmusic barでの活動全体を通じて垣間見える「過剰なるエモーション」そのものである。(あとここ最近のギターメンバーであるJomo氏とのセッション動画の中でも垣間見える「死生観」に関する歌詞などもその過剰なる「エモの一種」と捉えてしまうことに大きく関係しているような気がする。) それらを踏まえても、本動画でもあの綺麗に収められた額縁の枠組みをはみ出る瞬間が映像としても反映されるべきなのでは、とは正直に思った。 正に群像ピカタというバンドのテーマである『群像ピカタのテーマ』がそうであるように。*1


www.youtube.com

ふと思い出したが『群像ピカタ』と同様に『人生絵画』においても見られる【オルタナ感】に関して以下の動画をあ提示したい。こちらは先月末にバーペガサスにおいてまだ本MVが公開されるとの告知がなかった7月26日、古郡翔馬氏のアクトが行われたのだがこの中で3:17辺りからパフォームされる『人生名画』に注目したい。*2


www.youtube.com

この動画内での鬼気迫る感に以上ならざるものを感じたのは5:30辺りからのそれこそマイブラを思わせる轟音展開である。本来私は彼の楽曲では『人生クリエイト』がフェイバリットで、その曲がパフォームされたにも関わらず『人生名画』に打ちひしがれるほど衝撃を受けて、ライブ後彼のいるバーカウンターへ行き、この曲がいかに凄かったか伝えに行ったのを覚えている。別段この曲がこうして日の目を見る事を察知した私のアンテナの鋭さを自慢しているわけではないが(アンダーラインまで引いといて自慢してるようなもんやんけw)兎にも角にもこの『人生名画』という曲に「何かある」事を示唆してるようなエピソードである。ちなみにこのMV drama化計画を知ったのはこの日のライブの数日後ぐらいだったから。*3


www.youtube.com

 

3.アート論

先ほど、「逸脱」という言葉を用いたが、2点ほどその「逸脱性」であるとか「破壊性」の重要性について述べたい。

2022年1月に公開されたのん(能年玲奈)監督『Ribbon』でも主人公いつかが友人と共に叫び倒しながら巨大な自主制作絵画をノコギリやら金具でぶち壊すシーンがあるが、そのような破壊行為によって「アート」を自らのアイデンティティとして取り戻す事に成功したのだ。『Ribbon』に関する過去記事はこちら。

nenometal.hatenablog.com

更に絵画文脈から掘っていくとウィリアム・ターナーという1770年代に生まれたロマン主義の画家がいるが、彼の描く緻密かつドラマティックな風景画はロマン主義という枠組を超えていたように思う。 荒波に立ち向かう漁師を描いた海景画を経て晩年の光に包まれたかのような山岳風景は最早抽象的な意味すら持つのだ。

そのように「カテゴリーを超越した瞬間にこそアートが輝き始める」という事を示唆してくれるのだ。 その意味では本MVでは綺麗に損なわれる事なくあくまで逸脱・破壊へと踏み切らず、額縁内の作品として物語が成立している点はS-igen企画による「人生とは一本の映画の様だ そしていずれ一枚の絵画となる」というコンセプトと付合していくようでもある。

ja.wikipedia.org

 

ウィリアム・ターナー;Collections

 

4.壮大なエンドロールの果てに

いずれにせよ、本動画では何かの章が終わりを告げ、次なるフェイズへのエントランスに立たされていくのがはっきりとわかるのはエンドロールで全てのキャストや製作陣、そしてS-igen企画の文字が出てきた後に5秒ほどの真っ暗闇の無音の世界があるのだ。

映画『Ribbon』の如く、ここで綺麗に飾られた額縁を壮大に破壊する瞬間があるのか、ターナーの絵の如くさらなる逸脱がなされるのか、或いは「宇宙」という概念がこの世に誕生した時の如く更なるビッグバンが起こるのか、正にそこに群像ピカタであり、S-igen企画の次なる展開を考察させてくれる「余白」があるような気がしてならない。最後に、今後の群像ピカタとS-igen企画の展開として非膣の奇妙な共通点が浮かび上がる。ピカタが今年の秋にリリースされるニューアルバムのタイトルがBraidで元々Braidとは三つ編みを意味するのだが、S-igen企画が2/20にバーペガにて開催したイベントのタイトルが

