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『#猫は逃げた』(#今泉力哉(監督) × #城定秀夫(脚本))に関する覚書🐈

『#猫は逃げた』(#今泉力哉(監督) × #城定秀夫(脚本))に関する覚書🐈

 

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🐈💨主演はネコです。

いや、これは個人的に大ヒット!
少し前に公開された姉妹作『愛なのに』よりもうかなり個人的ドンピシャ。

lr15-movie.com

あちらの方は情報量が多すぎてなにぶん私の頭が悪くて、情報処理能力が追っ付かなかったものでその辺長々とFilmarksのレビューでも色々書き尽くしてるのでもちろんここでは割愛するが、こちらはスッキリとしてて統一感あって観やすくて凄く良かった。

私はシンプルな設定でスッキリとまとまった感じの映画作品が好きなんだろうな。
で、本作「猫」がタイトル通りテーマではあるんだけど、単に置物的スタンスの「象徴」としての猫ではなくて、実は裏タイトル『猫は全てを知っている』なんじゃないかってくらいカンタ(=パンフ見ればキャリアあるタレント猫らしい、道理で堂々としてると思ったわ...)がもうガッツリ演技してるのが驚き。
本作のストーリーは「離婚寸前の夫婦と各々の不倫相手」という計男女4人のあれこれの心象風景と心理描写をじっくりと描いた話でもあるんだけどこのストーリーに行方を先導切って引っ張ってるのは「逃げた猫=カンタ」であり、ガッツリ主演級の活躍をしているのだ。
もはやこの4人の人間達のあーでもこーでもないを熟知してて、敢えて姿をくらまして最後全てをまーるく収めるみたいなミッションを達成し、やり終えたら生命を全うする、みたいなものの見事なヒーロー級の活躍ぶり。私は猫を飼った経験も予定もないが、これ猫大好き人間だとめちゃくちゃ共感できるじゃないだろうか。


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🐈💨🐈💨いくつかのツボ
いや、人間達も負けてはいない。主演の山本奈衣瑠さん演じる亜子さんは岡藤真依系統の瑞々しいエロティックな描写を中心とした漫画家なんだけれど、台詞の中身が「あっ」とか「んっ」とかが大半なんだけど(察し)、最後の4人勢揃いの会話合戦にて一度ブチ切れたら「泥棒猫なのに猫泥棒」「売り言葉に買い言葉」などなどやたら名言や格言など連発の語彙力豊富ながツボだった。
ホントその他の3人のキャスト(敬称略、毎熊克哉、手島実優、井之脇海)各氏も演技が自然で心地よく見ていられた。
 このように、4人(+🐈)中心に繰り広げられるこのシンプルな物語は、まるで「演劇集団キャラメルボックス」のシンプルなセットで繰り広げられるアコースティックシアター等の演劇を観てるようなLIVE感があった。その意味で下北沢劇「小」劇場あたりで舞台化しても面白そうだと思った。
その際は勿論L/R15指定部分を取っ払っても十分面白さは伝わると思う。
個人的にはむしろいくつかの濡れ場はなくても十分成立するじゃないかと思ったぐらいだから。
また本作の主題歌はLIGHTERSという女性2ピースバンドの『don’t cry』なんだけど、これががまた珠玉曲なのだ。ちょっと昔懐かしい初期プライマル・スクリームとか日本だとVenus Peter辺りを少しオルタナっぽく仕上げた感じの素晴らしい英詞の曲なのだが、以下、部分的に歌詞を抜粋してみる。


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When I was once all alone.

You gave me a house where I could sleep every day.
Sometimes you guys would talk with angry faces
I don't care if you two are separated. 
Just remember me just in a while. 
And don't lie or hide in a moderation

この辺りの歌詞などじっくり見てみれば逃げてしまう主人公猫ことカンタの心象風景になっていることがわかる(意図的かどうか知らんが本曲のアートワークは犬の写真が使用されている。)
その意味で本作を鑑賞後、本曲の歌詞全体が全てカンタ自身の「情けなくも愛すべき4人の人間様達」へのメッセージに聞こえて仕方ないのだ。
ここまで私が主題歌に言及するのは、内容はいいんだけど主題歌がどうも取ってつけた感のある映画作品に出くわすことも多いからだ。その意味でこの作り手のきめの細かさはまるで本編に出てくるじっくり時間かけてつけた漬物のようにとても丁寧な作りにはとても好感が持てる。


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🐈💨🐈💨 🐈💨雑感
 ところで話はガラッと変わるが、ここ最近、映画関係でのネガティブな話題が頻発しててうんざりしててインディーズ映画というもの自体にどうにも懐疑的にもなりかねなかったのだ。
 だがそんな人たちにこそ本作を是非鑑賞してもらいたく思う。

この作品はそんな醜聞を見事にひっくり返してくれる真心がこもっていると思う。本作に垣間見える制作者サイドによる実直なまでの丁寧な作りと映画愛に満ちたアティテュードは信頼に値するものであると断言して良い。
こちらだってダテにこれまで色々な映画を鑑賞してきたわけではない。
「正しく」誠実に作られた作品とそうではない物との区分は、この全てを知っている猫のように、すぐに見透かされるものだと思うから。

*1:本エッセイはFilmarksの本作に関する該当記事割とまんま書き起こしたものである。

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