「2/20 S-igen企画pre.言葉と音と三つ編みの私の絵を。」である。ここで出てきた三つ編みという共通点。この符号性は偶然なのか必然なのか、答えは風に吹かれているのか、神のみぞ知る、なのかは疑問はやまない。 


www.youtube.com

最後に、本章の締めくくりとして同じS-igeん企画の映像ワークとして「悲劇のアルレッキーノ」のテーマ曲でもあった『青の時代』のMV Dramaについても触れておこうか。


www.youtube.com

思えば、昨年11月末に上演された「悲劇のアルレッキーノ」という舞台は、 【人には悲しみを覆い隠しきれぬ程の心の闇があり、それでも泣けずに笑うしかない3人の道化師達】 を描いた悲劇でもあり、そして喜劇でもあった。 それから七ヶ月後、こうして現れたこのMVドラマはあの舞台を別のビジョンで見るフィクションでもあり、 そしてノンフィクションとも言えるのかもしれない。 本作を定義づけすれば、演劇フィールドを度外視した上での「パンク=物理・概念への破壊衝動」ではなく、 あくまで自己をアイロニカルかつ自虐的に客観視した上での「オルタナ的なパンク」であると言えよう。 正に「人生は壮大なコント」という吉田彩花氏が掲げるコンセプトとも繋がってくる。いずれにせよ、90年代にBECKNirvanaといった海外のバンドやアーティストのアティテュードがこの令和の日本の演劇というフィールド にて具現化される事に驚きと期待と喜びを隠せない。*4

nenometal.hatenablog.com

5. バーペガ論

ここで少し、私の中での【バーペガ論】を述べさせて頂きこの7334字にも及んでしまった本記事を総括したい。

 思えば、私が中野新橋のバーペガサスを知るようになったのはちょうど吉田彩花さんがSaika名義でアコースティックライブを開始するようになってから「おお、Saikaさん何やら面白そうな所でライブやってるな。」と思った事がキッカケなので僅か1年ちょっと過ぎぐらい前のこと。

そもそも私が吉田彩花氏を知ったキッカケになったのは2019年の4月29日の中野区でのちょうど中野ザ・ポケットでの舞台鑑賞で、更にこれは最近知ったのだがバーペガが始まったのも同年5月というのも偶然にしては興味深い一致である。あの時からこう繋がってsaika氏の活動追って、バーぺガのライブ配信も出て自分も実際にそこへ行くようになるってこのプロセスはつくづく奇跡だと思う。

nenometal.hatenablog.com

そうこうしていくうちに店主・古郡翔馬の存在をハッキリ認知したのはちょうど今頃の時期、5月の長谷川小夏さんか村岡由太(通称;ゆた)さんの誕生日企画LIVE辺り。

ギターを鳴らしながら思いのままに今時点で感じている日々生きていく上での衝動的思いや怒りや喜びやその他全ての感情をないまぜにしてブチまけるようなMCをかましてそのまま曲パフォーマンスへとなだれ込んでいくようなスタイルは今まで観てきた様々なライブでも全く既視感のない、ある意味衝撃で圧倒されたのを覚えている。そして曲演奏もさる事ながら今更曲間のMCがめちゃくちゃ上手いとも思った。

これは大袈裟ではなく私がLIVEに行くミュージシャンの中でも最高ではないかと思います。キング牧師とかモハメド・アリ辺りの思想家ばりめちゃくちゃ心打つスピーチレベルではないかという印象。

そして初めてコメントを書いたのも確かその時。

かなりうる覚えだけどオルタナティブ・ロック全盛期にカート・コバーンの存在を目撃した人の気持ちがわかった。」的なコメントだったと記憶している。

その後は名古屋でのLIVEで初めてお会いしたり、『悲劇のアルレッキーノ』千本桜ホールのあとコンビニ前でKPをかましたり、バーペガにももはや今回で5回目にお邪魔するなどもう一年ちょいでバーペガにもすっかり常連になったような気がする。

 そこで常々思うのはバーペガというプラットフォームの網羅してるアーティスト幅の広さにも驚く。ツイキャスでの配信はコロナ禍以降激増しましたが、ツイキャスでいつでも最高最強の妥協なしの緊張感と臨場感ありの「live」を毎日の如く配信しているプラットホームはここだけだと断言しても良いでしょう。

そういえばこういう事があった。

半年ほど前の月曜日、東海地域のライブハウスでのツイキャス有料配信観ててつくづく実感してるのは、そこでパフォーマンスしてるアーティストの多くは無難にこなすんだけど画面の向こうから迫ってくる何かが無くて、もうそこには残念ながらスクリーン上でのパフォーマンスという限界を突破する事はなくて、バーペガの配信ってもの凄いクオリティなんだなって事を痛感した次第。何よりもバーペガはPCスクリーンの垣根を越えて心の奥底に訴えてくるアーティストが多いし、あの1週間で3〜4回ほど長時間でハイペースで無料配信してるの凄いことよなと改めて思ったのと同時に、いつかの配信で「バーペガをディズニーランドみたいにしたい。」という発言を思い出す。

 これはサラッと言ったがこれは圧倒的発言だと思う。

こんな最高な野望のある音楽家は全世界で彼だけだ。もう一度言う、バーペガこそ最高のライブハウスだ。あと最近ちょくちょく思うんだけど、S-igen企画の「際限/再現(さいげん)」となみたすゐさんの歌声にどこかしら感じる「世界の果て」とかけてこの二人によるツーマン企画【際限/再現(さいげん)の果て】という企画がいずれバーペガで開催されるのを個人的にとても楽しみにしている。

 音楽も映画もショーも演劇も全てのエンタメがあのバーペガサスのビルディングの一室に収束しているあの感覚はもはやディズニーの雛形さながら。

 そういえば70年代、福岡天神に照和という喫茶があって若き日の長渕剛井上陽水など今や大御所である多くの音楽家が集って生演奏をしていた。恐らくそこで音楽家同士の切磋琢磨と向上心とマジックが生まれたのではなかろうか?

www.live-syouwa.com

そして今、中野新橋のバーペガにも同じ風を感じている。
何かが起こる予感と共に...。


www.youtube.com

 

The special secret of making dreams come true can be summarized in four C’s.

They are Curiosity, Confidence, Courage, and Constancy.

夢をかなえる秘訣は、4つの「C」に集約される。

それは
「Curiosity – 好奇心」
「Confidence – 自信」
Courage – 勇気」
そして

「Constancy – 継続」である。

ウォルト・ディズニー(Walt Disney)

 

5.パーペガ名演コレクション

Case;1 吉田彩花(Saika) 5/3 S-igen企画pre.

 「五味夢中」


www.youtube.com

本能のまま赴いた新たな芸術の扉。

星を求めた少年、一つの物語を。

1.カウントダウン
2.余計だ
3.不敵な迷子

「夜空に輝く星を求め走り続けてきた少年がズダボロに傷ついていたある日、人に踏みにじられようとも咲き誇る一輪の花を見てもう一度走り続けよう、と決心する」物語に
『余計だ』などの楽曲が更にドラマティックに盛り上げる、そんな今まで観たことあるようで誰もやってこなかった新基軸のパフォーマンス。

まさにこれは音楽家Saikaと役者 #吉田彩花 のコラボ。
s-igen企画がどんどん面白くなっていく。

そんな物語であると同時に、コロナ禍で闇に閉ざされてしまったエンタメに光明を見出そうと模索するs-igen企画 #吉田彩花 のアティテュードとも解釈可能だ。
パーペガという音楽LIVEスペースが一気に演劇舞台と化し『不敵な迷子』でエンディングを迎える展開は新たなエンタメのあり方を提示してくれる。

 

Case;2 吉田彩花 presents スナック彩花@バーペガ

 Day 1st 8/12(金)


www.youtube.com

Setlist
1.オレンジ
2.カウントダウン
3.いつか君にとって
4.余計だ
5.サニー
6.きまぐれ

暴論かますが『いつか君にとって』演奏時、Southern All Starsの幻影がふっと降りてきた。
『愛なき愛子』リリース期ポップスの常識をぶち壊そうと試行錯誤していた当時の桑田佳祐と #吉田彩花 とがオーバーラップする。
エンタメの持つアバンギャルド性、s-igen企画にはいつもそれを期待してしまう。  今回の「SAIKA=SAS説」を更に象徴していたのが『悲劇のアルレッキーノ』のテーマ曲でもある『サニー』が間違いなく歌謡曲的アプローチがなされていた事。これは今までの「バーペガ×s-igen企画」の成果のみならず『太陽は罪な奴』での桑田佳祐のパフォーマンスを彷彿させる。「音楽とは、演劇とは、エンタメとは不要不急なのか?」という命題にコミットした『いつか君にとって』と更にポップスを全うする事の難しさをぶちまけたSAS『young love』とも重なる。
にしても本動画、4曲目直前のMCにてちょっとした「事件」に注目。
後の『Watch事件』である。

 

Case3;S-igen企画 presents スナック彩花@バーペガ

Day 2nd 8/13(土)


www.youtube.com

Setlist

1.青の時代

2.サニー

3.道化師の部屋

4.ゴール

5.余計だ

6.むらさき

7.きまぐれ

様々な人の様々なLIVEを観ても『余計だ』ほど聴く度に表情が異なる曲はない。特に最後Aメロで締める部分の「不意打ち感」は毎回新たな歌詞が加わってるのかと思う。まるで吉田彩花氏が一貫して言ってる喜怒哀楽とは別の『第5の感情」そのもののような。これはPopsの新たな理想だと思う MVトークでもNana、Satoka両氏は対称的なキャラクターだったが本曲に対する印象だけは一致していた。 本曲から醸し出される穏やかながら野心的なニュアンスすらある不思議な感触。 ピカソが独自のstyleを確立しようと模索していた時期のタイトル。

本曲は今のs-igen企画そのものなのかもしれない。

 

 

*1:何が素晴らしいっていきなり「グ・ン・ゾ・ウ・ピ・カ・タ!」とイントロがまんま曲のタイトルであり、しかもバンド名でもあるというある意味画期的かつ最高最強のイントロ。「アートの本質」とは何か?古郡翔馬独自のシニカルかつピュアな視点で突き詰めた本曲。今までアコギ、アカペラ、ピアノとカメレオンの如く多種多様にアレンジされてきたが、本バンドver.は恐らく現時点で最高最強の境地である。

*2:

*3:群像ピカタの私的フェイバリット『人生クリエイト』。本曲ほど本編終了間際辺りでフロアでバンドも客も汗と涙でボロボロにながら聴きたい曲はないと思っている。今圧倒的に世界を変えてくれるバンド、ハングオーバーによる本曲はズダボロになっても突き進む強さが秘められていてとても好きだ。本曲は今後ガンガンどデカく大化けしていくんじゃないかという可能性を秘めている。曲の体温は極めて平常なのだがそれだけに「エモ」の配分が付加される余地が大きい。今後もどんどんクリエイトされていくていくだろう。

*4:8/13のトークイベント時に出演者Nanaさんも仰ってたけど「舞台→映像配信」って展開は非常にレアで面白い。だが逆に「映像→舞台」って展開の方が世界はもっとs-igen企画に気づくんじゃないのかなとふと意見として思ったな。これは演劇界全てに言えるんだけど。